日本におけるウェブアクセシビリティの理解と普及に努めるグループ──ウェブアクセシビリティ基盤委員会 作業部会1
ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC) 作業部会1 主査
サイボウズ株式会社 開発本部 小林 大輔
ウェブアクセシビリティ基盤委員会 作業部会1とは?
ウェブアクセシビリティ基盤委員会(Web Accessibility Infrastructure Committee。以下、WAIC)は、ウェブアクセシビリティのJIS規格である「JIS X 8341-3」の原案作成団体です。現在は、JIS X 8341-3の普及啓発のためさまざまな活動を行っています。
WAICにはいくつかの作業部会があります。このうち作業部会1(以下、WG1)は、JIS X 8341-3の理解と普及に必要な活動を行っています。現在の主な活動は以下のとおりです。
- 公共機関向けのウェブアクセシビリティ啓発施策の検討
- ウェブアクセシビリティセミナーの計画・運営
- ウェブアクセシビリティに関するQ&Aの作成
- ウェブアクセシビリティ理解普及のため新しいウェブコンテンツの計画
- WAICのウェブページの運用
公共機関向けのウェブアクセシビリティ啓発施策の検討
総務省と連携しつつ、公共機関向けにウェブアクセシビリティを啓発するためのさまざまな施策を検討しています。たとえば公共機関向けのセミナーを立案したり、総務省が公共機関向けに配布するアクセシビリティに関する資料をより分かりやすくする方法がないか検討したりしています。
ウェブアクセシビリティセミナーの計画・運営
ウェブアクセシビリティに関するさまざまなセミナーを計画しています。視覚障害者の方にご登壇いただき、スクリーンリーダー(音声読み上げソフト)で画面を操作する様子を実演していただいたり、普段の生活や仕事での状況や不便を伺ったりしています。また、ウェブアクセシビリティを推進している民間企業の方にご登壇いただき、それぞれの取り組みについてお話しいただくこともあります。
過去のウェブアクセシビリティセミナーはYouTubeで公開していますので、ぜひご覧ください。
ウェブアクセシビリティに関するQ&Aの作成
WAICにはセミナー等を通じてさまざまな質問が寄せられます。寄せられた質問の一部は、WAICのウェブサイトに「Q&A」として公開しています。また、寄せられた質問以外でも、ウェブアクセシビリティに関する典型的な質問を公開しています。
ウェブアクセシビリティの理解促進のため新しいウェブコンテンツの計画
WG1では、Q&Aのほかにも、ウェブアクセシビリティの理解を促進するため新しいウェブコンテンツの提供を計画しています。最近は、特にウェブアクセシビリティの初学者の方を対象として、ウェブアクセシビリティに関する用語解説などを充実させていきたいと考えています。
WAICのウェブページの運用
WG1では、WAICのウェブサイトの運用業務を行っています。WAICのウェブサイトには、WG1が作成したコンテンツ以外にもさまざまなコンテンツがあります。たとえば、WAICの策定するガイドラインやW3Cの発行する技術文書の翻訳、WAICのウェブサイトのウェブアクセシビリティ方針と試験結果などです。主要な更新内容は「ニュース」からご覧いただけます。
このほか、「X(旧:Twitter)やFacebookアカウントなどで、WAICのニュースやウェブアクセシビリティに関するさまざまなトピックを発信しています。興味があればぜひフォローしてください。
定例会とプロジェクト
WG1の手がけるウェブアクセシビリティの啓発施策は多岐にわたっています。WG1では、上記に挙げた啓発施策ごとにいくつかのプロジェクトに分かれて活動しています。執筆時点のプロジェクトは以下の通りです。
- 公共啓発プロジェクト
- セミナー開催プロジェクト
- Q&Aプロジェクト
- ウェブコンテンツプロジェクト
- ウェブ更新プロジェクト
毎月WG1では、構成員全体が集まる定例会を開いて、プロジェクトの活動内容を共有・相談しています。議事録の要旨は以下をご覧ください。
ウェブアクセシビリティの理解と普及に貢献してみませんか?
以上のように、WG1では日本のウェブアクセシビリティの理解と普及を進めるため、さまざまな施策を行っています。
もし理解と普及の活動に参加してみたいという企業・個人の方は、「お問い合わせ」ページから入会希望の旨をご連絡ください。
- この文章は、一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)のメールマガジンへ掲載することを目的に書かれたものです。
- この文章は、執筆者個人の見解に基づくものであり、ウェブアクセシビリティ基盤委員会の公式的な見解を示すものではありません。