略語の元の語又は説明を提供する

達成方法に関する重要な情報

この達成方法 (参考) の使用法と、この達成方法が WCAG 2.1 達成基準 (規定) とどのように関係するのかに関する重要な情報については、WCAG 達成基準の達成方法を理解するを参照のこと。適用 (対象) のセクションは、その達成方法の範囲について説明しており、特定の技術に関する達成方法の存在は、その技術があらゆる状況で WCAG 2.1 を満たすコンテンツを作成するために使用できることを意味するものではない。

適用 (対象)

テキストを提供する全てのウェブコンテンツ技術

これは達成基準 3.1.4: 略語 (より具体的な手法を用いる十分な達成方法)に関する達成方法である。

解説

この達成方法の目的は、略語を理解するために必要な情報を提供することである。

略語とは、単語、句、又は名前の短縮表記である。ほとんどの略語では、元の単語、句、又は名前を提供すれば十分である。

略語の中には、外国語から借用した単語又は句を表したものがある。例えば、英語で一般的に使用される略語の多くは、以下の事例一覧表で示すように、ラテン語の語句に由来する。ここでは、元の語は背景情報としてのみ提供する。こういった部類の略語では、語の説明を提供するほうが元の表記より役立つので、元の表記の代わりに略語の説明を提供する。

略語 ラテン語の表記 語の説明
a.m. ante meridiem 正午より前。午前。
p.m. post meridiem 正午より後。午後。
e.g. exempli gratia 例えば。
cf confer/conferatur 参照。

略語が元の表記を必要としない場合 (例えば、当該組織が元の表記を廃止している、又は略語がその言語の一部になっている)、適切な場合に説明を提供する、又は略語を説明を必要としない単語と見なす。

事例

事例 1: ADA

略語の中には、複数の意味があり、文脈に依存するものがある。例えば、ADA はある文脈では「American Dental Association」を意味し、別の文脈では「Americans with Disabilities Act」を意味する。文脈に関係する元の語のみを提供する必要がある。

事例 2: 英語の略語でラテン語から借用した句に対するもの

次の文章中において、「e.g.」には「例えば」という説明が提供される: チーム制のスポーツ (e.g. バスケットボール又はフットボール) に参加する学生は、チームの練習時間に彼らのスケジュールを合わせなければならない。

事例 3: ABS

いくつかの言語 (英語及びオランダ語を含む) では、頭字語 ABS (Antiblockiersystem: アンチロックブレーキ) をドイツ語から借用している。元の表記ではなく、語の説明 (anti-lock brakes) が提供されている。

事例 4: もはや元の語を持たない頭文字語の例

もはや元の語を持たない頭文字語の例

  • SIL は、Summer Institute of Linguistics を意味していたが、現在はそれ自体が名前である。 SIL history を参照。
  • IMS は、Instructional Management Systems を意味していたが、現在はそれ自体が名前である。

こういった部類の例では、組織がどのようなものか、又は何をするのかについての短い説明で十分である。

事例 5: かつての略語であったが、その言語の一部となった句

「夜に」を意味するオランダの断片「's nachts」は、元々は「des nachts」の略語であった。現在のオランダ語では、「des」という単語はまれにしか使用されず、古風であるとされる。元の表記を提供すると混乱する可能性がある。「's nachts」においては、元の語は提供しない。

「o'clock」という英語の句は、元々は「of the clock」の略語であった。「o'clock」は英語の一部になっており、元の語を提供する必要はない。

検証

手順

コンテンツの略語それぞれについて:

  1. 略語に元の語が無い場合は、説明を提供されている。
  2. 略語の元の語がコンテンツとは異なる言語の場合は、説明が提供されている。
  3. それ以外の場合は、元の語が提供されている。

期待される結果

  • 上記の全ての結果が真である。