一般企業におけるウェブアクセシビリティ方針策定と試験結果表示の実態調査(2016年2月)
本委員会では、JIS X 8341-3:2010 関連文書を公開しています。一般企業のウェブサイトにおけるウェブアクセシビリティ方針の策定と試験結果の表示について、5度目の実態調査を行ないました。調査対象については公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会にご協力いただき、その会員社(2016年2月時点)の203サイトを対象にしました。
調査の概要
- 調査対象
- 公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会 会員社(2016年2月時点)
203サイト(広告主、メディア・媒体社) - 調査時期
- 2016年2月12日(金曜日)
- 調査手順
- ウェブアクセシビリティ基盤委員会WG1委員がウェブサイトを閲覧し、「調査項目」に示す事項を確認しました。
調査項目
ウェブアクセシビリティ方針
ウェブアクセシビリティに関する何らかの配慮がされている旨の記載があるかを確認し、ウェブアクセシビリティ方針策定ガイドライン 2013年8月版に示された「方針に明記すべき事項」(下記)の記載があるかを調査しました。
- 対象範囲
- 達成等級
- 対応度
試験結果
JIS X 8341-3:2010 箇条8に基づく試験について、本委員会が作成した試験実施ガイドライン 2012年11月版にならった記載がなされているかを調査しました。
- 達成等級
- 対応度
- ページ単位 or ウェブページ一式単位
調査結果
Web広告研究会 会員社(広告主、メディア・媒体社)203サイト
- ウェブアクセシビリティに関する配慮事項の記載
- 25サイト(前回調査時:26サイト)
- ウェブアクセシビリティ方針策定・公開済
- 9サイト(前回調査時:10サイト)
- 試験結果公開済
- 7サイト(前回調査時:7サイト)
調査結果の詳細
JIS X 8341-3:2010に基づいてウェブアクセシビリティ方針を策定・公開、または試験結果を公開している企業は以下の通りです。
企業名 | ウェブアクセシビリティ方針 | 試験結果 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
対象範囲 | 目標等級 | 対応度 | 等級 | 対応度 | ページ数 | |
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ | 明記 | AA | 準拠 | AA | 準拠 | ページ単位 |
株式会社日立製作所 | 明記 | AA | 準拠 | AA | 準拠 | ページ単位 |
日本電気株式会社 | 明記 | AA | 準拠 | AA | 準拠 | ページ単位 |
富士通株式会社 | 明記 | AA | 準拠 | AA | 一部準拠 | 一式単位 |
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 | 明記 | AA | 準拠 | A | 一部準拠 | ページ単位 |
キヤノンマーケティングジャパン株式会社 | なし | A | 準拠 | A | 準拠 | ページ単位 |
コニカミノルタ株式会社 | 明記 | A | 準拠 | A | 準拠 | ページ単位 |
NTTコミュニケーションズ株式会社 | 明記 | AA | 準拠 | |||
ヤフー株式会社 | 明記 | A | 準拠 |
なお、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)では、JIS X 8341-3ではありませんが、WCAG 2.0への適合を目標に掲げWebアクセシビリティの確保に取り組まれています。
調査結果に関する注記・考察等
- 前回、2015年8月の調査と比べ、ウェブアクセシビリティに関する配慮事項の記載、ウェブアクセシビリティ対応方針策定・公開済、試験結果公開済のいずれにおいても数値に変化はほとんどなく、調査対象の企業においてWebアクセシビリティへの取組みに進展はありませんでした。
- ウェブアクセシビリティ方針に加え、試験結果も掲載されているサイトにつきましては、今後もJIS X 8341-3に則ったアクセシビリティ対応を継続していただけることを期待します。
- 今年4月には障害者差別解消法が施行され、障害者への合理的配慮が民間事業者に対し努力義務として求められるようになります(注:国の行政機関・地方公共団体等に対しては法的義務)。これを踏まえ、企業においてもWebアクセシビリティの確保が進むよう、当委員会では引き続き啓発に努めます。