適用 (対象)
CSS をサポートする全てのウェブコンテンツ技術
これは達成基準 1.3.2: 意味のあるシーケンス (失敗例) に関する達成方法である。
解説
これは、コンテンツの視覚的なレイアウトを変更するのに構造的なマークアップではなく CSS が用いられていて、かつ、レイアウトの変更によってコンテンツの意味が変わってしまっているという失敗例について述べている。CSS2 の position プロパティを用いると、利用者のビューポート上のどんな位置にでもコンテンツを表示させることができる。その場合、個々のアイテムが画面上に表示される順序は、ソース文書内に登場する順序とは異なる可能性がある。しかし、支援技術は、コンテンツを正しい順序でレンダリングするために、ソースコードでの順序又はプログラムによる解釈がされる順序を用いている。そのため、CSS によってコンテンツの順序を指定する際には、それによってプログラムによる解釈がされる音声読み上げ順序とは異なる意味になってしまうのであれば、CSS を用いてコンテンツの視覚的な位置を指定しないようにすることが重要である。
事例
事例 1
次の例では、段組みのレイアウトを作成するために CSS が不適切に用いられている。また、テキストは、ブラウザの画面ではマークアップの順序とは異なる順序で視覚的に表示される。
この例では、配置される各オブジェクトに対してクラスが定義されている。スタイルシートが適用されると、テキストは二つの段組みで表示される。まず、「menu1」クラスの要素 (Products) と「menu2」の要素 (Locations) は、カラムの見出しとして表示される。そして、「Telephones」「Computers」「Portable MP3 Players」は、Products の下に表示され、「Idaho」と「Wisconsin」は、Locations の下に表示される (Idaho と Wisconsin の順序は、ソースコードの順序とは異なっている)。
適切な構造要素が使われていないため、スタイルシートが適用されない状況では、全てのテキストがソースの順序に則って 1 列に提示され、「Products Locations Telephones Computers Portable MP3 Players Wisconsin Idaho」となってしまう。
HTML のコンテンツは次の通り:
<div class="box"> <span class="menu1">Products</span> <span class="menu2">Locations</span> <span class="item1">Telephones</span> <span class="item2">Computers</span> <span class="item3">Portable MP3 Players</span> <span class="item5">Wisconsin</span> <span class="item4">Idaho</span> </div>
上記コンテンツに対するスタイルは次の通り:
.menu1 { position: absolute; top: 3em; left: 0em; margin: 0px; font-family: sans-serif; font-size: 120%; color: red; background-color: white } .menu2 { position: absolute; top: 3em; left: 10em; margin: 0px; font-family: sans-serif; font-size: 120%; color: red; background-color: white } .item1 { position: absolute; top: 7em; left: 0em; margin: 0px } .item2 { position: absolute; top: 8em; left: 0em; margin: 0px } .item3 { position: absolute; top: 9em; left: 0em; margin: 0px } .item4 { position: absolute; top: 7em; left: 14em; margin: 0px } .item5 { position: absolute; top: 8em; left: 14em; margin: 0px } #box { position: absolute; top: 5em; left: 5em }
このコンテンツの場合は、テーブル又は定義リストのように、意味のある要素を用いたほうがよいだろう。
検証
手順
CSS を用いて配置されているコンテンツに対して:
- 文書からスタイル情報を取り除く、又はユーザエージェントでスタイルシートの使用を無効にする。
- コンテンツの音声読み上げ順序が正しく、コンテンツの意味が変わっていないことを確認する。
期待される結果
- 手順 2. の結果が偽である場合、この失敗例の条件が適用され、コンテンツは達成基準の失敗となる。