JIS X 8341-3 の試験に関わるワーキンググループ──ウェブアクセシビリティ基盤委員会 作業部会3

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC) 作業部会3
株式会社コンセント 足立 邦登(主査)
株式会社イデア 村上 桂子(副査)

ウェブアクセシビリティ基盤委員会 作業部会3とは?

ウェブアクセシビリティ基盤委員会の作業部会3(以下、WG3)は、JIS X 8341-3の「試験」をテーマに活動しているワーキンググループです。

「試験」は、ウェブコンテンツのアクセシビリティを高めるプロセスの一つに位置づけられます。JIS X 8341-3の規格票では、ウェブコンテンツを制作・開発した後に対応する達成基準が満たされているかを検証する試験方法が、附属書JBで参考情報として提供されています。

WG3では、試験に必要な資料の作成、および公開、また試験の際に生じる諸問題の解決に向けた議論を通じて、試験の普及を目指しています。

WG3 の主な活動内容

  • 試験における諸問題解決に向けた調査・議論
  • JIS X 8341-3 試験実施ガイドラインの作成、およびメンテナンス
  • 実装チェックリスト例の作成
  • ウェブコンテンツの JIS X 8341-3 対応度表記ガイドラインの作成、およびメンテナンス
  • 試験方法に関する国際動向の把握、および国際協調
  • 試験に関わる Q&A の提供

4つのプロジェクト

2022年度より、WG3では、4つのプロジェクトを編成し、各種ドキュメントの作成、調査や議論を行っています。

プロジェクト1: 試験に関わるガイドラインのメンテナンス

  • WAIC サイトにて公開している ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン、ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン、JIS X 8341-3:2016 対応発注ガイドラインについてのメンテナンス

プロジェクト2: Q&Aコンテンツのメンテナンス

  • WAIC サイトにて公開している試験に関わる Q&A の見直し・新規掲載内容の検討

プロジェクト3: 発注者、および受注者双方における継続的改善の施策の理解普及

  • ウェブコンテンツの制作・開発に関わる検証・試験に対する意識調査
  • 新規ウェブサイト構築やリニューアルを例に、試験を実施するまでの流れや継続的な品質管理活動など、これからアクセシビリティに取り組む方に向けた全体プロセスの紹介と参考情報をまとめた基礎知識コンテンツの企画・検討

プロジェクト4: 試験に対する知識・理解不足解消

  • WAIC サイトの試験実施
  • 試験についての正しい理解を得るための教材、資料の整備
  • 試験・検証のデモンストレーションやセミナー、実例集等の企画

アクセシビリティの改善計画と試験

インターネットが日常生活において不可欠となっている今日、ウェブサイトは、企業や組織の顔とも言える存在の一つです。

一方で、ウェブページで掲載している情報や機能が、障害の有無やその程度、年齢や利用環境にかかわらず利用できるようになっていることを確認することは、しばしば後回しにされがちです。また、いざ改善しようと思っても、どこから着手していいのかわからないという話をよく耳にします。

このような課題に向き合うにあたっては、ツールを使った自己診断や専門家へのレビュー依頼、スクリーンリーダーを使ったテストの他、ユーザにテスト利用してもらうなど、さまざまなアプローチが考えられます。これらの方法は、それぞれがアクセシビリティ向上における課題の探索や解決策の模索につながります。

そうした中で、Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.0と協調するよう改正された JIS X 8341-3:2016 のように、ウェブコンテンツを高齢者や障害のある方にとってよりアクセシブルにする方法を定義した規格やガイドラインを使った評価は、改善に向けた取り組みを進める手法として有効です。

JIS X 8341-3の規格を満たしているかどうかの試験

WAIC にて公開している試験実施ガイドラインでは、JIS X 8341-3:2016の要件に従って制作・開発されたウェブコンテンツの試験の具体的な実施方法が紹介されています。通常、試験は開発の後に行われますが、試験に先立ってウェブサイトを代表するページの検証を行うことは、課題の傾向を理解し、今後のアクセシビリティ改善に向けた計画を立てる助けとなります。

試験の実施方法について詳しく知りたい方は、JIS X 8341-3:2016 試験実施ガイドラインをご確認ください。

試験実施ガイドラインの中では、附属書JB における試験手順の補足事項として、ウェブアクセシビリティの達成方法、およびその検証方法と、その検証結果を入力できるシート[実装チェックリスト例]も公開していますので、ご自身の試験環境に合うようカスタマイズしてご利用ください。

また、わからないことがあった際は、試験についてのQ&A を公開していますので、ご参考にしてください。

解決できない場合は、WAIC サイト内のお問い合わせページ内に、JIS X 8341-3、およびウェブアクセシビリティに関する質問の場として、GitHub の案内を設けておりますのでご活用ください。

WG3への参加に関して

ウェブアクセシビリティの試験に関して、知見をお持ちの方、もし活動に参加してみたいという企業・個人の方は、「お問い合わせ」ページから入会希望の旨をご連絡ください。

  • この文章は、一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)のメールマガジンへ掲載することを目的に書かれたものです。
  • この文章は、執筆者個人の見解に基づくものであり、ウェブアクセシビリティ基盤委員会の公式的な見解を示すものではありません。
このページのトップへ