アクセシビリティとは

アクセシビリティとは

一般にアクセシビリティとは、アクセスのしやすさを意味します。転じて、製品やサービスの利用しやすさという意味でも使われます。

似た意味をもつ言葉にユーザビリティがありますが、アクセシビリティはユーザビリティより幅広い利用状況、多様な利用者を前提とします。

ウェブアクセシビリティとは

ウェブのアクセシビリティを言い表す言葉がウェブアクセシビリティです。ウェブコンテンツ、より具体的にはウェブページにある情報や機能の利用しやすさを意味します。

さまざまな利用者が、さまざまなデバイスを使い、さまざまな状況でウェブを使うようになった今、あらゆるウェブコンテンツにとって、ウェブアクセシビリティは必要不可欠な品質と言えます。

JIS X 8341-3とは

ウェブアクセシビリティという品質を確保する際の拠り所となるガイドラインは、ウェブ技術の標準化団体であるW3Cの定めたものから企業が独自に制定するものまで多種多様ですが、JIS規格として制定されたのが規格番号JIS X 8341-3、規格名称「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ」です。

2004年6月に制定されたJIS X 8341-3は、2010年8月、ウェブアクセシビリティの事実上の国際標準であるW3Cの発行したWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.0と協調するよう改正されました。その後、2012年には WCAG 2.0 がそのまま国際規格ISO/IEC 40500:2012となり、2016年3月には、JIS X 8341-3もISO/IEC 40500:2012との一致規格として改正されました。

これにより、WCAG 2.0、ISO/IEC 40500:2012、JIS X 8341-3:2016の3つが全て技術的に同じ内容になり、W3Cの勧告、国際規格のISO、国内規格のJISが完全に統一されることになります。

JIS X 8341-3:2016はISO/IEC 40500:2012との一致規格であり、技術的にはWCAG 2.0と同じ内容

規格票の閲覧と入手方法

JIS X 8341-3の規格票は、日本規格協会のWeb販売サイト「JSA Webdesk」で購入できます。閲覧だけであれば、日本産業標準調査会のサイトで可能です(JIS検索にある「JIS規格番号からJISを検索」にて「X8341-3」と入力して検索してください)。また、規格票から附属書を除いた本体部分を記載した『JISハンドブック(高齢者・障害者等)』は、都道府県立図書館や大学図書館等で閲覧することができます。詳細はJISの入手閲覧方法を参照ください。

JIS X 8341-3の利用プロセス

JIS X 8341-3に基づいてウェブアクセシビリティを高めるプロセスとして、当委員会では以下の流れを推奨しています。

  1. ウェブアクセシビリティ方針の策定と公開
  2. アクセシブルなウェブコンテンツの制作
  3. 試験の実施と結果の公開

これら一連のプロセスは、一巡したらそれで完了というわけではなく、ウェブコンテンツを公開し続ける限り、継続的に取り組んでいただく必要があります(JIS X 8341-3:2016 附属書JA.5「保守・運用」同 JA.6「PDCA サイクルによるウェブアクセシビリティの確保・維持・向上」参照)。

アクセシビリティ対応のPDCAサイクル。「方針」「制作」「試験」のサイクルでアクセシビリティを確保する

なぜなら、ウェブコンテンツは新規追加や更新によって変化し得るものであり、たとえコンテンツが変化しなくとも、ウェブそのものや利用者の変化により、アクセシビリティ方針の妥当性、求められる品質は変わり得るためです。

JIS X 8341-3:2010では、ウェブコンテンツが満たすべき達成基準に加え、ウェブコンテンツの提供者が基準を満たすために必要となるプロセスについても規定していました。JIS X 8341-3:2016では、規格の内容をISO/IEC 40500:2012と一致させる観点から、プロセスについての推奨事項は規定ではなく、付属書として提供されることになりました(JIS X 8341-3:2016 附属書JA)。

ウェブアクセシビリティ方針の策定と公開

ウェブコンテンツの提供者は、JIS X 8341-3の適用範囲や、目標とするアクセシビリティ品質を定義・文書化し、ウェブアクセシビリティ方針として利用者に公開することが望まれます(JIS X 8341-3:2016 附属書JA.1「企画」参照)。

ウェブアクセシビリティ基盤委員会では、「ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン」を提供しています。また、目標とするアクセシビリティ品質の表記に関連して、対応度表記ガイドラインを提供しています。方針を策定する際の参考にしてください。

アクセシブルなウェブコンテンツの制作

ウェブアクセシビリティ方針において目標に定めたアクセシビリティ品質を満たすよう、ウェブコンテンツの制作者は、アクセシブルにウェブコンテンツを制作してください(JIS X 8341-3:2016 附属書JA.2「設計」、同 JA.3「制作・開発」参照)。

その際、「ウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)2.0」や「WCAG 2.0 解説書」、「WCAG 2.0 達成方法集」といったW3Cのリソースの日本語訳が参考になります。制作者の方は、是非ご覧ください。

JIS X 8341-3に対応したウェブコンテンツ制作を、制作会社やパートナーに外注するウェブコンテンツの提供者向けには、「対応発注ガイドライン」を提供していますので、参考にしてください。

試験の実施と結果の公開

ウェブコンテンツの提供者は、制作したコンテンツのアクセシビリティ品質が目標としたレベルに達しているか試験し、その結果を利用者に公開することが望まれます(JIS X 8341-3:2016 附属書JA.4「確認」参照)。

なお、ウェブコンテンツの提供者は、試験の実施をコンサルティング会社や制作会社、検査機関などに依頼しても構いません。

実施にあたっては、当委員会の提供する「試験実施ガイドライン」に従って試験されることを推奨します。また試験結果の公開にあたっては、アクセシビリティ方針の策定時と同様、「対応度表記ガイドライン」も併せてご覧ください。

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