アクセシビリティセミナー2018 開催報告 2018年12月10日 更新
2018年10月19日、
CEATEC JAPAN 2018 において、
アクセシビリティセミナー2018 を開催しました。
本セミナーでは、ウェブアクセシビリティについての2つのセッションを、当委員会の作業部会1(理解と普及)が企画・実施しました。
「Webアクセシビリティ:わたしたち、身近なこういうところで困っています」には
123 名(事前ご登録者数:279名)、「Webアクセシビリティ:わたしたち、こうして解決していきます」には
158 名(事前ご登録者数:422名)の方々にご参加いただきました。誠にありがとうございました。
Webアクセシビリティ:わたしたち、身近なこういうところで困っています
スピーカー
伊敷 政英 氏(Cocktailz、作業部会2 主査)
清家 順 氏((有)ユニバーサルワークス、作業部会1 主査)
増井 達巳 氏((合)フォース、作業部会1 委員)
諸熊 浩人 氏((株)U’eyes Design、作業部会2 招聘専門家)
冒頭、清家氏がWebアクセシビリティの概要について解説。その後全盲の諸熊氏、弱視の伊敷氏、高齢の増井氏それぞれが、デモンストレーションや講演を行い、当事者視点からWebアクセシビリティの課題を紹介しました。
Webアクセシビリティ:わたしたち、こうして解決していきます
スピーカー
秋山 豊志 氏((株)コンセント、作業部会4 作業協力者)
伊原 力也 氏(freee(株)、作業部会1 委員)
小林 大輔 氏(サイボウズ(株)、作業部会1 委員)
佐藤 歩 氏((株)サイバーエージェント、作業部会1 委員)
作業部会1委員の山中氏が進行役となり、コンセント、freee、サイボウズ、サイバーエージェントの各社がなぜWebアクセシビリティに取り組むのか、その理由や位置付け、また取り組みに対する評価について共有し合いました。
アンケート集計結果
アンケート回答数:
116
「Webアクセシビリティ:わたしたち、身近なこういうところで困っています」のみに参加された方からの回答数:17
「Webアクセシビリティ:わたしたち、こうして解決していきます」のみに参加された方からの回答数:25
双方に参加された方からの回答数:74
回答者個人を特定するおそれのある情報につきましては、割愛させていただきました。また、文意を変えない範囲で、漢字の使い方や句読点等、適宜編集のうえ掲載させていただきました。
参加者の属性
業種
回答数(%)
ウェブ
38(33%)
情報・通信
33(28%)
製造業
20(17%)
非製造業
2(2%)
サービス業
6(5%)
業界団体
0(0%)
公的機関
6(5%)
その他
6(5%)
無回答
5(4%)
職種
回答数(%)
広報・宣伝
7(6%)
企画・開発・研究
45(39%)
販売・営業
9(8%)
製造・生産・技術
16(14%)
総務・人事
0(0%)
経営
5(4%)
その他
13(11%)
無回答
21(18%)
Webアクセシビリティ:わたしたち、身近なこういうところで困っています
理解度
5段階評価で、5が「理解できた」、1は「難しかった」です。
理解度
5
4
3
2
1
無回答
回答数(%)
73(80%)
13(14%)
4(4%)
0(0%)
1(1%)
0(0%)
役立ち度
5段階評価で、5が「役に立った」、1は「役に立たなかった」です。
役立ち度
5
4
3
2
1
無回答
回答数(%)
70(77%)
15(16%)
6(7%)
0(0%)
0(0%)
0(0%)
参考になった内容
選択肢(複数選択可)
回答数(%)
諸熊(全盲)の利活用シーン
73(80%)
伊敷(弱視)の利活用シーン
75(82%)
まとめ・配慮のポイント
43(47%)
その他
4(4%)
無回答
9(10%)
お寄せいただいたコメント(一部)
ハンディを持つ方が、どのような苦心をされているのかが実感として理解できた。
スクリーンリーダーの音声をはじめて聞いたので、聞きとりにくさに驚きました。
アクセシビリティに配慮されていないとこんなことに困るのかを、具体的な例をもとに聞くことができ、大変参考になりました。
普段の生活がどのようなものか、使っているソフトが参考になった。
伊敷さんの身を削った情報提供に笑いました。
初めて全盲・ロービジョンの方がウェブサイトを利用しているところを見たのですが、衝撃的でした。障害のある方も「楽しむ」のだという観点に気づくことができました。
特にロービジョンの色反転や拡大鏡の利用など。デザインで解決というよりももっとコントラストや反転でのテストなどに重点を置くべきだと理解した。
諸熊さんのパソコンの音声ガイドや、伊敷さんの色を反転して拡大した画面など、実際に使用されているデバイスや操作場面を見られて面白かったです。
全盲の方のリーダー音声の早さや、ロービジョンの方のリンクテキストのみえかた、拡大率など日頃の使い方がみえてすごく良かった。
障害者だけでなく高齢者の人口の増加、読みにくさへの対応、全てのシーンでスマホの重要性を感じることが出来た。Google社の提唱するスマホファーストの意味を感じた。
どのように(Webを)使用しているのかがわかり、とても参考になりました。
健常者が使いにくいと感じる機能は障害者、高齢者はもっと使いにくいという点は非常に印象に残りました。
音声よみあげやロービジョンの人が実際にどのようにPCを使ってるか初めて見て驚いた。
高齢者目線で要求されるアクセシビリティのレベルを痛感しました。
具体的でよかった。3人のタイプが明確で興味が持て、面白く聞けました。
最後の、3人から一言ずつ…みたいなところの話が、とてもとても重要なことだと感じました。
音声APIの可能性を感じた。
最後の今後期待していることについてもう少し具体的に知りたかった。デモが分かりやすかった。
Webサイトの活用のしかたなど、実際の使い方のデモを見ることができて良かった。
サイトのコントラストのお話や、読み上げアプリのデモが興味深かった。
自分にはない視点なので、勉強になった。
音声でWebを見る、ということがこんな感じなのか、ということが新鮮だった。
読む環境が多様化して使いやすくなってる。Web+プロダクトで出来る事が増えた。
コントラスト比を設計段階でよく考えておかないといけないと思った。
デモンストレーションはどれも参考になりました。
実際に障がいを持っておられる方がどのようにサイトを見ているか、どのようなことに困っているかという話を聞けて大変役に立った。今後のアクセシビリティ配慮の参考になった。
厳密には立ち位置が違うが、企業の姿勢という点で見ると自分の所属している法人はまだスタートに立っていないので「近い将来」ではなく「現在必要としている人がいる」という視点で考えたい。
Webアクセシビリティ:わたしたち、こうして解決していきます
理解度
5段階評価で、5が「理解できた」、1は「難しかった」です。
理解度
5
4
3
2
1
無回答
回答数(%)
39(39%)
36(36%)
15(15%)
4(4%)
2(2%)
3(3%)
役立ち度
5段階評価で、5が「役に立った」、1は「役に立たなかった」です。
役立ち度
5
4
3
2
1
無回答
回答数(%)
27(27%)
31(31%)
25(25%)
10(10%)
3(3%)
3(3%)
参考になった内容
選択肢(複数選択可)
回答数(%)
どのように取り組みを始めたか
1(1%)
解決への取り組みの必要性
31(31%)
解決への取り組みの内容
23(23%)
解決への取り組みの進め方
44(44%)
まとめ
8(8%)
その他
3(3%)
無回答
33(33%)
お寄せいただいたコメント(一部)
「アクセシビリティはデザインの一部」という考え方が心に残りました。
品質とガイドラインが重要だが、その先の人が見えているかが重要。
自社や顧客へアクセシビリティ対応について提案する際にぶつかった壁と、どう乗り越えたかをもう少し聞きたかった。予算取りが難しい企業・自治体が多いと思うので…。
健常者にとって使いやすいということは障害をもつ方にも使いやすいにつながる。 特にfreee伊原氏の一つの小さな事柄の改善で1人が使いやすくなることでより間口が広がること。サイバーの方のコミュケーションツールや伝えるものとして、ハードルを下げることで母数を増やせることなどが印象的だった。
ガイドラインに沿うことを目的にせず、まずは目の前の相手がアクセスできるようにすることから始めるというお話を聞いて、ハードルが下がったように感じられました。当事者のフィードバックを得る機会もどうにかして作れればと思います。
freeeでは実際に全盲の方、当事者と会ってアクセシビリティ改善を行っていて素晴らしいと思った。
事例がWebアクセシビリティとイコールではないように感じた。具体例が伝わってこなかった。
健常者と障がい者の方の利便性工場が両立するという点が非常に興味深かったです。
基準だけを追うのではなく、「その先に人が見ていることが重要」という伊原さんのコメントがささりました。
伊原さん、小林さんの説明は分かりやすかった。 秋山さん、佐藤さんは???
ユーザーに姿勢を示すことから、一人からでも始められることに勇気をもらいました。
取り組みと意義が、考えさせられた。会社の考えもわかり良かったと思う。
全部、印象に残ったのですが一番印象的だったのがアクセシビリティはユーザーがチームにアクセスできるということでした。特定のユーザーじゃなくて、全ユーザーがアクセスできること、自分の業界にも生かせると思った。
皆さんやっぱり個人の草の根活動から頑張ってこられたんだなーと。作るものの先に「人」がいるって話は本当に忘れちゃいけないことだよなーと思いました。
活用できる情報がなかった。
講演タイトル「Webアクセシビリティ:わたしたち、こうして解決していきます」と内容が合っていなかった気がします。聞きたかった内容ではなかった。ですが有意義な話は聞けました。
どうやって活動を始めたかについての話が参考になった。
全体的にガイドラインを達成していくのではなく、「こういうところができる」といったところが大事。
もっと具体的な対応例を聞きたかった。
タイトルから得た印象と話がずれていた。社内での広め方が主だったんですね。
アクセシビリティの活動のきっかけが聞けて良かった。
サイボウズの方の話はわかり易く興味深かった。freeeの方は話が長い。
セミナーをお知りになったきっかけ
選択肢(複数選択可)
回答数(%)
WAICウェブサイト
23(20%)
WAIC SNS(Twitter,Facebook)
4(3%)
CEATECウェブサイト
59(51%)
友人・知人から
24(21%)
その他
4(3%)
無回答
6(5%)
今後セミナーで取り上げてほしいテーマ・内容
選択肢(複数選択可)
回答数(%)
Webアクセシビリティ全般
49(42%)
事例紹介(一般企業)
58(50%)
事例紹介(公的機関)
40(34%)
国内外の動向
39(34%)
技術的な解説
43(37%)
その他
4(3%)
無回答
10(9%)
ご意見など
発表内容へのご意見
困っていることはとても理解できましたし、必要性についても理解できました。ただ実際に自社のWebサービスを変えていくとなると、コストや効果、経営層への理解などいくつかハードルがありそうです。このあたりを実際にどうクリアしていったかの事例を教えていただけると、それらを参考にしてみたいと考えました。
ニーズややったほうがいいということはみんな思っているけど、実際データやユーザの声みたいなケーススタディが聞きたいです。
一部、二部で視点のちがった構成なのが面白かったです。二部の会社で制作開発したものを、1部でお話しされた立場の方からみて実際にどういう評価をするのか聞いてみたいと思いました。
技術指導をしてもらいたい。
具体的な改善例をもっと知りたい。画面UIについてなど。
社内で使用する基幹業務に携わっていますが、アクセシビリティの考え方が生かせそうだと強く思いました!勉強します!ありがとうございました。
気づき、事例、ニュース等持ち帰れる情報が欲しい。
インターネットが広まる中、アクセシビリティの大切さをあらためて感じました。放送業界につとめているので、Webだけでなくテレビやラジオにも、将来、よりアクセシビリティのようなガイドラインができればよいと思いました。
ネット環境を整える部分に大きな障害はないか気になった。タニタの初期設定が難しい話もありましたし、健常者でもネット環境をととのえるのは難しいため。
WAICサイトにアクセスしたことがないのであるのかもしれないが、Webサイトのバリアフリーのバリデーションがあるとよいと思う。
それぞれの会社(人)が何をやっているかというお話が中心でしたが、もう少し技術的視点があったり、より具体的なやり方を聞きたかった。
障害当事者、企業双方からの情報を得られてとても勉強になりました。啓発活動として、もっとひんぱんにセミナーを開催して頂けたらうれしいです。ありがとうございました。
会場・配布物に関するご意見
このアンケートの二次元バーコードを配布してほしかった。二部では、問題意識が会場内で共有されていたか、疑問。最初に趣旨をもう少し説明してほしかった。また、振り返りの資料といってもプレゼン資料には情報がないので、講演録のようなものが欲しいと思った。
アンケートをウェブでできるなら、アンケート用紙にQRコードを載せて欲しい。
第一部と第二部の間で一度外に出ないといけないのは不便。それぞれのパートが長かった。
部屋的には仕方がないかと思いますが、後ろの席だとスライドがまったく見えず、スライドは後から見れるけど、デモはそこでしか見られないから、それが残念でした。
障害者の方への配慮に関するご意見
障害者の参加者に対する配慮が欠けている。何故、後回しなのか? 一番うしろの席なのか? 会場の大きさを見直してほしい。大いに疑問を感じる。
当事者の偏りと矛盾を感じました。当事者の偏りは会員の中からなので仕方ないかもしれません。ただアンケートを求められたのですが、個人的に手が不自由で記述はもとより、プロジェクタが映し出すQCコードにスマホを向けられませんでした。問い合わせしてフォームのURIを教えていただいたものの、情報のアクセシビリティの理想と現実を感じていたのは事実です。失礼ながら書かせていただきました。
ダイバーシティを扱うセミナーなのに人権擁護への配慮ない言葉を使われていたのは改善すべき。「啓蒙」はOut。