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解説書 達成基準 3.3.3:エラー修正の提案 (レベル AA)

要約

目標
利用者が誤りを解決する方法の提案を受け取る。
何をすればよいか
誤りが検出された場合は、既知の修正方法を提案する。
なぜそれが重要か
人々は、より早く、より少ない労力で誤りに対処できる。

意図

この達成基準の意図は、可能であれば、利用者が入力エラーを修正するのに適切な修正方法を入手できるようにすることである。「入力エラー」の定義は、「利用者が提供した情報で」、システムによって「受け付けられないもの」であるとされている。受け付けられない情報の例には、必須だが利用者によって省略された情報や、利用者によって提供されたが、必要なデータ形式や許容値の範囲外である情報が含まれる。

達成基準 3.3.1 は、入力エラー箇所を通知するためのものである。しかし、例えば、認知的な制約のある利用者は、入力エラーの修正方法を理解するのが困難なことがある。視覚障害のある利用者は、入力エラーの修正方法を正確に把握することができないことがある。フォーム送信がうまくいかなかった場合、利用者はエラーが発生したことには気づいていたとしても、そのエラーを修正する方法が分からないために、そのフォームを途中であきらめてしまうかもしれない。

コンテンツ制作者はエラーの説明を提供してもよく、又はユーザエージェントは技術固有な、プログラムによる解釈される情報に基づいてエラーの説明を提供してもよい。

利点

  • 入力エラーを修正する方法に関する情報を提供することによって、学習障害のある利用者がフォームに問題なく入力できるようになる。
  • 全盲の利用者又は視覚に障害のある利用者が、入力エラーの内容及びその修正方法をもっと容易に理解できるようになる。
  • 運動障害のある利用者は、入力内容を変更せざるを得なくなる回数を減らすことができる。

事例

入力エラーを修正するためのヘルプの追加
うまく送信されなかったフォームのエラー画面で、そのページで起こった入力エラーを正しい入力方法とあわせて説明していて、入力エラーになったテキストフィールドのヘルプを追加で提供している。
制限のある値の提示

月の名前を入力するテキストフィールドがある。利用者が「12」と入力すると、修正する方法が提示される:

  • 入力可能な値の一覧。例えば、「どれか一つを選んでください: January, February, March, April, May, June, July, August, September, October, November, December」。
  • 入力されたデータを異なるフォーマットに変換して提示する。例えば、「もしかして 'December' ですか?」

テクニック

この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断するテクニック、又は複数のテクニックの組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらのテクニックを用いる必要はない。その他のテクニックについての詳細は、WCAG 達成基準のテクニックを理解するの「その他のテクニック」を参照のこと。

注記

二つ以上の状況が適用される場合もある。例えば、必須フィールドが特別なデータフォーマットを要求する場合である。

十分なテクニック

そのコンテンツに合致する状況を以下から選択すること。それぞれの状況には、WCAG ワーキンググループがその状況において十分であると判断する、番号付のテクニック (又は、テクニックの組み合わせ) がある。

状況 A: フィールドの情報に、特別のデータフォーマットが要求される場合:

状況 B: 利用者の入力する情報は、複数の限定された値のうちの一つであることが要求される場合:

参考テクニック

適合のために必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするために、次の追加のテクニックを検討することが望ましい。ただし、すべての状況において、すべてのテクニックが使用可能、又は効果的であるとは限らない。

クライアントサイドのスクリプトのテクニック (参考)

重要な用語

支援技術 (assistive technology)

障害のある利用者の要件を満たすために、主流のユーザエージェントが提供する機能を超えた機能を提供するような、ユーザエージェントとして動作する、又は主流のユーザエージェントと共に動作するハードウェア及び/又はソフトウェア。

注記

支援技術が提供する機能としては、代替の提示 (例: 合成音声や拡大表示したコンテンツ)、代替入力手法 (例: 音声認識)、付加的なナビゲーション又は位置確認のメカニズム、及びコンテンツ変換 (例: テーブルをよりアクセシブルにするもの) などを挙げることができる。

注記

支援技術は、API を利用、監視することで、主流のユーザエージェントとデータやメッセージのやりとりをすることが多い。

注記

主流のユーザエージェントと支援技術との区別は、絶対的なものではない。多くの主流のユーザエージェントは、障害のある個人を支援する機能を提供している。基本的な差異は、主流のユーザエージェントが障害のある人もない人も含めて、広く多様な利用者を対象にしているのに対し、支援技術は、特定の障害のある利用者という、より狭く限られた人たちを対象にしているということである。支援技術により提供される支援は、対象とする利用者に特化した、よりニーズに適したものである。主流のユーザエージェントは、プログラムオブジェクトからのウェブコンテンツの抽出、マークアップの識別可能な構造への解釈といった、重要な機能を支援技術に対して提供する場合がある。

入力エラー (input error)

利用者が入力した情報で、受け付けられないもの。

注記

以下のものが含まれる:

  1. そのウェブページでは必須であるが、利用者が入力しなかった情報
  2. 利用者が入力したが、要求されたデータ形式あるいは値ではない情報
ユーザエージェント (user agent)

ウェブコンテンツを取得して利用者に提示するあらゆるソフトウェア。

ウェブページ (web page)

単一の URI から HTTP で得た埋め込まれていないリソースに加え、レンダリングに使われる、又はユーザエージェントがこのリソースと一緒にレンダリングすることを意図しているその他のあらゆるリソースを合わせたもの。

注記

どのような「その他のリソース」も主たるリソースと一緒にレンダリングされるであろうが、これらのリソースが同時にレンダリングされるとは限らない。

注記

このガイドラインの適合範囲に含まれる対象となるウェブページとみなされるためには、リソースが「埋め込まれていない」リソースでなければならない。

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