音声制御:
達成基準 1.4.2 を理解する
1.4.2 音声制御: ウェブページ上にある音声が自動的に再生され、その音声が3秒より長く続く場合、その音声を一時停止又は停止するメカニズム、もしくはシステム全体の音量レベルに影響を与えずに音量レベルを調整できるメカニズムを提供する。 (レベルA)
注記: この達成基準を満たさないコンテンツでは、利用者がそのウェブページ全体を使用できない恐れがあるため、ウェブページ上のすべてのコンテンツは他の達成基準を満たすために用いられているか否かにかかわらず、この達成基準を満たさなければならない。適合要件 5: 非干渉を参照のこと。
この達成基準の意図
スクリーンリーダーを使用している利用者は、同時に他の音声が再生されていると、スクリーンリーダーによる読み上げ音声が聞き取りづらくなる。スクリーンリーダーの読み上げ音声が、(今日ではほとんどがそうであるように)ソフトウェアをベースにしたもので、システム全体と同じ音量コントロールによって制御されていると、この状況はさらに悪化する。そのため、重要なのは、利用者が背景音の再生をオフにできることである。注記: 音量コントロールには、その音量をゼロまで下げられることを含む。
注記: 利用者があるページを閲覧し始めた時に音声が自動再生されると、スクリーンリーダーの利用者はその音声を停止させるメカニズムを探しづらくなることがある。なぜなら、スクリーンリーダーの利用者は、読み上げ音声を聞きながらナビゲートしており、自動的に開始した音声がそのナビゲーションを邪魔してしまうかもしれないからである。そのため、WCAG ワーキンググループでは、音声を自動的に再生しないことを推奨し(特に、3秒よりも長く続く場合)、利用者がそのページを閲覧し始めた後、利用者によって音声の再生を停止させるのではなく、利用者の起こしたアクションによって音声が再生されることを勧める。
達成基準 1.4.7 小さい背景音又は背景音なしを理解するも参照のこと。
達成基準 1.4.2 の具体的なメリット
スクリーンリーダーを使用している利用者が、他に再生されている音声に邪魔されることなく、スクリーンリーダーの音声を聞くことができるようになる。難聴の利用者及びシステム全体の音量制御を用いているスクリーンリーダーの利用者にとっては(システム全体の音量を下げて、スクリーンリーダーの音量を上げるということができないため)特に重要である。
また、この達成基準は、音声が再生されていると、視覚的なコンテンツ(テキストを含む)に集中するのが困難な利用者に対しても役に立つ。
達成基準1.4.2 の事例
ページを開いたときに、音声ファイルの再生が自動的に開始される。しかし、利用者が、そのページの先頭にある「音を消す」というリンクを選択することで、その音声を停止させることができる。
音声が再生されるFlashのスプラッシュページがあり、3秒以内にその音声が停止する。
音声が自動的に再生されるFlashのスプラッシュページの先頭に、利用者が音声を停止できるコントロールがある。
達成基準1.4.2 の実装方法及び不適合事例 - 音声制御
この節にある番号付の項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する実装方法、又は複数の実装方法の組合せを表している。WCAG 2.0 適合要件のすべてが満たされている場合にのみ、次に挙げる実装方法により、この達成基準を満たすことができる。
達成基準を満たすことのできる実装方法
達成基準 1.4.2 でさらに対応が望まれる実装方法(参考)
適合するためには必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするためには、次の付加的な実装方法もあわせて検討するとよい。ただし、すべての状況において、すべての実装方法が使用可能、または効果的であるとは限らない。
自動的に再生される音を停止できる、ウェブページの先頭付近に提供されるコントロールに加えて、音声を停止できる広域サイト設定を提供する(リンク追加予定)
達成基準 1.4.2 のよくある不適合事例
以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準 1.4.2 に適合していないとみなした、よくある不適合事例である。