WCAG 2.0解説書

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フォーカス移動:
達成基準 2.1.2 を理解する

2.1.2 フォーカス移動: キーボード・インタフェースを用いてキーボード・フォーカスをそのウェブページのあるコンポーネントに移動できる場合、キーボード・インタフェースだけを用いてそのコンポーネントからフォーカスを外すことが可能である。さらに、その操作が修飾キーを伴わない矢印キー、修飾キーを伴わない Tab キー、又はフォーカスを外すその他の標準的な方法で可能な場合を除き、キーボード・フォーカスをそのコンポーネントから外す方法を利用者に知らせる。 (レベルA)

注記: この達成基準を満たさないコンテンツでは、利用者がそのウェブページ全体を使用できない恐れがあるため、ウェブページ上のすべてのコンテンツは他の達成基準を満たすために用いられているか否かにかかわらず、この達成基準を満たさなければならない。適合要件 5: 非干渉を参照のこと。

この達成基準の意図

この達成基準の意図は、コンテンツがウェブページ上の一部分にキーボード・フォーカスを「閉じ込める」ことのないようにすることである。これは、1ページ中に複数のフォーマットが組み合わされていて、プラグイン又は埋め込みアプリケーションで描画される際によく起こる問題である。

ただし、その状態を抜け出してフォーカスを「閉じ込められない」ようにする方法を利用者が分かっているのであれば、ウェブページの機能がフォーカスの移動をコンテンツの一部分に限定しているときがあってもよいのかもしれない。

達成基準 2.1.2 の具体的なメリット

  • 全盲の利用者及び身体障害のある利用者など、キーボード又はキーボード・インタフェースだけを使用している利用者がウェブコンテンツを利用できるようになる。

達成基準2.1.2 の事例

達成基準2.1.2 の実装方法及び不適合事例 - フォーカス移動

この節にある番号付の項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する実装方法、又は複数の実装方法の組合せを表している。WCAG 2.0 適合要件のすべてが満たされている場合にのみ、次に挙げる実装方法により、この達成基準を満たすことができる。

達成基準を満たすことのできる実装方法

  1. G21: ユーザーがコンテンツ内に閉じ込められないようにする

達成基準 2.1.2 でさらに対応が望まれる実装方法(参考)

適合するためには必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするためには、次の付加的な実装方法もあわせて検討するとよい。ただし、すべての状況において、すべての実装方法が使用可能、または効果的であるとは限らない。

(まだ文書化されていない)

達成基準 2.1.2 のよくある不適合事例

以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準 2.1.2 に適合していないとみなした、よくある不適合事例である。

重要な用語

キーボード・インターフェース

キーストローク入力を取得するためにソフトウェアが用いるインターフェース。

注記 1: キーボードがもともと存在しない技術であっても、キーボード・インターフェースによって、利用者がキーストローク入力をプログラムに提供できる。

事例 : タッチスクリーンを搭載している PDA には、外部キーボードへのコネクタとあわせて、その OS に組み込まれたキーボード・インターフェースがある。PDA 上のアプリケーションはそのインターフェースを用いて、外部キーボード、あるいは手書き解釈プログラムや「キーボード・エミュレーション」機能付きの音声テキスト変換アプリケーションのような擬似キーボード出力を提供する他のアプリケーションのいずれかからキーボード入力を取得することができる。

注記 2: マウスキーのようなキーボード操作によるマウス・エミュレータによるアプリケーション(又は、そのアプリケーションの一部)の操作は、キーボード・インターフェースからの操作とは見なさない。なぜならば、この場合、プログラムの操作は、キーボード・インターフェースからではなく、そのポインティング・デバイス・インタフェースからの入力によって行われるからである。