解説書 達成基準 2.2.3:タイミング非依存 (レベル AAA)
要約
- 目標
- 利用者が時間制限に縛られない。
- 何をすればよいか
- 映像及びライブイベントを除き、時間制限を設けない。
- なぜそれが重要か
- 障害のある人は、行為を完了するのに、より長い時間を要することが多い。
意図
この達成基準の意図は、制限時間のあるインタラクションを要求するコンテンツの提供を最小限にすることである。それにより、全盲、ロービジョン、認知能力の低下、又は運動障害のある利用者が、コンテンツを利用できるようになる。この達成基準は、唯一の例外がリアルタイムのイベントであるという点で、達成基準レベル A とは異なる。
注記
手話のような映像しか含まないコンテンツはガイドライン 1.1 で取り上げられている。
利点
- 身体障害のある利用者は、反応したり、入力したり、タスクを完了したりするのに、より長い時間を要することが多い。ロービジョンの利用者は、画面上で何かを探したり、読んだりするのに時間がかかる。全盲でスクリーンリーダーを使用している利用者は、画面のレイアウトを理解したり、情報を見つけたり、そしてコントロールを操作したりするのに時間がかかるかもしれない。認知能力の低下、又は言語の障害のある利用者は、読んだり、理解したりするのに時間がかかる。ろう者で手話によるコミュニケーションしている利用者は、(彼らにとっては第二言語のようなものかもしれない)テキストで書かれた情報を読むのに時間がかかるかもしれない。
- 手話通訳者がろう者に音声コンテンツを通訳しているような状況では、制限時間を調整できることも重要である。
事例
- 試験を完了する時間が採点に影響しないように設計された試験
- 制限時間を用いてオンライン試験の結果を評価するのではなく、制限時間がないときの点数をもとに試験の結果を評価している。
- 利用者がリアルタイムで競い合うのではなく、交代で行うように設計されたゲーム
- 一つのグループが、ゲームの競争時の形勢を無効にすることなく、ゲームを一時停止することができる。
テクニック
この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断するテクニック、又は複数のテクニックの組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらのテクニックを用いる必要はない。その他のテクニックについての詳細は、WCAG 達成基準のテクニックを理解するの「その他のテクニック」を参照のこと。
十分なテクニック
重要な用語
音の再生技術。
注記
音声には、合成して作られたもの (音声合成を含む)、実世界の音を収録したもの、又はその両方が含まれる。
もし取り除いてしまうと、コンテンツの情報又は機能を根本的に変えてしまい、かつ、適合する他の方法では情報及び機能を実現できない。
テキストで (直接又はテキストによる代替によって) 既に提示されている情報以上のものを提示していないメディア。
注記
メディアによるテキストの代替は、テキストを代替する提示の恩恵を受ける人たちのために提供される。テキストの代替メディアになりうるのは、音声しか含まないメディア、映像しか含まない (手話の映像を含む) メディア、又は音声付映像メディアである。
a) 閲覧と同時に発生し、かつ b) コンテンツによる生成だけでは完結しないイベント。
情報を提示するために、他のフォーマットと同期した音声もしくは映像、及び/又は時間に依存するインタラクティブな構成要素と同期した音声もしくは映像。ただし、そのメディアがメディアによるテキストの代替であって、そのように明確にラベル付けされているものは除く。
写真又は画像を動かす、又はシーケンス化する技術。
注記
映像は、アニメーション画像もしく実写画像、又はその両方で構成され得る。