非テキストコンテンツ:
達成基準 1.1.1 を理解する
1.1.1 非テキストコンテンツ: 利用者に提示されるすべての非テキストコンテンツには、同等の目的を果たす代替テキストを提供する。ただし、次の場合は除く: (レベルA)
コントロール、入力: 非テキストコンテンツが、コントロール又は利用者の入力を受け付けるものであるとき、その目的を説明する識別名を提供している。(コントロール及びユーザの入力を受け入れるコンテンツに関するその他の要件は、ガイドライン 4.1を参照のこと。)
時間の経過に伴って変化するメディア: 非テキストコンテンツが、時間の経過に伴って変化するメディアであるとき、代替テキストは、少なくとも、その非テキストコンテンツを識別できる説明を提供している。(メディアに関するその他の要件は、ガイドライン 1.2を参照のこと。)
試験: 非テキストコンテンツが、テキストで提示されると無効になる試験又は演習のとき、代替テキストは、少なくともその非テキストコンテンツを識別できる説明を提供している。
感覚的: 非テキストコンテンツが、特定の感覚的体験を創り出すことを主に意図しているとき、代替テキストは、少なくともその非テキストコンテンツを識別できる説明を提供している。
CAPTCHA: 非テキストコンテンツが、コンピュータではなく人間がコンテンツにアクセスしていることを確認する目的で用いられているとき、代替テキストは、その非テキストコンテンツの目的を特定し、説明している。なおかつ、他の感覚による知覚に対応して出力する CAPTCHA の代替形式を提供することで、様々な障害に対応している。
装飾、整形、非表示: 非テキストコンテンツが、装飾だけを目的にしている、見た目の整形のためだけに用いられている、又は利用者に提供されるものではないとき、支援技術が無視できるように実装されている。
この達成基準の意図
この達成基準の意図は、非テキストコンテンツにより伝達される情報を、代替テキストを用いることによってアクセシブルにすることである。代替テキストは、利用者の要求に合わせてあらゆる感覚モダリティ(例えば、視覚、聴覚、あるいは触覚)を通じて描画可能なので、情報をアクセシブルにする上では最もよい方法である。代替テキストを提供することにより、情報が様々なユーザーエージェントによって様々な方法で描画されることが可能になる。例えば、写真を見ることのできない利用者は、合成音声を用いてその代替テキストを読み上げさせることができる。また、音声ファイルを聞くことのできない利用者は、それを読むことができるように代替テキストを表示させることができる。将来的には、代替テキストによって、情報を手話や同じ自然言語のより平易なものに、より容易に変換することができるようにもなるだろう。
CAPTCHA に関する注記
CAPTCHA は、アクセシビリティのコミュニティにおいて、議論を呼ぶトピックの一つである。Inaccessibility of CAPTCHAという参考資料 (W3C Working Group Note) でも解説されているように、CAPTCHA はもともと、機械的な自動処理を排除して、人間による操作であることを確認するためのものである。特定の障害のある利用者は、どんな種類の CAPTCHA も解釈できないであろう。しかし、CAPTCHA は広く使われており、WCAG ワーキンググループは、もし CAPTCHA が完全に禁止されてしまったとしたら、ウェブサイトでは CAPTCHA の使用を見合わせるのではなく、WCAG に適合しないという選択が行われるだろうと考えた。こうなることは、障害のある、かなり多くの利用者に対しての障壁を生むことになる。この理由から、ワーキンググループは、障害のある利用者のほとんどの要求を満たし、なおかつ ウェブサイトが採用可能だと考えられる方法で、CAPTCHA に関する要件を定めることにした。異なる2つの形態の CAPTCHA をサイト上で提供することを要件として、障害のある利用者のほとんどが自分の利用できるものを見つけられるようにしたのである。
中には、最低限の要件を満たしているサイトにもアクセスできない、障害のある利用者もいるため、ワーキンググループは追加の手段を講じることを推奨している。WCAG に適合したいと考える組織は、このトピックの重要性を認識すべきであり、可能な限りこのガイドラインの最低要件より多くの策を講じるべきである。推奨される追加の手段としては、以下のものがある:
CAPTCHA を3つ以上のモダリティで提供する
CAPTCHA を使用しないでもすむように、カスタマーサービスの担当者に連絡できるようにする
許可した利用者には CAPTCHA を要求しない
補足情報
非テキストコンテンツには様々な形態があり、この達成基準ではそれぞれをどのように扱うべきかを特定している。
以下に挙げる状況の他のどれにも該当しない非テキストコンテンツ (例:チャート、ダイアグラム、録音した音声、写真、そしてアニメーション)の場合、代替テキストは同じ情報をあらゆる感覚モダリティ(例えば、視覚、聴覚、あるいは触覚)によって描画可能な形態で入手可能にすることができる。簡潔な、及び長めの代替テキストは、非テキストコンテンツにある情報を伝達するのに必要に応じて用いられる。 収録済の音声しか含まない ファイル及び 収録済の映像しか含まない ファイルは、ここで扱われている。 ライブの音声しか含まないファイル及び ライブの映像しか含まないファイルは、以下で扱われている(この段落後にある3つ目の段落を参照のこと)。
コントロールあるいは利用者の入力を受け入れる非テキストコンテンツ (例:実行ボタンとして用いられる画像、イメージマップ、あるいは複雑なアニメーション)の場合、その非テキストコンテンツが何で、なぜそこにあるのかが、利用者にとって、少なくとも分かるようにするために、識別名を提供してその非テキストコンテンツの目的を説明する。
時間の経過に伴って変化するメディアである非テキストコンテンツは、 1.2によりアクセシブルになる。しかし、重要なのは利用者がページ上で発見したときにそれが何であるかが分かり、それにより利用者がどのようにしたいかを判断できるようにすることである。そのため、時間の経過に伴って変化するメディアを説明し、場合によってはそのタイトルを示す代替テキストを提供する。
ライブの音声しか含まないコンテンツ及びライブの映像しか含まないコンテンツの場合、それらと同等の情報を示す代替テキストを提供することは、はるかに困難なこともありうる。このようなタイプの非テキストコンテンツに対しては、代替テキストで内容の分かるラベルを提供する。
試験あるいは演習が、部分的又は全体的に非テキストのフォーマットで提示されなければならないことがある。その試験あるいは演習は聴覚や視覚を用いて行う必要があるため、テキストに変換することのできない音声あるいは視覚的な情報が提示されるからである。例えば、ヒアリングテストは、もし代替テキストが提供されたとしたら意味を成さないだろう。視覚能力向上のための演習も、テキスト形式では同様に無意味となってしまう。また、代替テキストのあるスペルの試験もあまり効果がない。このような場合には、代替テキストはその非テキストコンテンツの目的を説明するために提供されるべきである。もちろん、その代替テキストは、試験に合格するために必要な情報と同じものは提供しないことになる。
特定の感覚的な体験を生むことを主目的にしたコンテンツで、言葉では完全に表現できないものもある。例としては、交響楽団の演奏、視覚的な芸術作品などが挙げられる。そのようなコンテンツの場合、代替テキストは、内容の分かるラベルと可能ならば補足説明のテキストによって、その非テキストコンテンツを少なくとも確認できるようにする。もしそのコンテンツがそのページにある理由が明らかで、それが説明できるのであれば、そういった情報も含めると役に立つ。
利用者が人間であることを証明するために用いられる、非テキストの仕掛け。スパムロボットやその他のソフトウェアがサイトにアクセスしてくるのを回避するために、CAPTCHA と呼ばれている仕掛けが用いられる。CAPTCHA には、今日の ウェブロボットの能力を超えた視覚的あるいは聴覚的な課題が通常は用意されている。しかし、それに対して代替テキストを提供することは、ロボットでも操作可能なものにしてしまい、その目的を果たせなくなってしまう。このような場合、代替テキストは、CAPTCHA の目的を説明し、かつ、様々な障害のある利用者の要求に対処するために、異なるモダリティを用いた代替形式が提供される。
利用者が視覚的に確認したり、理解したりすることを意図していない非テキストコンテンツ。ページ上でテキストを移動させるために用いる透過画像、ログ解析のために用いる非表示の画像、情報は何も伝えていないが単に空白を埋めて見栄えをよくするための渦 (swirl) などが、この例として挙げられる。このような画像に代替テキストを記述すると、スクリーンリーダーの利用者がそのページのコンテンツを理解する妨げになるだけである。しかし、その非テキストコンテンツを全くマークアップしなければ、利用者にその非テキストコンテンツが何なのか、どんな情報を見逃してしまったのかを推測させてしまうことになる(実際には何も見逃していなかいのであるが)。そのため、このような非テキストコンテンツについては、支援技術 (AT) がそれを無視して、かつ利用者には何も提示しないような方法でマークアップあるいは実装する。
達成基準 1.1.1 の具体的なメリット
この達成基準は、視覚的なコンテンツを知覚するのが困難な利用者の役に立つ。支援技術が、テキストを読み上げたり、視覚的に提示したり、点字に変換したりすることができるようになる。
代替テキストは、写真、図面、その他の画像(例: 線画、グラフィックデザイン、絵画、3D表現)、グラフ、チャート、アニメーションなどの意味を理解するのが困難な利用者の役に立つことがある。
デフ、音声の聞こえづらい、あるいは何らかの理由で音声情報を理解するのが困難な利用者が、テキストでの表現を読むことができるようになる。テキストを手話に自動変換する研究が現在進められている。
盲ろうの利用者が、テキストを点字で読むことができるようになる。
加えて、代替テキストは非テキストコンテンツの検索を可能とし、コンテンツを様々な方法で再利用できるようにする。
達成基準1.1.1 の事例
データのグラフ
6月、7月、そして8月にどれだけの数の商品が売れたかを比較している棒グラフがある。簡潔なラベルには、「図1: 6月、7月、8月の売上」と書かれている。長めの説明には、グラフの種類が示されていて、そのグラフから見てとれるものに相当する、データの概要、傾向や意味合いが提供されている。可能な場合には、実際のデータが表で提供されている。
演説を録音した音声
「議会での議長の演説」という音声クリップへのリンクがある。そして、書き起こしテキストへのリンクが、その音声クリップへのリンクの直後に提供されている。
車のエンジンがどのように動くのかを紹介するアニメーション
車のエンジンがどのように動くのかを見せているアニメーションがある。音声はなく、そのアニメーションはエンジンがどのように動くかを解説する指導書の一部である。指導書のテキストがすでにすべてを説明しているため、そのアニメーションはテキストの代替物であり、その代替テキストにはアニメーションの簡潔な説明のみが記述されていて、代替テキストのより詳細な情報は指導書のテキストを参照している。
交通情報ウェブカメラ
利用者がある大都市の至る所に設置された様々な ウェブカメラを選択することのできる ウェブサイトがある。どれか一つのカメラを選択すると、画像が2分おきに更新される。簡潔な代替テキストでは、そのウェブカメラを「交通情報ウェブカメラ」と説明している。また、そのサイトでは、ウェブカメラの範囲に入るルートのそれぞれの所要時間を表で提供している。そして、その表も2分おきに更新されている。
ニュース記事にある歴史的な出来事の写真
国際サミット会議に関するニュース記事と一緒に、2人の世界的なリーダーが握手をしている写真がある。代替テキストには、「X国のX大統領が、Y国のY首相と握手している。」と記述されている。
外交関係を議論するコンテンツにある歴史的な出来事の写真
外交上の衝突におけるニュアンスを説明するために、異なる文脈で同じ写真が使われている。首相と握手している大統領の画像が、もつれた外交関係を議論しているウェブサイトに掲載されている。最初の代替テキストには、「X国のX大統領が、2009年1月2日に、Y国のY首相と握手している。」と書かれている。補足の代替テキストは、両首脳の顔の表情と2人が立っている部屋の説明をしていて、さらに、その部屋にいる他の人たちのことも示している。その補足的な説明は、写真と同じページにあるかもしれないし、リンクあるいはその他の標準的なプログラムによるメカニズムによってその画像と関連付けられた別のファイルにあるかもしれない。
記者会見を録音した音声
ウェブページに、記者会見を録音した音声へのリンクがある。リンクテキストは、録音された音声を示している。また、そのページには記者会見の書き起こしテキストへのリンクもある。書き起こしテキストには、話者が発言したすべての逐語的な記録がある。そこには、例えば、喝采、笑い、聴衆からの質問など、その録音の一部であるその他の重要な音声とあわせて、誰が話しているのかも記されている。
E-ラーニングアプリケーション
回答が正しいかどうかを示すために効果音を用いている E-ラーニングアプリケーションがある。チャイム音はその回答が正解であることを示し、ビープ音はその回答が不正解であることを示している。テキストの説明もあるため、その音を聞いたり理解したりすることができない利用者も、その回答が正解かどうかを理解することができる。
リンクのあるサムネール画像
「スモールヴィル・タイムス」のウェブサイトにリンクしている、新聞の一面のサムネール画像がある。その代替テキストには、「スモールヴィル・タイムス」と記述されている。
異なるサイトで使われている同じ画像
世界地図の画像に対する異なる代替テキストの例: 旅行サイトで海外旅行コーナーへのリンクとして用いられている世界地図の画像には、「海外旅行」という代替テキストがある。同じ画像が、「国際キャンパス」という代替テキストとともに、ある大学のウェブサイトでリンクとして用いられている。
イメージマップ
ビルのフロアプランのイメージマップ画像は操作可能で、利用者が特定の部屋を選択して、その部屋に関する情報のあるページへ移動することができる。「ビルのフロアプラン。より詳細な情報は部屋を選択してください。」という簡潔な代替テキストが、そのイメージマップの画像全体と操作の目的を説明している。
関連リソース
リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。
達成基準1.1.1 の実装方法及び不適合事例 - 非テキストコンテンツ
この節にある番号付の項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する実装方法、又は複数の実装方法の組合せを表している。WCAG 2.0 適合要件のすべてが満たされている場合にのみ、次に挙げる実装方法により、この達成基準を満たすことができる。
達成基準を満たすことのできる実装方法
使用法: そのコンテンツに合致する状況を以下から選択すること。それぞれの状況には、WCAG ワーキンググループがその状況において十分であると判断する、番号付の実装方法(又は、実装方法の組合せ)がある。
状況 A: 短い説明によって、非テキストコンテンツと同じ目的を果たし、同じ情報を提示できる場合:
次に挙げる短い代替テキストの実装方法を用いて、 G94: 非テキストコンテンツに対して、それと同じ目的を果たし、同じ情報を提供する、簡潔な代替テキストを提供する
状況 B: 短い説明によって、非テキストコンテンツと同じ目的を果たし、同じ情報を提示できない場合(例:チャート又はダイアグラム):
次に挙げる短い 代替テキストの実装方法及び次に挙げる長い説明の実装方法の一つを用いて、G95: 非テキストコンテンツの簡単な説明を提供する、簡潔な代替テキストを提供する
状況 C: 非テキストコンテンツがコントロールである、又は利用者の入力を受け入れる場合:
次に挙げる短い代替テキストの実装方法を用いて、G82: 非テキストコンテンツの目的を特定する代替テキストを提供する
H65: label要素を用いることができないとき、title属性を用いてフォーム・コントロールを特定する (HTML)
状況 D: 非テキストコンテンツが時間の経過に伴って変化するメディアである場合(ライブの映像しか含まないコンテンツ及びライブの音声しか含まないコンテンツを含む); テキストで提示されると無効になる試験又は演習;又は、特定の感覚的体験を創り出すことを主に意図しているコンテンツ:
次に挙げる短い代替テキストの実装方法を用いて、ラベルを記述する。
次に挙げる短い 代替テキストの実装方法を用いて、G68: コンテンツの内容が分かるラベルを提供し、ライブの音声しか含まないコンテンツ及びライブの映像しか含まないコンテンツの目的を説明する
次に挙げる短い 代替テキストの実装方法を用いて、G100: 非テキストコンテンツの一般に認められた名前又は内容が分かる名前を提供する
状況 F: 非テキストコンテンツを支援技術が無視するようにしなければならない場合:
次に挙げるウェブコンテンツ技術特有の実装方法を用いて、支援技術が非テキストコンテンツを無視するように実装する、又はマークアップする。
前述の「達成基準を満たすことのできる実装方法」を用いる際の短い代替テキストの実装方法
H37: img 要素の alt 属性を用いる (HTML)
H35: applet 要素に代替テキストを提供する (HTML)
H30: a 要素のリンクの目的を説明するテキストリンクを提供する (HTML)
注記: 達成基準 2.4.4 文脈におけるリンクの目的を理解するを参照のこと。
前述の「達成基準を満たすことのできる実装方法」を用いる際の長い代替テキストの実装方法
H45: longdesc 属性を用いる (HTML)
達成基準 1.1.1 でさらに対応が望まれる実装方法(参考)
適合するためには必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするためには、次の付加的な実装方法もあわせて検討するとよい。ただし、すべての状況において、すべての実装方法が使用可能、または効果的であるとは限らない。
非テキストコンテンツに関する一般的な実装方法(参考)
参考情報の非テキストコンテンツを識別する(リンク追加予定)
簡潔な説明を短く保つ(リンク追加予定)
テキストを含む画像を説明する(リンク追加予定)
上に挙げる長い説明のためのウェブコンテンツ技術特有の実装方法(アクセシビリティ・サポーテッドなコンテンツ技術)を用いて、説明のラベルが求められるところだけで、非テキストコンテンツのより長い説明を提供する(リンク追加予定)
非テキストコンテンツが等価でアクセシブルな代替が無い場合、大きさの異なる非テキストコンテンツを提供する(リンク追加予定)
画像化された文字の大きさを変えるサーバーサイドのスクリプトを使う(リンク追加予定)
ライブの非テキストコンテンツに関する一般的な実装方法(参考)
同程度の情報を提供するテキスト情報(例えば、交通のウェブカメラに対して、自治体の提供するテキストの交通情報へのリンク)にリンクする(リンク追加予定)
CAPTCHAの障壁を最小化する一般的な実装方法
CAPTCHAを3つ以上の感覚モダリティで提供する(リンク追加予定)
CAPTCHA を使用しないでもすむように、カスタマーサービスの担当者に連絡できるようにする(リンク追加予定)
許可した利用者には CAPTCHA を要求しない(リンク追加予定)
HTMLの実装方法(参考)
フレームをサポートしないブラウザのために作成する(リンク追加予定)
iframe要素の代替コンテンツを提供する(リンク追加予定)
iframe要素の長い説明を使わない(リンク追加予定)
クライアントサイドイメージマップのために冗長なテキストリンクを提供する(リンク追加予定)
CSSの実装方法(参考)
C18: レイアウトには、スペーサーの画像ではなくCSSのmarginおよびpaddingプロパティを用いる (CSS)
装飾のためのimg要素の代わりに、CSSのbackgroundプロパティと:beforeあるいは:afterルールを使う(リンク追加予定)
空のtable要素のセルを表示する(リンク追加予定)
達成基準 1.1.1 のよくある不適合事例
以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準 1.1.1 に適合していないとみなした、よくある不適合事例である。
F30: 達成基準 1.1.1 及び 達成基準 1.2.1 の不適合事例 - 代替ではない代替テキストを用いている(例:ファイル名、プレースホルダー・テキストなど)
F20: 達成基準 1.1.1 及び 達成基準 4.1.2 の不適合事例 - 非テキストコンテンツの変更時に代替テキストを更新していない
F39: 達成基準 1.1.1 の不適合事例 - 支援技術が無視すべき画像に対して、空ではない代替テキストを提供している(例: alt="spacer" 又は alt="image")
F38: 達成基準 1.1.1 の不適合事例 - HTMLで装飾を目的にして用いられている非テキストコンテンツのalt属性を省略している
F71: 達成基準 1.1.1 の不適合事例 - 代替テキストを提供せずに、テキストのようなものを用いてテキストを表している
F65: 達成基準 1.1.1 の不適合事例 - img要素、area要素、及び type "image" のinput要素のalt属性を省略している
F67: 達成基準 1.1.1 及び 達成基準 1.2.1 の不適合事例 - 非テキストコンテンツに対して、それと同じ目的を果たしていない、又は同じ情報を提示していない長い説明を提供している
重要な用語
- CAPTCHA
Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart(コンピュータと人間とを判別する完全自動化されたチューリングテスト)の頭文字語。
注記 1: CAPTCHA のテストは、わざと不明瞭にした画像又は音声ファイルによって提示されるテキストを、利用者に入力するように求めることが多い。
注記 2: チューリングテストは、人間とコンピュータを判別するために設計されたテストの仕組みである。その名は、これを考案した有名なコンピュータ科学者のアラン・チューリングにちなんで名付けられた。この用語は、カーネギーメロン大学の研究者たちによる造語であった。[CAPTCHA]
- テキスト
- 代替テキスト
非テキストコンテンツとプログラムで関連付けられているテキスト。又は非テキストコンテンツとプログラムで関連付けられているテキストから参照されるテキスト。プログラムで関連付けられたテキストとは、そのテキスト場所を、非テキストコンテンツからプログラムが解釈可能なテキストである。
事例 : 直後にある段落でテキストで説明されているチャートの画像があり、そのチャートの説明が後に書かれていることが代替テキストによって簡潔に示されている。
注記: より詳細な情報は、「代替テキスト」を理解するを参照のこと。
- 特定の感覚的な体験
単に装飾だけを目的にしたものではなく、主に重要な情報を伝えたり機能を提供したりするものでもない感覚的な体験。
事例 : フルートのソロ演奏、視覚芸術の作品などが例として挙げられる。
- 装飾だけを目的
美的な目的だけを果たしていて、情報は提供せず、機能性も備えていない。
注記: その単語を手直ししたり置き換えたりしてもその目的が変わらないのであれば、テキストは単に装飾だけを目的にしたものといえる。
事例 : 背景にとても淡い文字で単語がランダムに並んでいる辞書の表紙。
- 識別名
ソフトウェアがこれを用いて、ウェブコンテンツのコンポーネントを利用者に識別させることができるテキスト
注記 1: 識別名は隠されていて、支援技術に対してだけ明らかにされる場合もあるが、ラベルはすべての利用者に提示される。多くの場合(すべてではないが)、ラベルと識別名は同じである。
注記 2: これは、HTML の name 属性とは関係がない。
- 非テキストコンテンツ
プログラムが解釈可能な文字の並びではないコンテンツ、又は文字の並びが自然言語においても何をも表現していないコンテンツ。
注記: これには、(文字又は記号の空間的配置による図画である)ASCII アート、顔文字、(当て字を用いる)リートスピーク、そして文字を表現している画像が含まれる。
- (この文書で用いられている)支援技術
ユーザエージェントとして機能する、又は主流のユーザエージェントと一緒に機能するハードウェア及び/あるいはソフトウェアで、主流のユーザエージェントで提供されている機能以上の機能を、障害のある利用者の要求を満たすために提供するもの。
注記 1: 支援技術が提供する機能としては、代替のプレゼンテーション(例:合成音声や拡大表示したコンテンツ)、代替入力手法(例:音声認識)、付加的なナビゲーション又は位置確認のメカニズム、及びコンテンツ変換(例:テーブルをよりアクセシブルにするもの)などを挙げることができる。
注記 2: 支援技術は、API を用いて監視することで、主流のユーザエージェントとデータやメッセージのやりとりをすることが多い。
注記 3: 主流のユーザエージェントと支援技術とを区別するのに、絶対的な基準などはない。多くの主流のユーザエージェントは、障害者を支援する機能を提供している。基本的な差異は、主流のユーザエージェントが障害のある人もない人も含めて、広く多様な利用者を対象にしているのに対し、支援技術は、特定の障害のある利用者という、より狭く限られた人たちを対象にしているということである。支援技術により提供される支援は、対象とする利用者のニーズにより特化した適切なものである。主流のユーザエージェントは、プログラムのオブジェクトからウェブコンテンツを取り出したり、マークアップを識別可能な構造に解釈したりするような、重要な機能を支援技術に対して提供する場合がある。
事例 : この文書の文脈において重要な支援技術としては、以下のものが挙げられる:
画面拡大ソフトおよびその他の視覚的な表示に関する支援技術。視覚障害、知覚障害、および読書困難などの障害のある人が、レンダリング後のテキストおよび画像の視覚的な読みやすさを改善するために、テキストのフォント、サイズ、間隔、色、音声との同期などを変更するのに使用している。
スクリーンリーダー。全盲の人がテキスト情報を合成音声あるいは点字で読み取るために使用している。
音声変換ソフトウェア。認知障害、言語障害、および学習障害のある人が、テキストを合成音声に変換するために使用している。
音声認識ソフトウェア。何らかの身体障害のある利用者が使用することがある。
代替キーボード。特定の身体障害のある人がキーボードを擬似操作するのに使用している(ヘッドポインタ、シングルスイッチ、呼気・吸気スイッチ、およびその他の特別な入力デバイスを使った代替キーボードを含む)。
代替ポインティングデバイス。特定の身体障害のある人がマウスポインタとボタンを擬似操作するのに使用している。