最近のWebアクセシビリティ事情や、今年3月に改正されたWebアクセシビリティに関する公的規格である「JIS X 8341-3」にも触れながら、Webアクセシビリティの概略を紹介しました。
実際の文面を事例として、当委員会が公開している「ウェブコンテンツのJIS X 8341-3:2016対応度表記ガイドライン 2016年3月版」などのJIS X 8341-3:2016関連文書に照らしながら、「方針」や「試験結果」の表示方法を紹介しました。
回答者個人を特定するおそれのある情報につきましては、割愛させていただきました。また、文意を変えない範囲で、漢字の使い方や句読点等、適宜編集のうえ掲載させていただきました。
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QJIS AAに準拠するための費用はどのくらいですか?
A準拠には試験が必須となります。試験は、誰でも行うことができますが、第三者に試験実施を委託する場合には、費用がかかることになります。なお、当委員会では試験の受託はしておらず、試験実施業者の紹介等も行っておりません。
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Q画像には必ずaltを入れなければなりませんか?
Aalt属性は基本的に必須です。装飾である場合を除き、属性値を適切に記す必要があります。
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QYouTubeをアクセシビリティに対応させたいです。どうやったらいいですか?
A動画で伝えている内容に応じて、キャプション、音声解説を付与する必要があります。
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Q実装チェックリストは必ずつくらないといけないのでしょうか?実装チェックリストは公開しなくてはいけないものなのか、それとも公開については任意なのでしょうか?
A附属書JBに基づく試験では、実装チェックリストは「追加の表示事項」という位置づけであり、必須ではありません。達成基準チェックリストは必須です。
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Q依存するWeb技術について公開すべきなのでしょうか(特にバージョンについて)?
A附属書JBによる試験では、「表示事項」として示されています。例示には記載がありませんが、可能であれば、バージョンまで記すと良いでしょう。
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Qそもそも「依存」するWeb技術とはどのような意味なのでしょうか。使われているWeb技術ということでしょうか?
A示されているウェブコンテンツ技術を用いることで、ウェブコンテンツにアクセス可能となることを指します。ウェブコンテンツに使用されていても、他のウェブコンテンツ技術によってウェブコンテンツにアクセス可能である場合には、「依存しない」こことなります。
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Q一部準拠について詳しくお聞きしたいです。
AAに該当するすべての達成基準を満たす場合には、A準拠。一つでも満たすことのできない達成基準がある場合にはA一部準拠となります。AおよびAAに該当するすべての達成基準を満たす場合には、AA準拠となります。AAに該当する達成基準をすべて満たしているが、Aに該当する達成基準を一つでも満たしていない場合には、A一部準拠となります。
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Q文字サイズ変更ボタンいらない?文字サイズ200%の実現方法は?
A画面の拡大機能を備えるウェブブラウザを想定している場合には、Webサイトに文字サイズ変更機能を備える必要はありません。
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Q自分で試験して適合宣言した後、第三者から間違いを指摘されたらどうする?修正・再試験すればよい?
A試験結果は、試験実施時点でのWebアクセシビリティ品質を客観的に示したものであり、永続的な品質を示すものではありません。第三者からの指摘が、試験時点とは異なるコンテンツに対するものである可能性が否定できませんので、再試験を行なう必要はありません。ただ、問題が生じている状況が明らかになったのであれば、ウェブコンテンツの修正は積極的に行うべきと考えます。
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Q文字/音声の支援ツールについて、標準化(仕様)などの動きはありますか?
A当委員会では把握していません。
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Q除外したページ(あるいは動画)の扱いは?NTTドコモのページでは〜の一部という表記がありました。どのページか具体的には明記されてませんでしたが、この方法で準拠といってよいのかわかりません。準拠できそうもないページは対象にしないというのはよいのか…
Aウェブアクセシビリティ方針においては「〜の一部」といった表現は許容されます。ですが、試験結果表示の際には「試験を実施したウェブページのURI」などで、第三者が対象コンテンツを特定できる表現が求められます。
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QJIS X 8341-3:2010(旧規格)とJIS X 8341-3:2016の主な違いはどういった点がありますか?
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Q適合宣言後に第三者に間違いを指摘された場合の質問に補足です。指摘内容に対応するとして宣言を取り下げる(ページを下ろす)必要はありますか?
Aあくまでも試験実施時点での適合状況を示すものですので、試験後に不適合な状況が判明した場合であっても、宣言を取り下げる必要はありません。
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QCSSで画像表示することが増えてきました。「img=altを入れる」と同じように、代替テキストの提供は必須ですか?具体的な実装方法についても例を教えてください。
ACSSのbackground-imageプロパティに文字画像を指定することを想定されていると思われますが、この方法は
1.1.1の不適合事例(F3)として挙げられており、1.1.1を満たすことはできません。
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Q2014年以前の動画を除外する場合、一部準拠?2014年以降の動画が対応できていれば準拠?
Aファイルの作成時期が異なる場合、それらを当面の対象範囲に含めるかは、コンテンツ提供者の任意です。なお、「準拠」「一部準拠」は、対象コンテンツの「全部」「一部」の違いを示す言葉ではなく、特定のコンテンツに対して達成基準の全部を満たすか、一部を満たすかの別を示すものとなります。
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Q来年度リニューアル予定。リニューアルと一緒にJIS X 8341-3に対応予定。今のホームページに、アクセシビリティ方針を公開した方がよいか。今のホームページは対応・修正する予定はない。
A現在のホームページに、ウェブアクセシビリティ方針を掲載することを推奨します。リニューアルの完了時期を、目標を達成する期限として示し、合わせて、現在把握している問題点を記すと良いでしょう。
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Qスマートフォン環境でのアクセシビリティ確保について たとえば文字サイズ変更ボタンなど不要か?(ピンチイン/アウトができなサイトもあるので)できるように作る必要があるのか?
Aピンチイン、ピンチアウトができるよう作成することが望ましいと考えます。
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Qガイドラインによると、総務省はアクセシビリティ対応について、各組織の対応状況を確認して公表するというような記載があったと思うが、どのように行なわれるのか知りたい。
A当委員会では、総務省が行なう活動を把握しておりませんので、総務省様へお問い合わせください。なお、総務省主催で公的機関向けの講習会が開催されることが公になっておりますので、そちらに参加されることで得られる情報もあるかと思います。
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Q2020年の東京オリンピックへ向けて、対応しておくべきことはありますでしょうか?
A東京オリンピック・パラリンピックに向けての特段の対応を求められることはありませんが、2020年を契機に増加が期待される訪日外国人に対するサービス向上の一環として、Webアクセシビリティの確保を継続的に推進されることを期待します。
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Qスクリーンリーダーはいくつかあると思いますが、私たちが確認用に使用する場合、どのソフトがいいのでしょう。読み上げられ方がそれぞれ違うようなので、おすすめがあれば教えてください。
A当委員会として推奨するスクリーンリーダーはございません。例えば、利用者が多い製品としては、2013年に実施された「視覚障害者の携帯電話・スマートフォン・タブレット・パソコン利用状況調査 2013」の調査結果では「PC-Talker」が挙げられています。また、無償ですぐ利用できる製品としては、Windows用の「NVDA」、Mac OS/iOSに標準搭載の「VoiceOver」、Androidの「TalkBack」などがあります。
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Q「供給者適合宣言」に対する適合審査などありますか?
Aありません。
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Q第三者認証機関会社に対する審査など整備状況は?
A当委員会では把握していません。
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QJIS規格=ISO=W3C とありましたが、今後日本でもJIS規格を守ることがスタンダードとなりつつあるのでしょうか?
AJISは、公的機関においては工業標準化法に基づく尊重義務がございますが、法的義務までは有していません。ですが、一致規格となったことで日本独自の取組を行う必要性が低下したため、その取組は推進される可能性があります。
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QJBの試験で、計40〜50ページに満たないサイトは、どのように数をページ数を設定しますか?
Aすべてのページを選択して「ウェブページ単位」で試験を実施することが可能です。
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ASVGに限らず、特定のウェブコンテンツ技術は、それがアクセシビリティ・サポーテッドである、つまり、利用者の使用している支援技術が対応していて、かつ、主流なユーザーエージェントのアクセシビリティ機能が対応している場合に、利用可能です。
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Q試験をする時の項目ごとの効率化について教えてください(機械的にやれる項目ならツールは何を?目視ならどのように?
A検証作業の支援を目的として、総務省では「
miChecker(エムアイチェッカー)」を公開しています。また、CMS内や、ブラウザの拡張機能などで、アクセシビリティ評価に用いることのできる各種ツールが存在しています。これらのツールを用いることで、一部の達成基準についての適否を評価できますが、表現の適切性など文脈に依存する内容については、目視による判断が必須です。
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Q「このページの先頭へ」リンクが、フッターリンク群の前に単独ブロックで存在している場合、
1.3.2に不適合となりますか?
Aコンテンツの意味に影響を及ぼすものでない場合であれば、1.3.2に不適合とはなりません。
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Q「パララックスサイト」(アニメーションなどで動きのある)が流行ですが、音声読み上げなどへの影響はあるのか?
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Q解説書で「アクセシビリティ・サポーテッド」と「プログラムによる解釈」の関係性が書かれているが、分かりにくいので説明してほしい。
A技術仕様上、「プログラムが解釈」可能とされていても、「アクセシビリティサポーテッド」でない実装方法、つまり、ウェブブラウザや支援技術の対応が十分でない実装方法を採用した場合、達成基準を満たしているとは言えないこととなります。