WCAG 2.0 実装方法集

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PDF4: PDF 文書の Artifact タグによって装飾的な画像をタグ構造から削除する

適用(対象)

タグ付き PDF 文書

これは、次の達成基準に関連する実装方法である:

ユーザーエージェント及び支援技術によるサポート

ユーザーエージェント及び支援技術に関する情報は、PDF テクノロジーノートを参照のこと。

解説

この実装方法の目的は、/Artifact タグを使用して、支援技術で無視できるように PDF 文書内の純粋に装飾的な画像をマークする方法を示すことである。これは通常、PDF のオーサリングツールを使用して行う。

PDF では、一般的にアーティファクトとは、作成されたコンテンツに含まれないグラフィックオブジェクトまたはその他のマーキングを意味する。アーティファクトの例としては、ページのヘッダまたはフッタ情報、ページのセクションを分ける線またはその他のグラフィック、装飾的な画像などがある。

事例

事例 1: Adobe Acrobat 9 Pro の TouchUp 読み上げ順序ツールを使用して、背景画像をアーティファクトとしてマークする

この事例は Adobe Acrobat Pro の場合を示している。同様の機能を実行するソフトウェアツールは他にも存在する。他のソフトウェアツールのリストについては、「アクセシビリティがサポートされている PDF オーサリングツール」を参照のこと。

TouchUp 読み上げ順序ツールを使用して、画像を「背景」としてマークすることができる。これにより画像は文書のタグ構造から削除される。

  1. Acrobat Pro でアドバンスト > アクセシビリティ > TouchUp 読み上げ順序を選択し、TouchUp 読み上げ順序ツールを開く。

  2. 文書内の装飾的な画像を選択する。

  3. TouchUp 読み上げ順序ツールで、[背景]ボタンをクリックし、選択した画像をタグ構造から削除する。

下のスクリーンショットはこの事例を示している。

スクリーンショット:TouchUp 読み上げ順序ツールを使用して、タグツリーから画像を削除

この事例のサンプルとして、装飾的な画像作成のサンプル (Word ファイル)装飾的な画像作成のサンプル (PDF ファイル)がある。

事例 2: /Artifact タグまたはプロパティリストを使用して、画像を PDF 文書内のアーティファクトとしてマークする

PDF 仕様を使用すると、PDF 1.7 (ISO 32000-1)の節 14.8.2.2「実際のコンテンツとアーティファクト」(英語)に定義されているように、画像を「アーティファクト」としてマークすることができる。アーティファクトは、/Artifact タグと共に、マークされたコンテンツ順序に含められることで実際のコンテンツと明示的に区別される。

/Artifact

BMC  ...  EMC    

または

/Artifact propertyList

BDC  ...  EMC  

前者は一般的なアーティファクトを特定するために使用され、後者はプロパティリストが関連付けられているアーティファクトで使用される。テキストのリフローを可能にするために、アーティファクトは可能な限りプロパティリストを関連付けて定義すべきである。境界ボックスが指定されていないアーティファクトは、リフロー中に削除される可能性がある。

アーティファクトのプロパティリストのエントリには、Type、BBox、Attached、Subtype などがある。

参考リソース

この参考リソースは、あくまでも情報提供のみが目的であり、推薦などを意味するものではない。

検証

チェックポイント

  1. 純粋に装飾的な画像について、次のいずれかの方法を使用して確認すると、アーティファクトとしてマークされている。

    • PDF 文書をスクリーンリーダーで読み上げた際に、コンテンツが1行単位で読み上げられるときに装飾的な画像が読み上げられない

    • PDF エディターを使用して、装飾的な画像がアーティファクトとしてマークされていることを確認する

    • 文書を折り返し表示にすると、装飾的な画像がページに表示されない

    • /Artifact エントリまたはプロパティリストを表示できるツール(aDesigner など)を使用して PDF 文書を開き、装飾的な画像がアーティファクトとしてマークされていることを確認する

    • アクセシビリティ API を通じて文書を表示するツールを使用して、装飾的な画像が API を通じて表示されていないことを確認する

判定基準

注意: この実装方法が「達成基準を満たすことのできる実装方法」の一つである場合、このチェックポイントや判定基準を満たしていなければ、それはこの実装方法が正しく用いられていないことを意味するが、必ずしも達成基準を満たしていないことにはならない。場合によっては、別の実装方法によってその達成基準が満たされていることもありうる。