アクセシビリティセミナー2019 開催報告
2019年10月17日、CEATEC JAPAN 2019 において、アクセシビリティセミナー2019を開催しました。 本セミナーでは、ウェブアクセシビリティについての2つのセッションを、当委員会の作業部会1(理解と普及)が企画・実施しました。 「Webアクセシビリティセミナー1:障害当事者のWebの利用方法を知る」には91名(事前ご登録者数:178名)、「Webアクセシビリティセミナー2:なぜ企業はWebアクセシビリティに取り組むのか?」には91名(事前ご登録者数:211名)の方々にご参加いただきました。誠にありがとうございました。Webアクセシビリティセミナー1:障害当事者のWebの利用方法を知る
- スピーカー
-
- 伊敷 政英 氏(Cocktailz、WG2 委員)
- 諸熊 浩人 氏((株)U’eyes Design、WG2 招聘専門家)


視覚障害のある諸熊氏・伊敷氏が、それぞれデモンストレーションや講演を行い、WebサイトやWebサービスを利用したときの課題を紹介しました。
セミナー動画「障害当事者のWebの利用方法を知る」
諸熊氏(前半)
諸熊氏(後半・デモ)
伊敷氏(前半)
伊敷氏(後半・デモ)
Webアクセシビリティセミナー2:なぜ企業はWebアクセシビリティに取り組むのか?
- スピーカー
-
- 伊原 力也 氏(freee(株)、WG1 委員)
- 伊敷 政英 氏(Cocktailz、WG2 委員)
- 諸熊 浩人 氏((株)U’eyes Design、WG2 招聘専門家)


最初に、伊原氏から、企業がWebアクセシビリティに取り組む意義について紹介しました。次に、諸熊氏から、Webアクセシビリティを考慮しながらコーポレートサイトをリニューアルした事例を紹介しました。最後に、伊敷氏から、Web制作者と障害者をつなぐサービスとして、障害者専門のクラウドソーシングサービスの事例を紹介しました。
セミナー動画「なぜ企業はWebアクセシビリティに取り組むのか?」
伊原氏
諸熊氏
伊敷氏
アンケート集計結果
アンケート回答数:85- 「Webアクセシビリティセミナー1:障害当事者のWebの利用方法を知る」のみに参加された方からの回答数:74
- 「Webアクセシビリティセミナー2:なぜ企業はWebアクセシビリティに取り組むのか?」のみに参加された方からの回答数:63
参加者の属性
| 業種 | 回答数 (%) |
|---|---|
| ウェブ | 24 (28%) |
| 情報・通信(ウェブ以外) | 16 (19%) |
| 製造業 | 16 (19%) |
| 非製造業 | 2 (2%) |
| サービス業 | 4 (5%) |
| 業界団体 | 0 (0%) |
| 公的機関 | 11 (13%) |
| その他 | 0 (0%) |
| 無回答 | 13 (15%) |
| 職種 | 回答数 (%) |
|---|---|
| 広報・宣伝 | 14 (16%) |
| 企画・開発・研究 | 19 (22%) |
| 販売・営業 | 5 (6%) |
| 製造・生産・技術 | 6 (7%) |
| 総務・人事 | 1 (1%) |
| 経営 | 6 (7%) |
| その他 | 0 (0%) |
| 無回答 | 33 (39%) |
Webアクセシビリティセミナー1:障害当事者のWebの利用方法を知る
アンケートの「聴講した」にチェックがあった数74理解度
5段階評価で、5が「理解できた」、1は「難しかった」です。
| 理解度 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無回答 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 回答数 (%) | 48 (65%) | 18 (24%) | 6 (8%) | 0 (0%) | 0 (0%) | 2 (3%) |
役立ち度
5段階評価で、5が「役に立った」、1は「役に立たなかった」です。
| 役立ち度 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無回答 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 回答数 (%) | 44 (59%) | 17 (23%) | 11 (15%) | 0 (0%) | 0 (0%) | 2 (3%) |
参考になった内容
| 選択肢(複数選択可) | 回答数 (%) |
|---|---|
| 伊敷(ロービジョン)の利活用方法 | 60 (81%) |
| 諸熊(全盲)の利活用方法 | 56 (76%) |
| まとめ・配慮のポイント | 19 (26%) |
| その他 | 0 (0%) |
| 無回答 | 0 (0%) |
お寄せいただいたコメント(一部)
- 伊敷さんの使えないサイトデモは、何が困るのかがわかりやすくてよかったです。
- UberEATSが使いやすいなど、当事者から使いやすい/使いにくいを聞けたこと。
- 当事者の生活について、スマートスピーカーを複数持っていることや、スマートスピーカーの音声の速度が早いことが嬉しいことなど。
- ボタン「はい」ってなんのはい? っておっしゃっていたこと。
- 迷った場面も含め、視覚障がいの人がどのようにスマホなどを使っているかが、とてもよくわかった。それだけふだん、障がい者と接することが少ないという問題はありますが。
- 伊敷さん、諸熊さん共に説明がわかりやすかった。
- 本等でどのように使用しているかは知識として知っていましたが、実際にどのようなツールを使って、どのように閲覧しているか拝見することができて大変勉強になりました。
- Uberイーツ。
- 音声よみ上げのスピード、思ったより速い。htmlが分かってないと使いづらい。一般の視覚障害の方(htmlやITに詳しくない方)はどう使っているのか。きっともっと使えていない。
- 当事者の方のお話も伺い機会はなかなかないので、貴重なお話を伺うことができて大変よかったです。
- ラーニングコストというい単語、はじめて知りました。サービスを提供している側が無意識にユーザーに対して、そういったコストを強いていることがわかり、提供している側の人間として認識しておかなければいけないなと思いました。
- ボタンの読み上げで使えないサイトが多い事。
- 読み上げの速度が速くて驚いた。
- ボタンを「ボタン」と読み上げるサイトが多いという現状を知り、おどろきました。
- VoiceOverで読み上げについて、自社のサイトが対応しているかしらべるきっかけになった。
- ロービジョンとスクリーンリーダーでも使い勝手が違っているということ。少しの配慮でユーザコストが大きく変わる点。UberEATSが”使える”のは、元が米国だからでしょうか?
- 読みあげのデモ、すごくわかりやすく、NG事例もあり良かったです。配慮の足りないサイトはユーザにラーニングコストをしいてる、まさにその通りだと思いました。UberEatsの例はSNSでシェアしたいと思いましたが、伊敷さんのお住まいがわかってしまいますね…。貴重なデモありがとうございました!!
- PCやアプリの実演があって理解が進みました。
- ユーモアがあって聞いていて楽しかった。
- 読み上げの速度の速さにびっくり。見出しの必要性。
- 気づきがたくさんあり、非常に役に立った。
- スクリーンリーダーの事例。
- 実際にサイトを使用されて、面倒な操作があった時の気持ち等が身近に親しみを持って感じられました。
- 実際の利用方法を拝見することが出来た。ウーバーイーツ、demae-can。
- 読みあげのデモはすごく参考になりました。
- 「ボタン」と言うだけの「ボタン」。
- おふたりとも音声読み上げの速度が早く、びっくりしました。各アプリとも使い勝手に差があり、よいサイト作りに役立ちました。
- VoiceOverを実際に使ってみたい。
- デモや当事者の声をきくことができた点がよかったです。
- 私達(健常者)と思った以上に同じ生活をしている事におどろいた。視かく障害の存在が身近になった。
- 実際にどのようにサイトを理解しているかわかりました。
- なかなか当事者の方の利用シーンをうかがうことはないので参考になりました。
- 「見出し」が重要であること、何の「ボタン」かわかるようにする必要があることがよくわかった。
- 全盲とロービジョンの操作の違い。
- 実際に困っている点がわかってよかった。
- デモはよかった。トラブルもありそのときの対処も参考になった。
- 実際のデモをしていただいて、ロービジョンや全盲の方が日々苦労されている具体的な内容を知ることができてよかったです。
- 実際のサービス(アクセシビリティのツールやサイト・アプリ)を見たのが初めてでしたので勉強になりました。不便に思っていることなど、直接聴くことができてよかったです。
- デモ(実演を初めて見たため)。
- 実際の操作状況が見られたこと。ウーバーと出前館比較。
- VoiceOverのデモはわかりやすく多くの人に見てもらいたいと感じた。
- 実際に使いやすいサイト、使いづらいサイトの事例を操作して紹介いただいたのが分かりやすかった。
Webアクセシビリティセミナー2:なぜ企業はWebアクセシビリティに取り組むのか?
理解度
5段階評価で、5が「理解できた」、1は「難しかった」です。
| 理解度 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無回答 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 回答数 (%) | 39 (62%) | 13 (21%) | 7 (11%) | 0 (0%) | 0 (0%) | 4 (6%) |
役立ち度
5段階評価で、5が「役に立った」、1は「役に立たなかった」です。
| 役立ち度 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無回答 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 回答数 (%) | 35 (56%) | 9 (14%) | 14 (22%) | 0 (0%) | 0 (0%) | 5 (8%) |
参考になった内容
| 選択肢(複数選択可) | 回答数 (%) |
|---|---|
| 伊原のセッション | 43 (68%) |
| 諸熊のセッション | 38 (60%) |
| 伊敷のセッション | 42 (67%) |
| まとめ | 3 (5%) |
| その他 | 0 (0%) |
| 無回答 | 0 (0%) |
お寄せいただいたコメント(一部)
- 諸熊さんの会社で開発しているアクセシ検証ツールとサニーバンクというサービスについて、もっと調べてみようと思いました。
- 最近、自社でアクセシビリティへの取り組みについて費用対効果で返されてしまい、人権の話だろ、と内心憤慨したことがありました。が、メリットや目的について、もっとプレゼンできることがある、と冷静になりました。ありがとうございます。
- webアクセシビリティの現在の取り組みの概要を知ることができたのがよかった。また、JISの基準よりも、ユーザーの声に耳を傾けてという発言も、納得させられた。
- ユニバーサル・デザインという観点からウェブアクセシビリティを考えておられることが強く印象に残りました。つまり、全ての人に向けられている取り組みであるという事として捉えることが出来ました。視覚障碍者の立場でいいますと、正眼者の方も画像認証を嫌煙しがちになります。今後の取り組みに期待しております。
- 障害当事者との接点の重要性。サニーバンクというサービスを知れたのが好かったです。JISだけでは不充分なことも、という点が印象的でした。
- アクセシビリティが障害者だけのものでなく人は多様だから違いを認めるという考え方(健常者も一時的、高齢者など含め)。
- サニーバンク使ってみたいアクセシビリティチェックに。
- 短い時間ながら、それぞれのお立場から複合的にアクセシビリティを捉えられた内容となっており、一企業内のアクセシビリティをどのように考えて、内部への啓発を行っていくかの参考になりました。ありがとうございました。
- サニーバンクについて詳しく調べようと思いました。
- 当事者の声を直接聴くべき。
- Webアクセスビリティー対応することで、結果としてコストがさがる点などさらに聞きたかった。
- 話が聞き取り易い。
- 音声読み上げが思ったより早いのと、ボタン何のボタンかわからない(検索窓がボタンになっている)など。
- ソースの構造。
- アクセシビリティの事業展開が特に参考になった。
- なぜアクセシビリティを対応しなければならないかが理解できた。
- リニューアルのはなし参考になりました。クラウドソーシングのとりくみもいいし、つかってみたい。
- Webアクセシビリティを向上させるための手順や注意点について詳しく解説していただきたすかりました。伊敷さんの障がい者のあたらしい雇用の創出の可能性についても非常に感銘をうけました。
- 障がいのある当事者が利用者で終わらず仕事にできたらアクセシビリティのレベルもあがるのでは。生活がより良くなるのではないかと思いました。
- ウェブアクセシビリティの診断が多くの障害者のしごとになることをいのってます。
- 伊原さん概要が改めて勉強になった。諸熊さん「社内文化」。
- 明朝体は読みづらいという事はJIS規格にのっているわけでもないのでここでしか聞けない話であった。
- サニーバンクというサービスを初めて知りました。
- サニーバンクという取り組みは知らなかった。
セミナーをお知りになったきっかけ
| 選択肢(複数選択可) | 回答数 (%) |
|---|---|
| WAICウェブサイト | 18 (21%) |
| WAIC SNS (Twitter, Facebook) | 6 (7%) |
| CEATECウェブサイト | 38 (45%) |
| 友人・知人から | 15 (18%) |
| その他 | 4 (5%) |
| 無回答 | 9 (11%) |
今後セミナーで取り上げてほしいテーマ・内容
| 選択肢(複数選択可) | 回答数 (%) |
|---|---|
| Webアクセシビリティ全般 | 42 (49%) |
| 事例紹介(一般企業) | 28 (33%) |
| 事例紹介(公的機関) | 26 (31%) |
| 国内外の動向 | 31 (36%) |
| 技術的な解説 | 32 (38%) |
| その他 | 4 (5%) |
| 無回答 | 9 (11%) |
ご意見など
- 現在、ウェブ制作会社で働いていますが、アクセシビリティについては、個人的にもまだまだ状態です。ただこれから絶対に必要になる知識だと思いますので、今年に入ってセミナーに参加したり、JISを購入したり、独学で勉強をはじめています。そんな中で、基盤委員会の活動や資料は本当にありがたく、いつも活用させていただいています。ありがとうございます。まずは社内の布教活動からと思い、社内勉強会などを行なっていますが、最近メンバーでアクセシビリティに興味を持つ人もあらわれ、どうにか仕事に繋げられないかという話をしていた矢先の今日の会でしたので、とても勉強になりました。今後もTwitterやFacebookなどチェックして、イベントに参加させていただきます。
- webアクセシビリティについて、以前、貴委員会の植木さんに話を聞かせていただいた者です。(アウトプットが実現しておらず、申し訳ありません。)その時にもうかがったのですが、ことしの国内外での最新動向を教えていただけると、ありがたいです。
- チャレンジドの方への新規ビジネスを立案開始しております。相談に行ける方、団体、企業などを教えて下さい。
- ウェブアクセシビリティの取り組みを進めるにあたり、担当者の理解を深めることもそうですが、社内外で意識を共有することが重要になってくるかと思います。地方においても意識醸成や理解を深めるためのセミナー等を開催していただけると幸いです。
- グラフの見えかた見せかた。確かに考える必要ありですね。
- 更新時のアクセシビリティのレベルの維持がうまくできている事例もろくまさんの会社は具体的にどのようにしているのか?
- 資料について(※図: スライド下部 1/4 くらいを示している)←ここは見づらいので上の3/4くらいに文章を書いて下1/4は書かないほうがいいです。
- 速記の分も公開してほしいです。
- スピーカーの方のブログ、SNS等あったら、おしえていただきたい。
- 本日はありがとうございました。アクセシビリティ対応が必要であることは十分理解しておりますが、いざ具体的な対応となると何をどの程度まで進めていくか迷う点も多いです。今後はその点についてもお話を伺えるとよいかと思いました。
- とても勉強になりました。よりよいWebページづくりのため、HPのだめだしやご意見を伺う機会があるとなお嬉しいです。
- Webサイト制作をしているのですがcheckは自分たちでやって方針や結果を公表して良いか。
- 特になし。ありがとうございます。
- 勉強になりました。
- 障がいや高齢者の方が使いやすい実際のWebサイト・アプリが知りたいです。
- 検査時の判断のゆれ(解釈、見解によって適合/不適合に迷う)についての情報が欲しいと思っています。
- アクセシビリティ対応を行う制作会社向けの技術解説・事例紹介セミナーがあるとうれしい。
- この会場ですと、モニタの下半分は多くの人が見えてないので、大切なことは上半分に書いた方が良いと思いました。
