意図
この達成基準の意図は、例えばテレビ会議、ライブの音声、ライブの発話、及びラジオのウェブキャストなどが伝えている情報を、テキストによる代替を用いることによってアクセシブルにすることである。ライブのキャプション付加サービスは、ろう又は難聴の利用者、あるいは他の方法で音声を聞くことのできない人に対してライブの音声をアクセシブルにすることが可能であろう。そのようなサービスは、話の内容を聞きながら、少しの遅延だけでテキストを入力するために特殊なキーボードを用いて、訓練された人間のオペレーターを利用する。オペレーターは、かなり忠実にライブの出来事をテキストで記録することができ、イベントを理解する上で不可欠な発話以外の音声に関する注記も挿入することもできる。ライブの音声が準備された台本に従っている場合は、書き起こしテキストが利用できる。しかし、ライブのキャプションサービスは、音声自体と同じペースで再生され、キャプションが台本にはないことが起こったとしてもそれに対処できるので好まれる。
訓練されていないオペレーターを使用したり、実際に起こっていることとは明らかに違う書き起こしテキストを提供したりしている場合は、この達成基準を満たしているとはいえない。
この達成基準は、音声の放送に適用することを意図しており、利用者の要求の有無にかかわらず、ウェブアプリケーションを介した2人以上の個人間で行う双方向のマルチメディア電話に対してキャプションの提供を求めることは意図していない。キャプションを提供する責任は、アプリケーションではなく、コンテンツの提供者 (電話をかけた人) 又は「ホスト」として電話をかけた人に課せられる。
事例
- 広告会社が、ライブのイベントを放送するために、ウェブベースのキャプションサービスを使用している。サービスによるキャプションは、ストリーミングの音声制御コントロールのあるウェブページのサブフレームに組み込まれている。
- フリンジ劇場のライブのラジオ劇が、ウェブで放送されている。俳優たちが大部分は用意された台本通りに演じていて、番組の予算が限られているため、(脚本家の許諾を得た上で) プロデューサーは劇の台本へのリンクを提供している。
- ストリーミングの音声サーバーは、例えば HTML のように、テキスト及びグラフィックを使用可能なウェブ技術を利用している。速記者が、あるイベントでライブのキャプションを書き起こしていて、それがその場で組み込まれて、メディアプレーヤーで閲覧可能なメディア配信のライブのキャプションとして使われている。
- CEO は、ニュース速報に反応してメディアに対し電話による記者発表を行い、その音声を録音してインターネット上でも配信したが、時間の制約のためにウェブキャプションサービスが時間内にセットアップできなかった。記者発表は、CEO が読み上げる予定の声明なので、会社は発表内容の書き起こしを同時に提供している。
関連リソース
リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。
達成方法
この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。その他の達成方法についての詳細は、WCAG 達成基準の達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。
十分な達成方法
重要な用語
時間依存の視覚的及び聴覚的情報を正しい順序で説明したテキストを含み、あらゆる時間依存のインタラクションによる結果を得る手段を提供している文書。
同期したメディアのコンテンツを作るために用いられる脚本は、編集が終了した最終版の同期したメディアを正確に描写した脚本に修正されている場合だけ、この定義を満たす。
音の再生技術。
音声には、合成して作られたもの (音声合成を含む)、実世界の音を収録したもの、又はその両方が含まれる。
現実の出来事から取り込まれ、放送遅延以上の遅延なく受け手に送信される情報。
放送遅延は、短時間の (通常は自動的な) 遅れで、例えば放送局に放送のタイミング[queue→cue]の調整や音声 (又は映像) の検閲のための時間を与えるものだが、意味のある編集ができるほどのものではない。
もし情報が完全にコンピュータで生成されたものならば、それはライブではない。
写真又は画像を動かす、又はシーケンス化する技術。
映像は、アニメーション画像もしく実写画像、又はその両方で構成され得る。