公的機関Web担当者のためのアクセシビリティセミナー 開催報告(大阪会場)
セッション3 質疑応答コーナー「JIS X 8341-3:2010対応やWebアクセシビリティに関するQ&A」
質疑応答の内容(一部)の要約です。
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Q達成等級AAへの準拠は義務ではないと認識していますが、間違いないでしょうか?AAAへの準拠はあくまでも目安であり、みんなの公共サイト運用モデルにおいて提示されている基準になります。
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Q障害者差別解消法の制定により、JIS対応が義務化されるような動きはありますか?A障害者差別解消法によって今後どうなるかについては未定です。Webサイトが同法の対象になるかすら現時点では未定であり、はっきりとしたことは来年度になるまでわかりません。
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QPDFファイルは「ウェブページ」として扱うそうですが、WordやExcelで作成したファイルも「ウェブページ」になりますか?AURLを指定することでアクセス可能な対象を「ウェブページ」と定義しています。従い、拡張子が.docや.xlsであっても、それがURLをもつのであれば「ウェブページ」です。Wordファイルを例に言えば、スタイル機能を用い、たとえばリストをリストとして指定することにより、文章を適切に構造化することが基本的な対応方法になります。
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Qメールでも質問したのですが、意味のある順序について質問します。実装方法G57や実装方法C27について、どう考えるべきか教えてください。Aメールでの回答が遅れており、申し訳ありません。いただいたご質問については、作業部会2で議論してきました。一部、W3C/WAIに確認を依頼しているところがあり、確認が終わり次第、回答します。
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Q試験において、miCheckerはどのように捉えれば良いですか?A各項目(達成基準、実装方法)について、チェックできるところとそうでないところが明確になっています。機械的に試験できる部分については問題なく使用できると思いますが、人間でなければ判断できない部分については、miCheckerとは別途、試験しなければなりません。
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QWebサイトのリニューアルの仕様書に、音声読み上げ機能の提供などが記載されていることがありますが、そのようなツールの設置は必要なのでしょうか?A音声読み上げなどの機能を必要とするユーザーの多くは、既にスクリーン・リーダーを持っているはずであり、Webサイト側でツールを提供することは必須ではありません。ふりがなを提供するようなサービス、ツールもありますが、付加的な機能を提供するものであり、コンテンツそのもののアクセシビリティ確保ありきだと考えます。
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Q動画の配信について質問します。現在、YouTubeで動画を配信しており、WebページにはYouTubeへのテキストリンクを設けていますが、Webページ上で動画を再生できるよう埋め込んだ場合には、どうなりますか?A試験の観点で言えば、テキストリンクから遷移した先(YouTubeのサイト)は試験の対象範囲外となるはずですから、それが試験の結果に影響することはありません。動画を埋め込んだ場合にはページの一部とみなされますので、そのページを対象範囲に含めているのであれば、自ずと試験の対象になります。そうなると、動画を含むページが達成基準を満たすことが難しくなるから埋め込むのを止めよう、とお考えになるかもしれませんが、達成基準を満たしやすいかどうかという観点だけではなく、利用者側の利便性も考慮した上で、必要に応じて現時点では方針や試験の対象から除外する、という選択肢も検討してください。
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Q試験について、人間が行う以上は間違いが起きたり、試験結果に不明な部分が生じたりすることもあると思います。きちんとした試験を実施できる業者かどうか、客観的に判断するための基準はありますか?A試験に関しては現状、各達成基準を正しく理解していれば誰でも(どの業者でも)実施できます。しっかりとした試験が出来ているかどうかは、試験結果の公開により客観性、透明性を担保していただいています。ご質問いただいたような基準は、現状ありません。
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QPDFファイルもウェブページとのことですが、OCRを利用して画像化文字を読み込もうとした際、文字認識に失敗するような部分を修正する必要がありますか?APDFファイルをJIS対応の対象範囲に含めているのであれば、HTMLと同様、画像に適切な代替テキストを指定することで対応してください。
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Q文字の前後に「※」マークなどの記号などをつけることがありますが、音声読み上げを考慮しますと、使わない方が良いのでしょうか?A「※」マークなどはそれ自身が意味を持つことがありますが、そういった場合には排除する必要はありません。ただし装飾目的の、見た目のためだけに必要なものであれば、スタイルシートで表示させるといった方法を検討してください。
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Q外国語のページについてはどう考えれば良いでしょうか。何か特別な基準はありますか?A基本的にどの国や地域でも、公的機関に求められるレベルはAAの達成基準が一般的になりつつあります。ただし、スクリーンリーダー等の支 援技術の機能には差がある点は注意が必要です。ある言語圏において、特定の実装方法がアクセシビリティ・サポーテッドと言えるかどうか、現状では不明な部分が 多くあります。ただ、例えば英語サイトに関しては、英語圏での主流な支援技術の機能レベルは日本語の支援技術よりも高いので、日本語サイトを作るのと同じ実装方法を用いて作成していただいて問題ないと考えます。
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Q試験結果を公開しているWebサイトを見ますと、ランダムに40ページを試験対象に選択した事例が多いようですが、試験対象にトップページが含まれているのは、ランダムとは言えないのではないでしょうか?Aまず数量についてですが、40ページはJIS X 8341-3:2010 試験実施ガイドラインの提示している目安であり、必ずしも40ページである必要はありません。ランダムかどうかについては確かめようが無く、そのサイトに「ランダムに選んだ」とあれば、実際そうなのでしょう。ただし、重要な位置付けのページなのでトップページを試験対象に含めたということであれば、選択方法の記載内容が誤っているかもしれません。
アンケート集計結果
アンケート回答数:42
回答者個人を特定するおそれのある情報につきましては、割愛させていただきました。また、文意を変えない範囲で、漢字の使い方や句読点等、適宜編集のうえ掲載させていただきました。
セッション1 講演「公的機関Webサイトに求められるJIS X 8341-3:2010対応」について
セッション1の理解度
5段階評価で、5が「理解できた」、1は「難しかった」です。
理解度 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無回答 |
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回答数(%) | 13(31%) | 21(50%) | 5(12%) | 1(2%) | 1(2%) | 1(2%) |
セッション1の役立ち度
5段階評価で、5が「役に立った」、1は「役に立たなかった」です。
役立ち度 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無回答 |
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回答数(%) | 17(40%) | 20(48%) | 4(10%) | 1(2%) | 0(0%) | 0(0%) |
セッション1へのコメント
- 発注のガイドライン的なものは良いと思います。ただ価格だけで落札されるのではなく、きちんと質も上がればいいな…。
- 内容量が多く、展開の早い講演だったが、基本的なことが包括的にまとまっていて分かりやすかった。
- 概要は理解できました。
- 何をどうしたらいいか分からない状況で来ましたが、JIS〜≧WCAG 2.0というのが分かりやすく、まずはそれらを読みます。
- やってみないとピンとこないです。実験的に少しずつやってみようと思います。
- JIS規格になぜ準拠しなければならないかや、進め方、考え方などが整理できた。
- 分量が多いこともあり、スピードがやや速いように感じました。
- Webアクセシビリティを取りまく状況はよく理解できました。
- 時間の都合上、最後の方は少し早足での進行だったように思うが、事例について、もう少し詳しく聞きたかった。
- 行政でもなく、民間でもなく、半官半民の団体で、高齢者や障害者との関わりの深い団体であるため、アクセシビリティに配慮しなければならないと思うのですが、この場合は、努力義務となるのでしょうか?法定義務となるのでしょうか?
- 方針を定めるのに当たって、生じた疑問点などがいくつか解決しました。
- 達成基準が等級AAにしなければいけない項目は決まっているのでしょうか?ホームページを新規に更新するのですが、HTMLが必要なのでしょうか?
- 韓国のことなど知らない情報もあり、グローバルな視点の中から見た日本のお話だったので興味深く伺いました。良かったです。
- JISと運用モデルの関係性が明確になった。
- ユニークな発表方で分かり易かったです。頭に入ってきやすいプレゼンでした。
セッション2 講演「JIS X 8341-3:2010準拠のための試験方法」について
セッション2の理解度
5段階評価で、5が「理解できた」、1は「難しかった」です。
理解度 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|
回答数(%) | 9(21%) | 21(50%) | 6(14%) | 5(12%) | 1(2%) | 0(0%) |
セッション2の役立ち度
役立ち度 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|
回答数(%) | 16(38%) | 18(43%) | 6(14%) | 1(2%) | 0(0%) | 1(2%) |
5段階評価で、5が「役に立った」、1は「役に立たなかった」です。
セッション2へのコメント
- 対象が公的機関なので仕方ないですが、実際のテストなど見てみたかったです。
- 内容が内容だけに時間内で話し切るのは難しいところもあると思うが、若干かけ足で、理解が追いつきにくいところがあった。
- チェックリストの例示も資料の中に記載があればよかった。
- 試験の達成基準がどのようなものか、お話を伺いたかった。
- 自治体担当者と業者がすることの線引きがよく分かりませんでした。試験の実施や実装チェックリストの作成、等級の項目の選定は発注業者に任せれば良いのでしょうか?
- 試験についてとても分かりやすかったです。
- 試験結果の公開方法をパターン別に学べて良かった。
- より良いWebサイトをつくるために大切なことだと再認識できた。
- 具体例が列挙されている点は分かりやすい感じたが、全体的な内容が難しめに感じた。
- 分かりやすかったです。
- 実際の場において、すぐに実践に役に立つお話を聞かせていただけました。
- 試験結果の表示方法が様々な例に沿っていて分かりやすかったです。
- 聞きたかったセミナーでした!どこにも載っていない資料とお話だったので助かります。セミナーに来て良かったです!
- 難しい内容を、分かりやすく説明いただいたのでよく分かりました。
- 何ページ試験すればサイト評価したことになるかが分かった。
- 分かり易い説明でした。
JIS X 8341-3:2010対応においてお困りのこと
- 受注側として…入札条件にあり、考慮した見積もりを立てると落札できない、という状況がなかなか辛いです。
- まだ何も取り組めていないので、何から始めたら良いかということ。
- アクセシビリティ対応の全体像は、今日のセミナーでお話を伺ってだいぶ理解できましたが、今日のお話を踏まえて、具体的に何から手をつければ良いのかというイメージが十分につかめませんでした。まずは業者に委託する準備を進めれば良いのでしょうか。
- 全職員に周知させるためのマニュアルやまとめサイト等の情報が欲しいです。
- 各担当課の制作ページについて監視しきれない。
- 何から始めればよいかわからないという状態でしたが、今日のセミナーで道が見えました。
- 具体的にどのように進めて行けばよいのか分からない。
- 昨年にホームページをリニューアルしたが、JIS対応が不十分である。当面リニューアルの予定もないので、修正対応、ホームページ作成者への周知が必要であるが、特にホームページ作成者にアクセシビリティの意識が低いため苦慮している。
- 自主運営の施設、指定管理の施設を含め、法人で約30近くの施設があり、施設毎のWebサイトは各施設の担当者が更新等を行っているが、日々の本来業務を行いながらの作業であるので、全ての施設で行うとなると、やはり厳しい状況になるのではないかというところです。
- 現状、試験をするためには、専門業者に委託しなければならない。その予算を確保することが難しい。
- PDFファイルへの対応。
- 既存のPDFページや、動画ページへの対応が現状では難しい状況です。ホームページの再構築を2月に実施したばかりで、当分は予算がつかないので、今後の対応については検討中です。
- メールで質問させていただいている件、わかり次第で結構ですのでご教授いただければ幸いです。(当日、同じ質問させていただきました)
- 実施時間、対応人員に無理がある。
- 正直、手間がかかるなぁ…と思っております。
ウェブアクセシビリティ基盤委員会へのご要望等
- 質問の中にあった外国語ページでたとえば中国からはGoogleが使えないなら、サイト内検索にGoogleを使ったり、Google マップを使うとダメなのかな…と。どういった表記になるのでしょう。
- 素晴らしい活動だと思います。今後も頑張って下さい。
- 全体の概要が分かりました。ありがとうございました。今後も、こういった機会があれば参加させていただきたいと思います。
- 今日は、大変有意義なお話をありがとうございました。今後もこういった機会があれば、参加したいと思いました。
- 技術的な部分もたくさん聞きたいのでまた大阪でのセミナーを希望いたします。大変面白かったです。ありがとうございました。
- とりあえず進めていかないといけないのかと思いますが、あまりにも言葉なども難しく…また勉強したいと思いますが、不明なところ、HPなどを通じて質問させて頂きます。
- 分かりやすいセミナーをありがとうございました。これからも公共機関Webサイトの運営上で必要な知識をご教授いただきたいです。
- 今後もこのようなセミナーを開催していただきたいです。
- 非常に勉強になりました。
- またセミナーを開催されることがありましたら、ご案内ください。本日は大変参考になりました。ありがとうございました。
- 海外向けの情報発信ニーズが高まっており、益々盛んになると思われるため、それらに関する情報を知りたいです。
- 公的機関の制作者ではないですが、大変ためになりました。
- 分かりやすい講義をありがとうございました。
- ありがとうございました。
- 今回の試験の資料はWAICのサイトで公開していただきたいです。みなさん助かると思います。載せていただけるとのことで楽しみです!取り組みやすくなります。
- これからも情報提供よろしくお願いします。
- 障害者差別法の情報を適宜報告をお願いします。
- Web制作側へのセミナーも開催して頂きたい。
- 時間と他の業務の狭間で実行できるのか?
- もう少し深い内容でもう一度セミナーをして欲しいと思いました。
- 今後もいろいろとお世話になると思います。本日はありがとうございました。
会場の模様
セッション1の講演の模様
セッション2の講演の模様
セッション3の質疑応答の模様