WCAG 2.0 実装方法集

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G73: 非テキストコンテンツのすぐ隣に別の場所へのリンクを置き、その別の場所で長い説明を提供する

適用(対象)

全てのウェブコンテンツ技術

これは、次の達成基準に関連する実装方法である:

解説

この実装方法の目的は、長い説明文を直接組み込む機能(例:HTMLのlongdesc属性)を持たない、又はサポートされないことが確認されているウェブコンテンツ技術において、離れた場所にある長い説明文へのリンクを提供することである。

この実装方法によって、長い説明文が非テキストコンテンツとは別の場所に提供される。同じURIの中の異なる場所、又は別のURIの場合もある。長い説明文へのリンクが非テキストコンテンツに近接して提供されるが、そのリンクは非テキストコンテンツの直前又は直後に提供できる。もし説明が他のテキストと一緒に配置されているならば、どこで読み終えてメインコンテンツに戻るかがわかるように最後に「説明の終わり」と入れる。「戻る」ボタンでジャンプしてきた場所に戻れない場合は、その非テキストコンテンツに戻るためのリンクを提供する。

この実装方法は、longdesc属性がHTMLの仕様に加えられる以前に一般的に使用されていた。HTMLでは、通常、画像の隣にDを配置して長い説明文へのリンクとして実装していたためDリンクと呼ばれていた。この実装方法は技術に依存していないため、リンクをサポートするあらゆるウェブコンテンツ技術で利用できる。

事例

事例 1: 棒グラフ

ウェブページ に上位3名の販売員の売上げを示した棒グラフがある。

それには簡潔な代替テキストがあり、「上位3名の販売員の10月の売上げ表」と書かれている。

非テキストコンテンツの直後には長い説明文を示唆する小さな画像がある。その画像に対する代替テキストには「グラフの詳細な説明」と書かれている。画像は「このページのグラフの説明」という表題がつけられたページ下部のセクションへのリンクになっている。リンクは次のような具体的な説明を指している:「 10月の売上げはメアリーが400個でトップ、マイクが389個の僅差で続いており、クリスが350個でトップ3の最後となっている。[説明の終わり]」

事例 2: 棒グラフ -ユーザーエージェントの「戻る」がセキュリティ上の理由からサポートされていない非HTML技術の場合

ウェブページ上に上位3名の販売員を表示した棒グラフがある。

それには簡潔な代替テキストがあり、「上位3名の販売員の10月の売上げ表」と書かれている。

非テキストコンテンツの直後には長い説明文を示唆する小さな画像がある。その画像に対する代替テキストには「グラフの詳細な説明」と書かれている。その画像は「10月の売上げ報告にあるグラフの説明」というタイトルの別のページへリンクとなっている。その説明へのリンクは次のような具体的な説明を指している:「10月の売上げはメアリーが400個でトップ、マイクが389個の僅差で続いており、クリスが350個でトップ3の最後となっている。説明の終わり。<link> 売上げグラフに戻る</link>

事例 3: リンクとして使用されるキャプション

グラフがある。グラフの直下にある図表のキャプションが詳細な説明へのリンクとなっている。リンクのtitle属性により、詳細な説明へのリンクであることが明確になっている。

事例 4: 音声しか含まないファイルのトランスクリプト

マーチン・ルーサー・キングのスピーチの録音記録がある。音声ファイルへのリンクとその内容をテキストに書き起こしたトランスクリプトへのリンクが隣同士にある。

参考リソース

この参考リソースは、あくまでも情報提供のみが目的であり、推薦などを意味するものではない。

検証

チェックポイント

  1. 非テキストコンテンツの直前又は直後にリンクがある。

  2. 非テキストコンテンツの長い説明文を直接指し示す有効なリンクとなっている。

  3. 長い説明文が非テキストコンテンツと同じ情報を伝達している。

  4. 利用者が非テキストコンテンツのある元の場所に戻れるようにするためのリンク又は「戻る」機能が利用可能である。

判定基準

上記の4つ全てを満たしている。

注意: この実装方法が「達成基準を満たすことのできる実装方法」の一つである場合、このチェックポイントや判定基準を満たしていなければ、それはこの実装方法が正しく用いられていないことを意味するが、必ずしも達成基準を満たしていないことにはならない。場合によっては、別の実装方法によってその達成基準が満たされていることもありうる。

日本語訳における注記:

この文書の正式版は、W3Cサイトで公開されている英語の文書であり、この日本語訳には誤訳が含まれていることもありえます。なお、文中にある「日本語訳における注記」は、W3Cの原文にはないものであり、日本語訳監修者が追記したものです。