アクセシビリティセミナー2015 開催報告

2015年10月8日、CEATEC JAPAN 2015において、アクセシビリティセミナー2015が開催されました。

本セミナーでは、ウェブアクセシビリティやJIS X 8341-3についての講演とパネルディスカッションを、当委員会の委員が企画・実施しました。

講演「日本の企業Webサイトにおけるアクセシビリティ確保の取り組み」には51名(事前ご登録者数:99名)、パネルディスカッション「企業Webサイトの運営・制作現場におけるアクセシビリティ確保の実際」には67名(事前ご登録者数:127名)の方々にご参加いただきました。誠にありがとうございました。

日本の企業Webサイトにおけるアクセシビリティ確保の取り組み

講師
WAIC委員長 植木 真
講演中の植木氏(右)と、要約筆記を提供された皆様(左)

冒頭、一般企業におけるウェブアクセシビリティ方針策定と試験結果表示の実態調査について、調査結果を紹介。その後、日本の企業でWebアクセシビリティに取り組んでいる事例を個別に紹介し、国内の企業WebサイトにおけるJIS X 8341-3対応の現状について分析と考察をしました。また、海外の企業Webサイトの状況についても紹介をし、最後に国内の最新動向としてJIS X 8341-3の改正と障害者差別解消法の施行をお知らせしました。

企業Webサイトの運営・制作現場におけるアクセシビリティ確保の実際

モデレータ
WAIC委員長 植木 真
パネリスト
  • WAIC 作業部会1 主査 木達 一仁
  • WAIC 作業部会1 委員 増井 達巳
  • WAIC 作業部会1 委員 矢田 由紀
パネルディスカッション中のモデレータとパネリスト(右から植木氏、木達氏、増井氏、矢田氏)

企業Webサイトの運営・制作現場におけるアクセシビリティ確保について、パネリストがそれぞれの立場から作成したスライドを織り交ぜながら進行。なぜ企業はアクセシビリティの取り組みに消極的なのか? そもそもアクセシビリティに取り組むべき理由とは? コンプライアンスやブランド、ガバナンスとアクセシビリティの関係は? 具体的に取り組みを進めるうえでのロードマップやスケジュールの具体例も紹介されました。

アンケート集計結果

アンケート回答数:54

  • 講演「日本の企業Webサイトにおけるアクセシビリティ確保の取り組み」のみに参加された方からの回答数:5
  • パネルディスカッション「企業Webサイトの運営・制作現場におけるアクセシビリティ確保の実際」のみに参加された方からの回答数:8
  • 双方に参加された方からの回答数:41

回答者個人を特定するおそれのある情報につきましては、割愛させていただきました。また、文意を変えない範囲で、漢字の使い方や句読点等、適宜編集のうえ掲載させていただきました。

参加者の属性

参加された立場 回答数(%)
企業のWeb担当者21(39%)
Web制作者(制作会社・フリーランス等)15(28%)
省庁のWeb担当者0(0%)
自治体のWeb担当者1(2%)
その他公的機関のWeb担当者1(2%)
その他15(28%)
無回答1(2%)

日本の企業Webサイトにおけるアクセシビリティ確保の取り組み

理解度

5段階評価で、5が「理解できた」、1は「難しかった」です。

理解度 5 4 3 2 1 無回答
回答数(%) 30(65%) 13(28%) 1(2%) 1(2%) 0(0%) 1(2%)

役立ち度

5段階評価で、5が「役に立った」、1は「役に立たなかった」です。

役立ち度 5 4 3 2 1 無回答
回答数(%) 25(54%) 13(28%) 8(17%) 0(0%) 0(0%) 0(0%)

お寄せいただいたコメント(一部)

  • 事例はとても参考になった。
  • 海外の事例など、興味深い。
  • 現在社内にアクセシビリティを浸透させるための活動を行っているので、その声がけの良い材料になりそうです。
  • 現在の日本の企業の状況、また海外の状況もよくわかりました。
  • 10年経って少しずつ進んでいるなと思う反面、たいして変わっていない、進めるのは大変だなと思った。
  • 各企業の対応状況が理解できたため、社内に広めていくことができそうです。
  • すごく参考になりました。
  • 具体的な取り組み例がもう少し欲しかった。
  • これまで、アクセシビリティ対応はプライオリティを下げ気味にしてしまっていたが、法令も整いつつあるということで、意識的に対応を進める必要があると感じました。
  • 公的機関のみならず、民間企業においてもウェブアクセシビリティの確保について取り組まれているとは、将来明るいと感じる。ウェブアクセシビリティに取り組んでいる企業は、社会の中で役割が高いことを企業として自認している様に受ける。
  • 方針・結果の公開まで積極的に公表できるよう精進します。
  • 非常に参考になる話が多く、アクセシビリティに全ての人にという意識を持つことができた。
  • 外部に公開することで社内外の意識を変えることにもつなげられるのではないかと思える程、とても参考になる情報がたくさんあり、有意義でした。
  • すでに知っていることの再確認というレベルだったので、新しい発見はあまりなかった。
  • 企業の取組み、世界の事情について知ることができて良かった。

企業Webサイトの運営・制作現場におけるアクセシビリティ確保の実際

理解度

5段階評価で、5が「理解できた」、1は「難しかった」です。

理解度 5 4 3 2 1 無回答
回答数(%) 27(55%) 15(31%) 4(8%) 0(0%) 0(0%) 3(6%)

役立ち度

5段階評価で、5が「役に立った」、1は「役に立たなかった」です。

役立ち度 5 4 3 2 1 無回答
回答数(%) 28(57%) 16(33%) 4(8%) 0(0%) 0(0%) 1(2%)

お寄せいただいたコメント(一部)

  • やや乱暴な結論もあったが気持ちは伝わった。アクセシビリティ対応=品質ではない気がした。
  • 「カルチャー」という視点に共感した。
  • やはり企業サイトにアクセシビリティを対応するためにどうしたらいいのか、話を聞けたのが良かったです。
  • NECさんのチャレンジにはすごいと思った。反面まだ進んでいないのかとも思った。
  • 一部パワーポイントにコントラストが保たれていないスライドがありました。色々と参考になりました!
  • 大変おもしろく聞くことができました。
  • これまで「プロセス」の方ばかり考えてしまっていたが、制作チーム全体でカルチャーを共有することが大切、という話が腹落ちしました。
  • 企業サイトの規模によて管理のみならず運営として関する人が多く、統一することに各社苦労されていることがよくわかりました。
  • 実際の企業の担当者の話が聞けて参考になった。
  • 制作会社側から企業へのアプローチ方法も聞きたかったです。
  • 現場の運営、制作などの話があり、自部署まで意識や話を持っていきたい。
  • 増井さんのお話は非常に参考になりました。Web担当部門内でもウェブアクセシビリティに対する温度差があり、今後、課としてのミッションの1つに今日のお話を追加して、まずは社内での立場・役割の明確化をしていこうと思います。
  • 法令制定をめぐる企業Webサイトの問題点・課題が分かりやすく解説されていれ有意義なセッションだった。
  • サイト全体でアクセシビリティ対応する事例はまだ少ないし、具体的な方法論は確立できていないんだな、と痛感しました。ただ、アクセシビリティの導入に対しての社内調整へのヒントはいただいた気がします。
  • とても参考になりました。今後の制作に役立てます。
  • アクセシビリティは必ず取り組むべきことで、特別でないことがよく理解できた。

JIS X 8341-3:2010対応やアクセシビリティ確保においてお困りのこと(一部)

  • 試験について、JISの要求事項をかみくだいた例はWAICにもあったが、実際にやるとなると、全ての項目(等級Aだけでも)で、対象ページに問題ない(適合)と言い切る判断がしにくい。知識不足もあるが。
  • 現在の社内にはアクセシビリティの考えが一切なく、大切だと訴えても見た目しか考慮してくれない、という状態なので、そもそもの浸透自体に苦慮しています。
  • 各Web制作担当への周知、意識の持たせ方。
  • 社内の啓蒙。疎い上司にわかりやすくわかってもらうための方法を知りたい。JISが本当にわかりにくい。
  • なかなか、サイト管理者が積極的に対応を進めてくれず、一部のみやってますがコスト面で途中で終わったりしてしまう。
  • セミナーにもあったように、書いてある内容理解に時間がかかる。
  • アクセシビリティを意識しすぎると、表現に制限がかかるという心配はあります。
  • 省庁で6年半Webアクセシビリティにかかわり、特に問題だったのがPDFのウェブアクセシビリティ対応。Acrobat Proを導入するには予算がなく、また外部の提供データは対応されない。HTML化も手が足りず。法令化・強制化されると予算が取りやすく、かつ、府内外周知に説得力が出るのだが。
  • 方針的なものを公開しているが、内容が古く、JISに完全に対応しているとは言い難い。修正が進まない。ホームページ作成担当者が分散しており、CMSでできる以外の検証がなかなかできない。
  • 制作会社の対応度合がまちまちすぎて、そもそもアクセシビリティを理解しているのか怪しいところもある。制作会社のランク付けなども考えたほうが良いのでは。
  • 社内関係者の意識改革、特に制作側がデザインだけを重視する体質なので。
  • 社内での取組みがなかなか進まない。

当委員会へのご要望等(一部)

  • 多くの情報があって、とても参考になるし、実際に活用している。
  • このようなセミナーがあったら、参加したいです。ディスカッションなどもできれば。
  • 頑張ってください。
  • WAICさん自体ではないですが、方針や試験の正しい公開の仕方をわかりやすく解説したサイトや、WAICさんが翻訳してくださった日本語訳サイトをさらにわかりやすく、具体例などを載せたサイトが、アクセシビリティの普及には必要だと思います。JISだけだと本当にわかりにくいです。難しいことですが……。
  • 準拠することが目的になりがちです。手段のひとつであることを認識していただくためにもJISの普及もさることながら正しい理解の促進をお願いしたいです。
  • JIS 2004にあった事例は判りやすく、取り組み時に依拠しやすかったです。現在WAICのサイトにあるQ&Aはその代わりとなっており、コンテンツを充実していただけると運用の現場での判断の参考になります。
  • 取り組みを進めるにあたって、情報発信をもっとしていただきたい。
  • 研修やセミナーの機会がまたあるとありがたいです。
  • CEATEC以外に情報共有の公開セミナー等ありましたらご案内いただきたいです。
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