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ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2010 対応度表記ガイドライン 2010年8月版

1. はじめに

本ガイドラインは、ウェブコンテンツ(ウェブアプリケーションを含む)がJIS X 8341-3:2010をどのように用いて制作され、対応しているかを表記する方法について定めたものである。本ガイドラインの表記は、調達に用いる仕様書や契約書、納品書等で対応度を明確化するのに利用できる。また、ウェブサイトやページがどのように対応したかを公開する際にも利用することができる。

2. 表記方法

2.1 JIS X 8341-3:2010に適合

この表記「JIS X 8341-3:2010に適合」は、ウェブコンテンツがJIS X 8341-3:2010の箇条6の規定を満たし、目標としたアクセシビリティ達成等級に該当する箇条7の達成基準を満たしていることを箇条8「試験方法」により検証し、適合性評価活動により適合を保証することを示す際に使用できる。2010年8月20日時点のJIS制度では次のような選択肢が用意されている。

a) 認証
認証とは、工業標準化法第19条に基づいて、認証機関によって認証を受けることである。認証された製品はJISマークを製品などに表示することができるが、2010年8月20日現在、JIS X 8341-3:2010に対応可能な認証機関は存在しない。
b) 自己適合宣言
自己適合宣言とは、提供者又は制作者が自らJIS Q 1000等で定められた方法に基づいて製品等がJISの要件を満たしていることを確認し、適合を宣言することである。JISマークを使用することはできない。

 したがって2010年8月20日現在、自己適合宣言が唯一の方法である。

2.2 JIS X 8341-3:2010 に準拠

 この表記「JIS X 8341-3:2010 に準拠」は、ウェブコンテンツをJIS X 8341-3:2010の要件に従って制作・開発し、試験を実施して、目標としたアクセシビリティ達成等級に該当する達成基準を全て満たしていることを示すために使用することができる。細分箇条6.1で定められたアクセシビリティ方針の提示又は公開、及び細分箇条8.3で定められた試験結果の表示(注1)を行うものとする。

なお、目標としたアクセシビリティ達成等級に該当する達成基準を全て満たしていない場合、その理由、準拠に向けたスケジュールを示すことで「JIS X 8341-3:2010 に一部準拠」と表記することが許される。仕様書等で、目標として「一部準拠」を用いることは推奨しない。

(注1):「表示」とは、ウェブサイト等ではサイト上で公開することであり、コンテンツ等の受発注又は納品においては、受発注者が取り交わす契約書類等に明記することである。

2.3 JIS X 8341-3:2010に配慮

この表記「JIS X 8341-3:2010に配慮」は、ウェブコンテンツがJIS X 8341-3:2010を使用して制作されたことを示すために使用することができる。目標としているウェブアクセシビリティ達成等級、参照した達成基準の一覧を表示(注1)するものとする。この表記は、単に JIS X 8341-3:2010 を参照した、参考にしたという程度の意味しかなく推奨しない。できる限り、準拠、適合に進むことが期待される。準拠に進む過程で、試験を実施した場合には「JIS X 8341-3:2010に配慮し試験」したと表記してもよい。この場合には、細分箇条8.3で定められた試験結果の表示(注1)を行うものとする。

(注1):「表示」とは、ウェブサイト等ではサイト上で公開することであり、コンテンツ等の受発注又は納品においては、受発注者が取り交わす契約書類等に明記することである。

2.4 表記の違い

それぞれの表記の違いを「表1 表記の相違点」に整理した。

表1 表記の相違点
表記 アクセシビリティ方針の
提示又は公開
目標とする等級の
達成基準の試験結果
追加表記事項 自己適合宣言
適合 必須 試験を実施し、達成基準を全て満たすことを確認 なし JIS Q1000等による
準拠 必須 試験を実施し、達成基準を全て満たすことを確認 なし できない
一部
準拠
必須 試験を実施し、達成基準の一部を満たすことを確認 満たせなかった理由
準拠に向けたスケジュール
できない
配慮し試験 必須 試験を実施するが、結果は問わない なし できない
配慮 必須 なし 参照した達成基準一覧 できない

3. 本ガイドラインを用いる際の追加表記事項

本ガイドラインで定めた表記を用いるときには、次の例のように明記するものとする。なお、ウェブページで使用する場合には、本ガイドラインのURIを明記するか、リンクすることを推奨する。なお、この追加表記事項が明記されない場合の一般的な表記は、当然ながら本ガイドラインとは無関係である。

表記の例

本仕様書における「JIS X 8341-3:2010 に準拠する」という表記は、情報通信アクセス協議会ウェブアクセシビリティ基盤委員会「ウェブコンテンツのJIS X 8341-3:2010 対応度表記ガイドライン 第1版 - 2010年8月20日」で定められた表記による。(URI http://waic.jp/docs/jis2010-compliance-guidelines/index.html)