PDF フォームで送信フォームアクションのある送信ボタンを提供する

達成方法に関する重要な情報

この達成方法 (参考) の使用法と、この達成方法が WCAG 2.1 達成基準 (規定) とどのように関係するのかに関する重要な情報については、WCAG 達成基準の達成方法を理解するを参照のこと。適用 (対象) のセクションは、その達成方法の範囲について説明しており、特定の技術に関する達成方法の存在は、その技術があらゆる状況で WCAG 2.1 を満たすコンテンツを作成するために使用できることを意味するものではない。

適用 (対象)

フォームが含まれているタグ付き PDF 文書

これは達成基準 3.2.2: 入力時 (G80: コンテキストの変化を開始する送信ボタンを提供するの達成方法として十分) に関する達成方法である。

解説

この達成方法の目的は、PDF フォームの送信フォームアクションを使用して、利用者が明示的に文脈の変更を要求できるメカニズムを提供することがある。送信ボタンの使用目的は、フォームに入力されたデータを送信する HTTP 要求を生成することなので、送信ボタンは文脈を変更するための適切なコントロールである。PDF 文書の送信ボタンは通常、PDF のオーサリングツールを使用して実装される。

事例 1 および 2 は、特定のオーサリングツールを使用して送信ボタンを追加する方法を示している。同様の機能を実行する PDF ツールは他にも存在する。「アクセシビリティがサポートされている PDF オーサリングツール」により提供される機能を参照のこと。

事例

例 1: Adobe Acrobat 9 Pro を使用して送信ボタンを追加する

この事例は Adobe Acrobat Pro の場合を示している。同様の機能を実行するソフトウェアツールは他にも存在する。 他のソフトウェアツールのリストについては、「」を参照のこと。

訳注:

上記「」に該当する記述が、WCAG 2.1 達成方法集の原文では削除されている。WCAG 2.0 達成方法集においては、PDF テクノロジーノートの中に「アクセシビリティがサポートされている PDF オーサリングツール」というセクションがある。

  1. ツールバーからフォーム > フォームツール > ボタンを選択し、フォーム上にボタンを作成する
  2. ボタンのコンテキストメニューから「プロパティ」を選択し、[ボタンのプロパティ]ダイアログボックスを開く
  3. [一般]タブで、ボタンのツールヒントを入力する
  4. [オプション]タブで、ボタンラベルかアイコンイメージまたはその両方に対して、レイアウトメニューのオプションを選択する。次に、ボタンを送信ボタンとして指定するために「ラベル」ボックスにテキストを入力したり、「アイコンを選択」をクリックして、使用するイメージファイルを配置したりする
  5. [アクション]タブで次の操作を行う

    • 「トリガを選択」で「マウスアップ」を選択する (Mouse Up イベントは、キーボードでアクセス可能である。また、Mouse Up イベントでは、Mouse Enter イベントなどが発生しても、ボタンで予想外にコンテキストが変更されない)
    • 「アクションを選択」で「フォームを送信」を選択する
    • [追加]をクリックする
  6. [追加]ダイアログボックスで、サーバー上のデータを収集したり、電子メールの添付ファイルとしてフォームデータを収集したりするための URL を入力する

次の画像は、ボタンのプロパティダイアログボックスの[オプション]タブを示している。

図 1 ボタンプロパティダイアログの [オプション] タブには、レイアウトとラベルボタンのプロパティが表示される。

次の画像は、ボタンのプロパティダイアログボックスの「アクション」タブを示している。

図 2 ボタンプロパティダイアログの [アクション] タブで、「アクションを選択」のオプションが指定された状態。

例 2: Adobe LiveCycle Designer ES 8.2.1 を使用して送信ボタンを追加する

この事例は Adobe LiveCycle Designer の場合を示している。同様の機能を実行するソフトウェアツールは他にも存在する。 他のソフトウェアツールのリストについては、「」を参照のこと。

訳注:

上記「」に該当する記述が、WCAG 2.1 達成方法集の原文では削除されている。WCAG 2.0 達成方法集においては、PDF テクノロジーノートの中に「アクセシビリティがサポートされている PDF オーサリングツール」というセクションがある。

  1. 挿入 > 標準メニューで、「HTTP 送信ボタン」項目を選択する
  2. 「HTTP 送信ボタン」の[オブジェクト]パネルに、フォーム送信処理の URL を挿入する

次の画像は、フォームコントロールの一覧が表示されている標準メニューを示している。

図 3 「HTTP 送信ボタン」の選択を含む、フォームコントロールの一覧を表示する標準メニュー。

次の画像は、URL とボタンの外観に関するその他のフィールドが表示されたオブジェクトパネルを示している。

図 4 送信ボタンの外観や動作を指定するための URL などのフィールドが表示されたオブジェクトパネル。

例 3: JavaScript を使用して PDF 文書内の送信ボタンにスクリプトアクションを追加する

次の JavaScript コードは、送信フォームアクションを指定するために使用されるスクリプトを示している。このスクリプトをフォームフィールドに追加するには、次の操作を行う。

  1. 例 1 に示されているように、[ボタンのプロパティ]ダイアログボックスを開き、[アクション]タブを選択する
  2. ドロップダウンリストから「JavaScript を実行」を選択し、「追加」ボタンを選択する
  3. [JavaScript エディター]ダイアログボックスで、次のような JavaScript コードを入力する
var aSubmitFields = new Array( "name", "id", "juser" );
this.submitForm({
  cURL: "http://www.example.com/cgi-bin/myscript.cgi#FDF",
  aFields: aSubmitFields,
  cSubmitAs: "FDF" // the default, not needed here
});

次の画像は、このプロセスを示している。

図 5 送信ボタンの「ボタンのプロパティ」ダイアログ。
図 6 「ボタンのプロパティ」ダイアログの [アクション] タブに追加された JavaScript。

この事例のサンプルとして、スクリプトアクションを送信ボタンに追加したサンプルがある。

参考リソース

参考リソースは、あくまでも情報提供のみが目的であり、推薦などを意味するものではない。

検証

手順

  1. フォームを送信するページごとに、送信ボタンが含まれているフォームを視覚的に確認し、以下のいずれかを確認する。

    • ボタンにタブ移動し、ボタンを選択する利用者のアクションに反応してフォームが送信される。
    • 送信フォームアクションを示すことができるツールを使用して PDF 文書を開き、ボタンアクションがフォームの送信であることを確認する。

期待される結果

  • フォームが含まれている各ページにおいて、#1 の結果が真である。