アクセシビリティ サポーテッド(AS)テスト体験会を開催しました

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC) 作業部会2 主査
株式会社シュアルタ 西本卓也
ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC) 作業部会2 副査
株式会社U’eyes Design デザイニング・アウトカムズ事業部 諸熊浩人

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)では、オンラインイベント「アクセシビリティ サポーテッド(AS)テスト体験会」を開催しています。直近では2025年10月23日に開催しました。

本イベントは、作業部会2(以下、WG2)の活動の一つである「ブラウザ及び支援技術を用いたASテストの実施」を体験できるイベントです。

ASテストとは

アクセシビリティ サポーテッド(AS)情報とは、W3Cより公開されている参考資料「WCAG 2.2 テクニック集」などに掲載されているテクニックが、広く使われている(あるいは、容易に入手できる)ブラウザーや支援技術において期待する効果を挙げられるか否かを確認するための情報です。ウェブコンテンツをアクセシビリティに配慮して実装する際に、この情報を参考にすることができます。

例えば、ウェブページ内に設置した画像に代替テキストを付与するために、 img 要素に alt 属性を付けるテクニック(H37)が、主要なブラウザーとスクリーンリーダーの組み合わせで期待通りに読み上げられるかどうかを、実際に操作して確かめた結果を公開しています。開発者は、こういった情報を参考に、アクセシビリティに配慮されたウェブコンテンツを実装することが可能となります。

以前より、我々の所属するWG2が中心となって、各テクニックに対し調査を行い、AS情報のメンテナンスを行ってきました。

しかし近年では、ブラウザーや支援技術の種類が多様化すると共に、各々の技術が短いスパンで更新されるようになりました。そこで、WG2では、2020年度よりこの活動をオープン化し、WAICに所属していない方からもテスト結果の提供を常時受け付けることとしました。これにより、AS情報の充実と情報公開の加速を推進しています。

そして、この取り組みを広く知ってもらうために、今回のようなイベントを開催しています。

当日の流れ

イベントの冒頭では、AS情報、及び、ASテストの概要や目的を説明しました。 その後、GitHubで公開されているテストケース(waic/as_test リポジトリ)をもとに、 各自が関心のある項目を選んで実際にテストを行う時間を設けました。

テストは、参加者各自が所有している、あるいは試したい環境にて進めます。例えば、Windows上でNVDAやPC-Talkerを使う、iPhoneのVoiceOverを使うなどです。

作業後は感想を共有し、質問を受け付けました。 例えば、「VoiceOverのジェスチャー操作は、慣れれば効率的である」、「ASテストがスクリーンリーダーの練習教材として役立つ」といった感想が挙げられました。

参加者との意見交換

質疑では、支援技術の利用状況やテスト環境についての話題も挙がりました。

例えば、支援技術の利用状況では、日本視覚障害者ICTネットワーク(JBICT)が実施した調査を例に、パソコンではWindows + PC-TalkerまたはNVDA、スマートフォンではiPhone + VoiceOverの利用率が高い傾向であることが紹介されました。

また、Windowsに標準搭載されているスクリーンリーダー「ナレーター」については、スクリーンリーダーとして最低限必要な機能は搭載されており、特に「Microsoft Edge」と連携した際のアクセシビリティ対応に優れていることが紹介されました。一方で、「ナレーター」を新たに使い始める視覚障害当事者にとっては、固有の操作を学習することに困難を伴うことが紹介されました。

さらに、参加者に実施してもらったASテストについても、課題点が指摘されました。チャットアプリやロギングツールのように逐次的に更新される情報をスクリーンリーダーで読み上げるかを確認するテストでは、結果を記録している間に次のコンテンツを読み上げてしまうため、手順どおりに行うことが難しいという指摘がありました。これについては、テスト実施者に向けた説明の改善などを検討しています。

ASテストは、W3Cより公開されているテクニック集を元に、WG2内で協議して作成しています。しかし、手順や結果を熟知しているテスト作成者と、何も知らずにテストを実行する利用者にはギャップがあるものです。そうしたギャップを発見し、より正確でわかりやすいテストが実行できるようにすることも、WG2、及び、ASテストを体験する目的の一つです。

さいごに

体験会では、Google スプレッドシート形式の入力テンプレートを使用し、テスト結果を記録していただきました。提出された結果は、内容を確認したうえでクリエイティブ・コモンズ 表示‐継承 4.0 国際(CC BY-SA 4.0)ライセンスのもと公開します。

こうした活動で得られたデータが、AS情報の更新や、今後のASテストの開発、改善に繋がっています。

次回の体験会は2026年2月19日を予定しています。ブラウザーや支援技術を用いたテスト、あるいは、ウェブコンテンツの実装技術に関心をお持ちの方は、是非チェックしてみて下さい。

  • この文章は、一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)のメールマガジンへ掲載することを目的に書かれたものです。
  • この文章は、執筆者個人の見解に基づくものであり、ウェブアクセシビリティ基盤委員会の公式的な見解を示すものではありません。
このページのトップへ