キャプション (ライブ) :
達成基準 1.2.4 を理解する
この達成基準の意図
この達成基準の意図は、デフ又は音声が聞こえにくい利用者がリアルタイムのプレゼンテーションを見られるようにすることである。キャプションは、コンテンツの中で音声トラックを通じて提示されている部分の代替を提供するものである。キャプションには、発話の内容だけを含むのではなく、誰が話しているのかも示し、また、意味のある効果音やその他の重要な音声も含める。
この達成基準は、同期したメディアの放送に適用することを意図しており、Webアプリケーションを介し2人ないしそれ以上の個人同士で行う双方向のマルチメディア電話に対し、利用者の要求の有無にかかわらずキャプションの提供を求めることは意図していない。キャプションを提供する責任は、コンテンツの提供者(電話をかけた人)または「ホスト」として電話をかけた人に課せられるもので、アプリケーションには課せられない。
達成基準 1.2.4の具体的なメリット:
デフ又は音声の聞こえづらい利用者が、同期したメディアのコンテンツにある音声情報を、キャプションを通じて入手することができるようになる。
達成基準 1.2.4の事例
ウェブキャスト
ニュースの配信者が、ライブのウェブキャストでキャプションを提供している。
音楽のウェブキャスト
オーケストラが、コミュニケーション・アクセス・リアルタイム・トランスレーション(CART)により、個々の演奏に対しリアルタイムでキャプションを提供している。CARTサービスは、歌詞や会話を取り込むばかりでなく、タイトルや変化、作曲者、利用者が素の音を理解するのに役立つあらゆる情報によって、歌のない音楽を識別する。
達成基準 1.2.4 の達成方法及び不適合事例 - キャプション (ライブ)
この節にある番号付の項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組合せを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。他の達成方法についての情報は、達成基準を満たすための達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。
十分な達成方法
G9: ライブの同期したメディアに対してキャプションを作成する、かつ、G93: オープン・キャプション(常に表示)を提供する
クローズド・キャプションをサポートするビデオ・プレーヤーのある、すぐに利用可能なメディア・フォーマットを用いて、G9: ライブの同期したメディアに対してキャプションを作成する、かつ、G87: クローズド・キャプションを提供する
次のどれか一つを用いて、G9: ライブの同期したメディアに対してキャプションを作成する、かつ、G87: クローズド・キャプションを提供する:
注記: キャプションは、リアルタイムのテキスト変換サービスを用いて生成できるかもしれない。
1.2.4 でさらに対応が望まれる達成方法(参考)
適合するためには必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするためには、次の付加的な達成方法もあわせて検討するとよい。ただし、すべての状況において、すべての達成方法が使用可能、または効果的であるとは限らない。
(今のところ、文書化されていない)
達成基準 1.2.4 のよくある不適合事例
以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準1.2.4に適合していないとみなした、よくある不適合事例である。
(今のところ、文書化された不適合事例はない)
重要な用語
- キャプション (captions)
そのメディアのコンテンツを理解するのに必要な、会話及び会話でない音声情報に対する、同期した視覚、又はテキストによる代替。
注記 1: キャプションは会話のみの字幕と似ているが、会話の内容だけを伝えるのではなく、その番組の内容を理解するために必要な効果音、音楽、笑い声、話者の特定、位置などを含む、会話でない音声情報と同等の内容も伝える点が異なる。
注記 2: クローズドキャプションは、音声情報と同等の内容で、プレーヤーによっては表示/非表示を切り替えることができるものを指す。
注記 3: オープンキャプションは、非表示にできないキャプションである。例えば、キャプションが同等の視覚化された文字画像で映像に埋め込まれている場合である。
注記 4: キャプションは、映像に含まれる情報を分かりにくくしたり遮ったりすべきではない。
注記 5: 国によっては、キャプションは "subtitle" と呼ばれている。
訳注: subtitleには、「字幕」の意がある。日本では、キャプションのことを一般に字幕と呼ぶことが多い。
注記 6: 音声解説にキャプションをつけることもできるが、つける必要はない。なぜなら、音声解説は既に視覚的に提示されている情報の説明だからである。
- ライブ (live)
現実の出来事から取り込まれ、放送遅延以上の遅延なく受け手に送信される情報。
注記 1: 放送遅延は、短時間の (通常は自動的な) 遅れで、例えば放送局に放送のタイミングの調整や音声 (又は映像) の検閲のための時間を与えるものだが、意味のある編集ができるほどのものではない。
注記 2: もし情報が完全にコンピュータで生成されたものならば、それはライブではない。
- 同期したメディア (synchronized media)
情報を提示するために、他のフォーマットと同期した音声もしくは映像、又は時間に依存するインタラクティブな構成要素と同期した音声又は映像。ただし、そのメディアが メディアによるテキストの代替であって、メディアによる代替であることが明確にラベル付けされているものは除く。
- 音声 (audio)
音の再生技術。
注記: 音声には、合成して作られたもの (音声合成を含む)、実世界の音を収録したもの、又はその両方が含まれる。