達成基準 2.5.4: 動きによる起動を理解する

達成基準 2.5.4 動きによる起動 (レベル A): デバイスの動き又は利用者の動きで操作できる機能は、ユーザインタフェース コンポーネントでも操作でき、かつ偶発的な起動を防ぐために動きへの反応を無効化することができる。ただし、以下の場合は例外とする。

サポートされたインタフェース
アクセシビリティ サポーテッドなインタフェースを通じて機能を操作するために動きが用いられる。
必要不可欠
その機能にとって動きが必要不可欠であり、この達成基準に従うと動作を無効化してしまう。

意図

この達成基準の目的は、(カメラのようなセンサーがジェスチャを取得して解釈できるように) デバイスを動かすこと (例えば、振ることや傾けること) によって、又はデバイスに向かってジェスチャをすることによって引き起こされる機能を確実にすることである。動きが機能にとって不可欠であるか、又は動きもしくはジェスチャを使用しないことが活動を無効にしない限り、より従来型のユーザインターフェースコンポーネントによって操作される。

注記

この基準は、デバイスに向かってジェスチャをする、デバイスを傾ける、又はデバイスを振るなどの動作に直接反応するセンサーを介した入力に関するものである。この基準は、地理的位置センサー、又はビーコンによって記録されるような空間を通過する利用者の動き、又は利用者による意図的なジェスチャ以外のデバイスで観察されるイベントを取り扱う。また、キーボード、ポインタ、又は支援技術の操作に関連した間接的な動作についてもカバーしない。

デバイスには、電話やタブレットデバイスの加速度センサーやジャイロセンサーなど、入力として機能するセンサーがある。これらのセンサーは、利用者が単に向きを変えるか、又は装置を特定の方法で動かすことで何かを制御することを可能にできる。他の状況では、ウェブコンテンツはカメラ、又は他のセンサーを介して利用者のジェスチャを解釈して機能を作動させることができる。例えば、デバイスを振ると "Undo" コマンドが発行されうる。また、穏やかな手の波 (gentle hand wave) を使い一連のページを前後に移動しうる。デバイスが (おそらく車いすの) 固定マウントにあるため、又は運動障害のために、ある利用者はこれらのデバイスセンサーを (まったくないか、正確には十分ではないかのいずれかしか) 操作できない。機能は、他の又は追加の活性化する手段が利用できるよう実装されなければならない。

訳注

日本語訳の穏やかな手の波 (gentle hand wave) はスワイプ動作に相当する。

さらに、ある利用者は、振戦、又は他の運動障害のために誤ってセンサーを作動させる可能性がある。利用者は、このような偶然の機能の起動を防ぐよう動きによる起動をオフにする能力を持たなければならない。 アプリケーションは、利用者がシステムレベルで動きの検出を無効に設定できるオペレーティングシステムをサポートすることでこの要求を満たすことができるであろう。

訳注

振戦は医学用語。手、頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえ。振戦 - 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 - MSDマニュアル家庭版も参照のこと。

一部のアプリケーションは、デバイスセンサーデータを使用するように特別に作成されている。この要件から除外されるコンテンツの例には、歩数をカウントするためにデバイスの動きに依存する歩数計が含まれる。

メリット

事例

関連リソース

リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。

関連リソース

リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。

(今のところ、文書化されていない)

達成方法

この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。その他の達成方法についての詳細は、WCAG 達成基準の達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。

十分な達成方法

  • GXXX: コンテンツ機能を有効にするためにデバイスモーションイベントを使用しない
  • GXXX: デバイスのモーションセンサー入力を使用してコンテンツ機能を有効にするときに、代替の入力手段が存在することを確認する
  • GXXX: モーション作動を無効にするためのアプリケーション設定を提供する
  • GXXX: 利用者がモーション作動を無効にできるようにするシステムレベルの機能をサポートする

参考達成方法

適合のために必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするために、次の追加の達成方法を検討することが望ましい。ただし、すべての状況において、すべての達成方法が使用可能、又は効果的であるとは限らない。

失敗例

以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準の失敗例とみなした、よくある間違いである。

  • FXXX: 達成基準 2.5.4 の失敗例 - デバイスのモーションイベント (揺れや傾斜など) によってのみ有効になる機能
  • FXXX: 達成基準 2.5.4 の失敗例 - モーション作動を無効にできない
  • FXXX: 達成基準 2.5.4 の失敗例 - 利用者がモーション作動を無効にできるようにするシステムレベルの機能を中断、又は無効にしている

重要な用語

アクセシビリティ サポーテッド (accessibility supported)

利用者の支援技術と、ブラウザ及びその他のユーザエージェントにあるアクセシビリティ機能でサポートされていること。

あるウェブコンテンツ技術 (あるいは、ある技術の機能) の使用方法がアクセシビリティ サポーテッドであると認められるためには、そのウェブコンテンツ技術 (あるいは、機能) について、次の 1.と2.の両方が満たされていなければならない:

  1. そのウェブコンテンツ技術の使用方法が、利用者の支援技術によりサポートされていなければならない。これは、その技術の使用方法が、そのコンテンツの自然言語における利用者の支援技術との相互運用性について検証されていることを意味する。

    かつ

  2. そのウェブコンテンツ技術には、アクセシビリティ サポーテッドで、利用者が利用できるユーザエージェントがなければならない。これは、少なくとも次の 4 つのうち一つを満たしていることを意味する:

    1. その技術が (HTML や CSS のように)、広く配布されているアクセシビリティ サポーテッドなユーザエージェントに標準でサポートされている。

      又は、

    2. その技術が、広く配布されているアクセシビリティ サポーテッドなプラグインでサポートされている。

      又は、

    3. そのコンテンツが、大学あるいは企業内ネットワークのような閉じた環境で利用できるものであり、その技術に必要とされていて、その組織で使用されているユーザエージェントがアクセシビリティ サポーテッドである。

      又は、

    4. その技術をサポートするユーザエージェントが、アクセシビリティ サポーテッドであって、次のようにダウンロードあるいは購入できる:

      • 障害のある人に障害のない人よりも時間や労力がかかるようなことはなく、かつ
      • 障害のある人も障害のない人と同じくらい容易に探して入手することができる。
注記

Accessibility Guidelines Working Group ならびに W3C は、あるウェブ技術のある特定の使用方法がアクセシビリティ サポーテッドであると分類するために、そのウェブ技術の特定の使用方法に対して、どの支援技術によるどれだけのサポートが必要なのかを定めない(Level of Assistive Technology Support Needed for "Accessibility Support" を参照)。

注記

そのウェブ技術に依存しておらず、適合要件 4 及び適合要件 5 が満たしている場合は、そのウェブ技術をアクセシビリティ サポーテッドではない方法で用いることができる。

注記

ウェブ技術がアクセシビリティ サポーテッドな方法で用いられている場合、その技術全体、又はその技術の使用方法すべてがアクセシビリティ サポーテッドであるということを暗に示すわけではない。ほとんどの技術は、HTML を含めてアクセシビリティ サポーテッドではない機能、又は使用方法が少なくとも一つある。ウェブページが WCAG に適合するのは、依存する技術のアクセシビリティ サポーテッドな使用方法を用いて WCAG の要件を満たしている場合だけである。

注記

複数のバージョンを有するウェブコンテンツ技術を挙げる際は、アクセシビリティ サポーテッドなバージョンを特定すべきである。

注記

コンテンツ制作者が技術のアクセシビリティ サポーテッドな使用方法を見つける方法の一つは、アクセシビリティ サポーテッドであることが文書化されている使用方法の資料を参考にすることである(ウェブ技術のアクセシビリティ サポーテッドな使用法を理解する を参照)。コンテンツ制作者、企業、技術ベンダー、あるいはその他の者が、ウェブコンテンツ技術のアクセシビリティ サポーテッドな使用方法を文書化してもよい。しかし、文書中の技術の使用方法すべては、前述のアクセシビリティ サポーテッドなウェブコンテンツ技術の定義を満たしていなければならない。

必要不可欠 (essential)

もし取り除いてしまうと、コンテンツの情報あるいは機能を根本的に変えてしまい、かつ、適合する他の方法では情報及び機能を実現できない。

機能 (functionality)

利用者の操作により実現可能なプロセス及び結果。

ユーザインタフェース コンポーネント (user interface component)

コンテンツの一部分で、特定の機能を実現するための単一のコントロールとして利用者が知覚するもの。

注記

複数のユーザインタフェース コンポーネントが、単一のプログラム要素で実装されることもある。ここでいうコンポーネントは、プログラムの手法と結びついたものではなく、利用者が別々のコントロールとして知覚するものを指す。

注記

ユーザインタフェース コンポーネントには、フォーム要素、リンクだけでなく、スクリプトで生成されるコンポーネントが含まれる。

注記

ここでの「コンポーネント」又は「ユーザインタフェース コンポーネント」は、「ユーザインターフェース要素」とも呼ばれる。

アプレットには、コンテンツ内を行単位、ページ単位、又はランダムアクセスで移動するために用いられる「コントロール」がある。これらには、いずれも名前 (name) を割り当て、個別に設定できるようにする必要があるため、それぞれが「ユーザインタフェース コンポーネント」となる。