スクリーンリーダー固有の操作方法とアクセシビリティ・サポーテッド
「2.1.2 キーボードトラップなしの達成基準」に「キーボードインタフェースだけを用いてそのコンポーネントからフォーカスを外すことが可能でなければならない。」とあります。HTMLのウェブページにFlashコンテンツを埋め込んでいる場合の解決法について、「WCAG 2.0 達成方法集」にも具体的な解決法が示されていないように思います。例えば、NVDAというスクリーンリーダーであれば、Ctrl + NVDAキー + スペースキー を押すと、Flashコンテンツからフォーカスを外すことが可能です。このように特定のスクリーンリーダーで可能な場合、この達成基準を満たしていると判断してよいのでしょうか?
FlashではFirefoxでそのような問題が生じることが知られており、アドビシステムズでもこの問題を既知のバグとして認識しており、Adobe Accessibility Blogには「Firefox Focus and Actual Links」という記事もあります。また、FLASH17: Flash オブジェクトをキーボードで操作可能にして、キーボードトラップを回避するをご覧ください。
ご質問の中で例に挙げていただいているNVDAを併用した例ですが、特定のツールに依存してOKと判断できるかどうかは、それによって「アクセシビリティ・サポーテッド」であると判断できるコンテンツかどうかによります。仮に、NVDAを併用する以外に方法がない場合、それがNVDAの利用者しか使用しないコンテンツであることが明らかで、それ以外の利用環境(例えば、Firefoxを使用してキーボード操作だけで使用している場合など)を無視してもよいコンテンツなのであれば「アクセシビリティ・サポーテッド」であると判断してもよいと思います。しかし、インターネットで一般に公開されているウェブサイトなどの場合には、NVDAの利用者しか使用しないコンテンツであるとは考えにくいので、特定のツールだけに依存して「アクセシビリティ・サポーテッド」であると判断することはできないでしょう。