意図
この達成基準の意図は、全盲又は視覚障害のある人に、標準的な音声解説で提供できるものを超えて、同期したメディアによる提示へのアクセスを提供することである。これは、同期したメディアによる提示を一時的に停止させて、追加の音声解説を再生することによって行われる。その後、同期したメディアによる提示を再開する。
ただし、追加の説明を必要としない利用者にとっては、閲覧の邪魔になってしまうため、その機能のオンとオフを切り替えることのできる方法を提供する。あるいは、その代わりに、拡張した音声解説のあるバージョンとないバージョンとを提供してもよい。
メリット
- 全盲あるいは画面を見ることができないロービジョンの人、及び認知能力の低下により何が起こっているのかを視覚的に解釈しづらい人は、視覚的な情報についての音声解説をよく利用している。しかし、主音声の発話があまりにも多いと、音声解説では不十分である。拡張音声解説は、映像を理解するのに必要な追加情報を提供することができる。
事例
- 事例 1. 講義の映像。 物理学の教授が講義をしている。教授は、ホワイトボードに手書きで図を描きながら、早口で話している。一つの問題を解説し終えると、教授はすぐにその図を消して、別の図を描きながらもう片方の手で身振りを交えながら話し続けている。映像は、問題と問題の間で一時停止し、教授の描いた図と身振りを説明する拡張した音声解説を提供している。そして、映像の再生が再開される。
関連リソース
リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。
達成方法
この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。その他の達成方法についての詳細は、WCAG 達成基準の達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。
十分な達成方法
次のどれか一つを用いて、G8: 拡張音声解説が付いたムービーを提供する
- SM1: SMIL 1.0 で拡張音声解説を追加する
- SM2: SMIL 2.0 で拡張音声解説を追加する
- 音声及び映像をサポートしているプレーヤーを用いる
参考達成方法
適合のために必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするために、次の追加の達成方法を検討することが望ましい。ただし、すべての状況において、すべての達成方法が使用可能、又は効果的であるとは限らない。
重要な用語
音の再生技術。
音声には、合成して作られたもの (音声合成を含む)、実世界の音を収録したもの、又はその両方が含まれる。
主音声のトラックだけでは理解できない重要で視覚的な詳細を説明するために、音声トラックに追加されたナレーション。
映像の音声解説は、動作、登場人物、場面の変化、画面上のテキスト、及びその他の視覚的なコンテンツに関する情報を提供する。
標準的な音声解説では、ナレーションが会話の合間に挿入される。(拡張音声解説も参照。)
"video description" や "descriptive narration" とも呼ばれる。
日本語では「音声ガイド」とも呼ばれる。
映像を一時停止することで追加の説明を付加するための時間を確保し、視聴覚プレゼンテーションに付加した音声解説。
現実の出来事から取り込まれ、放送遅延以上の遅延なく受け手に送信される情報。
放送遅延は、短時間の (通常は自動的な) 遅れで、例えば放送局に放送のタイミング[queue→cue]の調整や音声 (又は映像) の検閲のための時間を与えるものだが、意味のある編集ができるほどのものではない。
もし情報が完全にコンピュータで生成されたものならば、それはライブではない。
テキストで (直接又はテキストによる代替によって) 既に提示されている情報以上のものを提示していないメディア。
メディアによるテキストの代替は、テキストを代替する提示の恩恵を受ける人たちのために提供される。テキストの代替メディアになりうるのは、音声しか含まないメディア、映像しか含まない (手話の映像を含む) メディア、又は音声付映像メディアである。
ライブではない情報。
情報を提示するために、他のフォーマットと同期した音声もしくは映像、及び/又は時間に依存するインタラクティブな構成要素と同期した音声もしくは映像。ただし、そのメディアがメディアによるテキストの代替であって、そのように明確にラベル付けされているものは除く。
写真又は画像を動かす、又はシーケンス化する技術。
映像は、アニメーション画像もしく実写画像、又はその両方で構成され得る。