意図
この達成基準の意図は、人々がウェブコンテンツとやりとりするときに、入力の様々なモードを使用したり切り替えたりできるようにすることである。利用者はウェブコンテンツとやりとりするとき、多様な入力メカニズムを使うことができる。これらのメカニズムは、キーボード又はキーボードのようなインタフェース、及び、マウス又はスタイラスペンもしくはタッチスクリーンのようなポインタデバイスの、組み合わせであってもよい。
デバイスが主たる入力メカニズムを備えていても、利用者はデバイスとやりとりするときに、代替の入力メカニズムの使用を選択してもよい。例えば、スマートフォン及びタブレットにおける主たる入力メカニズムはタッチスクリーンである。これらのデバイスの利用者は、タッチスクリーンを使用する代わりに、ペアリングされたマウス又は外付けキーボードを使用することを選択してもよい。
特定のタスク及びインタラクションが代替の入力メカニズムを使用することでより簡単に遂行できると利用者が判断した場合、利用者はいつでも入力メカニズムを切り替えることができるべきである。コンテンツは、利用者によるインタラクションを、特定の入力メカニズムの使用に限定してはならない。ただし、その制限が必要不可欠である場合、すなわちコンテンツのセキュリティを確保する、又は利用者による設定を尊重する必要がある場合を除く。
注記: 利用者がキーボード上でどのようにタッチタイピングするかを教える、及び/又はその習熟度及び速度を測定する、タッチタイピング練習ウェブアプリケーションは、特定の入力メカニズムに対する必要不可欠な制限の例である。
メリット
- 利用者は、好みの入力メカニズムを使用してウェブコンテンツとやりとりができる。
- 利用者は、自らの意図又は状況の求めに応じて、入力メカニズムを切り替えることができる。
- 利用者は、オペレーティングシステムがサポートしていれば、任意で入力メカニズムを追加及び削除することができる。
事例
- 運動障害のある利用者は、マウス及びキーボードを、タッチスクリーン付きスマートフォンにペアリングする。これにより、スマートフォンはそれらの入力デバイスによっても操作することができるようになり、コンテンツはタッチスクリーンを唯一の入力メカニズムとして受け入れなくなる。
- 精度の低いタッチ対応ノートパソコンでは、手の震えや身体運動の巧緻性の制限などの理由で小さなターゲットを動作させるのが困難な場合でも、キーボード及びトラックパッドを使用してコンテンツとやりとりすることができる。
- 利用者がデスクトップのキーボードを使用してページとのやりとりを開始し、その後、タッチ対応モニターをセカンダリーモニターとして接続する。コンテンツは、この新たに追加された入力メカニズムを使用しても操作することができ、最初に検出された入力メカニズムであるキーボードのみが使用中であるとは想定していない。
- 音声入力の利用者は、音声コマンドを使用して、マウス (及びキーボード) コマンドをシミュレーションするための変換をしてコンテンツをナビゲートする。ただし、同僚と話すときは、利用者は音声認識をオフにし、代わりにマウスを使用する。
- 利用者はマウスでメニューを開き、矢印キーでメニュー項目間を移動する。
関連リソース
リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。
- W3C Pointer Events - Level 2
- Patrick H. Lauke - Detecting touch: it's the 'why', not the 'how'
- Chris Wilson / Paul Kinlan: Touch And Mouse - Together Again For The First Time
- W3C Touch Events - Level 2: Interaction with Mouse Events and click
- W3C CSS Media Queries Level 4: Interaction Media Features
達成方法
この節にある番号付きの各項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組み合わせを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。その他の達成方法についての詳細は、WCAG 達成基準の達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。
十分な達成方法
- JavaScript において、
focus
、blur
、click
といった高レベルの、特定の入力方法に依存しないイベントハンドラのみを使用する。(将来、達成方法に追加される可能性あり) - Javascript において、キーボードもしくはキーボードのような入力、及びポインタ入力のためのイベントハンドラを、同時に登録する。Pointer Events Level 2 の EXAMPLE 1 を参照のこと。(将来、達成方法に追加される可能性あり)
失敗例
以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準の失敗例とみなした、よくある間違いである。
重要な用語
もし取り除いてしまうと、コンテンツの情報又は機能を根本的に変えてしまい、かつ、適合する他の方法では情報及び機能を実現できない。