「WCAG」の発音は?

ウェブアクセシビリティ基盤委員会 作業部会1 委員
植木 真(株式会社インフォアクシア)

日本産業規格「JIS X 8341-3」の現行バージョン、つまり「JIS X 8341-3:2016」は、国際規格「ISO/IEC 40500:2012」の一致規格であり、「ISO/IEC 40500:2012」はW3Cのガイドライン「WCAG 2.0」をそのまま採用したものであることは、多くの皆さんがご存知のことと思います。

W3Cは、World Wide Web Consortium(ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム)の略称で、ウェブで使用される各種技術の標準化を推進するために設立された標準化団体です。そのW3Cが作成しているガイドラインが「WCAG」で、正式名称はWeb Content Accessibility Guidelines(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)と言い、この原稿を執筆している時点での最新バージョンは「WCAG 2.2」です。

さて、私はWAIC(ウェブアクセシビリティ基盤委員会)が設立された2010年よりも遡ること6年前、ちょうどJIS X 8341-3が初めて制定された2004年頃からW3Cのワーキンググループに参加しています。かれこれ、もう20年近くになります。

ところで、ここで問題です。

「WCAG」は、英語ではどのように発音するのでしょうか?

ワーキンググループの会議や海外のカンファレンスでは、基本的には公式言語は英語です。いろいろな国の皆さんが英語で会話しているのですが、「WCAG」はどのように発音されていると思いますか?

実は、あるカンファレンスの会場で30人くらいの知人に「WCAGって、どう発音する?」と質問してみたことがあります。そのとき答えてくれたのは半分くらいがアメリカやカナダからの参加者でしたが、その他にもヨーロッパやオセアニアなどから参加している皆さんもいて、国や地域はとてもバラエティに富んでいました。

では、答えです。そのとき多かったのは、カタカナで書くと「ウィケーグ」または「ウーケーグ」でした。

カタカナで書き表すのは非常に難しいのですが、「ウィーケグ」とか「ウケーグ」という感じに聞こえたのも含めると、最初の「W」が「ウィ」または「ウー」で大きく二つに分かれて、「CAG」は「ケ」を伸ばすかどうかで微妙に「ケーグ」か「ケグ」のやはり二つに分けられる感じです。

ただ、そこまで厳密ではないので、「ウィーケーグ」、「ウィーケグ」、「ウィケーグ」、あるいは「ウーケーグ」、「ウーケグ」、「ウケーグ」という感じで発音すれば、ウェブアクセシビリティの会議やカンファレンス会場では問題なく通じると思います。私自身は、いつも「ウィーケーグ」か「ウィーケグ」というイメージで発音しています。

ちなみに、WCAGの2.0は「トゥーポイントゼロ」、2.1は「トゥーポイントワン」、2.2は「トゥーポイントトゥー」という感じでしょうか。

最後に、W3Cのワーキンググループでは、現在WCAGのメジャーアップデートとして「WCAG 3.0」の策定に着手しています。このワーキンググループのメンバーは半分以上がアメリカ、あとはヨーロッパからの参加者が多くて、日本から参加しているのは現時点では私だけですが、日本のみならず、アジア諸国からの参加者がほとんどいないのが現状です。

今のところ、ガイドライン全体の骨格もまだ固まっていない段階ではありますが、これから徐々に中身の議論が本格化してきます。WCAG 3.0は、将来的にはアクセシビリティガイドラインの世界標準になっていくことが予想されますので、日本からももっと多くの皆さんにワーキンググループに一緒に参加していただけたらと思っています。

W3Cのワーキンググループはとてもオープンに運営されています。例えば、皆さんが所属する企業や団体がW3Cの会員になっていれば、基本的には誰でも自由に参加することができます。ワーキンググループの概要や参加方法、条件等については、以下をご覧ください。

一人でも多くの皆さんとご一緒できたら嬉しく思います。お待ちしております!

  • この文章は、一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)のメールマガジンへ掲載することを目的に書かれたものです。
  • この文章は、執筆者個人の見解に基づくものであり、ウェブアクセシビリティ基盤委員会の公式的な見解を示すものではありません。
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