解説書 達成基準 3.2.3:一貫したナビゲーション (レベル AA)
要約
- 目標
- コンテンツをより予測可能な方法でナビゲートできる。
- 何をすればよいか
- 複数のページで繰り返されるナビゲーションを一貫した順序で並べる。
- なぜそれが重要か
- 予測可能な動作をするコンテンツは、障害のある人々にとって特に重要である。
意図
この達成基準の意図は、ウェブページ一式の中で繰り返されるコンテンツと情報のやりとりをし、特定の情報又は機能を複数回にわたって探す必要がある利用者のために、一貫した提示及びレイアウトの使用を促進することである。一度に画面のごく一部を表示する画面拡大ソフトを使用しているロービジョンの人は、繰り返されるコンテンツの位置を素早く探すために、しばしば視覚的な手がかり及びページの境界線を用いる。同じ順序で繰り返されるコンテンツを提示することは、繰り返されるコンテンツを探すためにデザイン内の空間記憶又は視覚的な手がかりを用いる使用する画面を見ている利用者にとっても重要である。
このセクションの「同じ順序」という語句の使用は、サブナビゲーションメニューを使用できないことや、補助ナビゲーションのブロック又はページ構造を使用できないことを意味しないということが重要である。代わりに、この達成基準は、ウェブページ全体にわたって繰り返されるコンテンツとやりとりする利用者が、探しているコンテンツの位置を予測できるようにし、再度発生したときにより素早く見つけることができるよう支援することを意図している。
利用者は、適応したユーザエージェントを用いる、又は情報が利用者にとって最も有用な方法で表示されるようにプリファレンスを設定することによって、順序を変更をするかもしれない。
利点
- 繰り返されるコンポーネントが、サイトの各ページにおいて同じ順序で存在することを保証することで、利用者が各ページのどこにあるのかを予測できることを助ける。これは、 認知的限界のある利用者、 ロービジョンの利用者、 知的障害のある利用者に加えて、 全盲の利用者に役立つ。
事例
- 一貫して配置されているコントロール
- 検索のフィールドは、サイトにあるすべてのウェブページ上の最後の項目である。利用者は検索機能をすぐに見つけることができる。
- 展開するナビゲーションメニュー
- ナビゲーションメニューは、サイトの主要なセクションへのリンクを持つ七つの項目のリストを含んでいる。利用者がこれらの項目の一つを選択すると、サブナビゲーション項目のリストが、トップレベルのナビゲーションメニューに挿入される。
- 一貫して配置されているスキップナビゲーションのコントロール
- ウェブサイトにあるすべてのページ上に、「本文へジャンプする」というリンクが一番最初のリンクとして配置されている。そのリンクによって、利用者はヘッダーの情報及びナビゲーション部分をスキップして、ページのメインコンテンツ部分の開始位置へ移動することができる。
- ナビゲーションへのスキップリンク
- ナビゲーション部分は一貫して各ページの最後にある。キーボード利用者が、必要なときに容易に見つけられるように、「ナビゲーションへジャンプする」というリンクは一貫して各ページの先頭にある。
関連リソース
リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。
- Detweiler, M.C. and Omanson, R.C. (1996), Ameritech Web Page User Interface Standards and Design Guidelines.
- IBM: User experience design - Navigation.
テクニック
この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断するテクニック、又は複数のテクニックの組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらのテクニックを用いる必要はない。その他のテクニックについての詳細は、WCAG 達成基準のテクニックを理解するの「その他のテクニック」を参照のこと。
十分なテクニック
参考テクニック
適合のために必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするために、次の追加のテクニックを検討することが望ましい。ただし、すべての状況において、すべてのテクニックが使用可能、又は効果的であるとは限らない。
失敗例
以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準の失敗例とみなした、よくある間違いである。
重要な用語
障害のある利用者の要件を満たすために、主流のユーザエージェントが提供する機能を超えた機能を提供するような、ユーザエージェントとして動作する、又は主流のユーザエージェントと共に動作するハードウェア及び/又はソフトウェア。
注記
支援技術が提供する機能としては、代替の提示 (例: 合成音声や拡大表示したコンテンツ)、代替入力手法 (例: 音声認識)、付加的なナビゲーション又は位置確認のメカニズム、及びコンテンツ変換 (例: テーブルをよりアクセシブルにするもの) などを挙げることができる。
注記
支援技術は、API を利用、監視することで、主流のユーザエージェントとデータやメッセージのやりとりをすることが多い
注記
主流のユーザエージェントと支援技術との区別は、絶対的なものではない。多くの主流のユーザエージェントは、障害のある個人を支援する機能を提供している。基本的な差異は、主流のユーザエージェントが障害のある人もない人も含めて、広く多様な利用者を対象にしているのに対し、支援技術は、特定の障害のある利用者という、より狭く限られた人たちを対象にしているということである。支援技術により提供される支援は、対象とする利用者に特化した、よりニーズに適したものである。主流のユーザエージェントは、プログラムオブジェクトからのウェブコンテンツの抽出、マークアップの識別可能な構造への解釈といった、重要な機能を支援技術に対して提供する場合がある。
他の項目との相対位置が同じ。
注記
当初の順序に対して、別の項目が挿入、又は削除されていたとしても、項目は相対的に同じ順序になっていると考えられる。例えば、展開するナビゲーションメニューに詳細な追加階層が挿入される、又は、読みの順序の途中に副次的なナビゲーション部分が挿入されることがある。
共通の目的を共有し、同じコンテンツ制作者、グループ、又は組織により制作されたウェブページの集合。
注記
他言語版は、異なるウェブページ一式と見なされることもある。
ウェブコンテンツを取得して利用者に提示するあらゆるソフトウェア。
単一の URI から HTTP で得た埋め込まれていないリソースに加え、レンダリングに使われる、又はユーザエージェントがこのリソースと一緒にレンダリングすることを意図しているその他のあらゆるリソースを合わせたもの。
注記
どのような「その他のリソース」も主たるリソースと一緒にレンダリングされるであろうが、これらのリソースが同時にレンダリングされるとは限らない。
注記
このガイドラインの適合範囲に含まれる対象となるウェブページとみなされるためには、リソースが「埋め込まれていない」リソースでなければならない。