WCAG 2.0 実装方法集

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G189: ウェブページの先頭近くに、リンクのラベルを変更するコントロールを提供する

適用(対象)

リンクを実装できる全てのウェブコンテンツ技術

これは、次の達成基準に関連する実装方法である:

解説

この実装方法の目的は、ウェブページの先頭近くに、そのウェブページの適合している代替バージョンへ利用者を誘導するコントロールを提供することである。その代替バージョンでは、各リンクのリンクテキストだけで前後の文脈を見なくてもリンクの目的がわかるようになっている。

利用者の中には、リンクの文脈を見なくても、リンクの目的がわかるのでリンクテキストにその文脈も含んだリンクを好む利用者がいる。一方で、文脈の情報を各リンクに含めることでリンクテキストが冗長になるため、サイトの使い勝手が悪くなると感じる利用者もいる。WCAGワーキンググループに支援技術の利用者から寄せられたフィードバックでも、どちらを好むかは意見が分かれている。この実装方法を用いることにより、利用者は、自分にとって最適なアプローチを選べるようになる。長くなる可能性があっても完全なリンクテキストを必要とする又はそれを好む利用者は、代替バージョンを使用することができる。

代替バージョンに変換するコントロールがリンクである場合、そのコントロールの目的が、常にリンクテキストだけでわかるようにしておかなければならない。

この実装方法は、現在のページ表示に対する代替バージョンを提供する。この環境設定をクッキー又はサーバーサイドの利用者プロフィールに保存して、利用者が一度選択すれば、その後はサイトを訪れるごとに選択しなくても、自動的に利用者の好むバージョンが表示されるようにすることもでき、そうするのが望ましい場合もある。

注記:この実装方法は、表示スタイルを変更して非適合コンテンツに対する適合した代替バージョンとなるページを提供する実装方法と併せて使うことができる。詳しくは、C29: スタイル・スイッチャーを用いて、適合している代替バージョンを提供する(CSS)及び適合している代替バージョンを参照のこと。

事例

事例 1: 別バージョンへのリンクを提供する

ウェブページに、様々なフォーマットでダウンロードできる書籍のリストがある。このウェブページの代替バージョンでは、書籍のフォーマットだけ、又は書籍名とフォーマットのタイプが、リンクテキストとして使われている。

短いリンクテキストのバージョン:

コード例:


...
<h1>書籍のダウンロード</h1>
  <p><a href="books-full-links.html" >完全なリンクのバージョン</a></p>

  <ul>
  <li>ウェブの歴史: 
  <a href="history.docx" class="hist">Word形式</a>, 
  <a href="history.pdf" class="hist">PDF形式</a>, 
  <a href="history.html" class="hist">HTML形式</a>
  </li>
  ...
  </ul>
		

完全なリンクテキストを用いたバージョン

コード例:


...
<h1>書籍のダウンロード</h1>
  <p><a href="books-short-links.html" >短いリンクのバージョン</a></p>

  <ul>
  <li>ウェブの歴史:
  <a href="history.docx" class="hist">ウェブの歴史(Word形式)</a>, 
  <a href="history.pdf" class="hist">ウェブの歴史(PDF形式)</a>, 
  <a href="history.html" class="hist">ウェブの歴史(HTML形式)</a>
  </li>
  ...
  </ul>
		

検証

チェックポイント

  1. ウェブページの先頭近くに、リンクテキストを変換するコントロールがある。

  2. コントロールを起動する。

  3. 変換されたウェブページでは、全てのリンクのリンクテキストがその目的を説明している。

判定基準

注意: この実装方法が「達成基準を満たすことのできる実装方法」の一つである場合、このチェックポイントや判定基準を満たしていなければ、それはこの実装方法が正しく用いられていないことを意味するが、必ずしも達成基準を満たしていないことにはならない。場合によっては、別の実装方法によってその達成基準が満たされていることもありうる。

日本語訳における注記:

この文書の正式版は、W3Cサイトで公開されている英語の文書であり、この日本語訳には誤訳が含まれていることもありえます。なお、文中にある「日本語訳における注記」は、W3Cの原文にはないものであり、日本語訳監修者が追記したものです。