WCAG 2.0解説書

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拡張音声解説 (収録済) :
達成基準 1.2.7 を理解する

1.2.7 拡張音声解説 (収録済) : 前景音の合間が、音声解説で映像の意味を伝達するのに不十分な場合、同期したメディアに含まれているすべての収録済映像コンテンツに対して、拡張音声解説が提供されている。 (レベル AAA)

この達成基準の意図

この達成基準の意図は、全盲又は視覚障害のある利用者に、同期したメディアのプレゼンテーションについての情報を標準的な音声解説よりも多く提供することである。同期したメディアのプレゼンテーションを一時的に停止させて、追加の音声解説を再生することで提供できる。その再生が終わった後に、同期したメディアのプレゼンテーションを再開する。

ただし、追加の説明を必要としない利用者にとっては、閲覧の邪魔になってしまうため、その機能のオンとオフを切り替えることのできる方法を提供する。あるいは、その代わりに、拡張した音声解説のあるバージョンとないバージョンとを提供してもよい。

達成基準 1.2.7の具体的なメリット:

  • 全盲あるいは画面を見ることができないロービジョンの利用者、及び認知能力の低下により何が起こっているのかを視覚的に解釈しづらい利用者が、視覚的な情報についての音声解説をよく利用している。しかし、主音声の発話があまりにも多いと、音声解説では十分に説明しきれない。拡張音声解説は、映像を理解するのに必要な追加情報を提供することができる。

達成基準 1.2.7の事例

関連リソース

リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。

達成基準 1.2.7 の達成方法及び不適合事例 - 拡張音声解説 (収録済)

この節にある番号付の項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組合せを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。他の達成方法についての情報は、達成基準を満たすための達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。

十分な達成方法

  1. 次のどれか一つを用いて、G8: 拡張音声解説が付いたムービーを提供する

1.2.7 でさらに対応が望まれる達成方法(参考)

適合するためには必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするためには、次の付加的な達成方法もあわせて検討するとよい。ただし、すべての状況において、すべての達成方法が使用可能、または効果的であるとは限らない。

達成基準 1.2.7 のよくある不適合事例

以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準1.2.7に適合していないとみなした、よくある不適合事例である。

(今のところ、文書化された不適合事例はない)

重要な用語

収録済 (prerecorded)

ライブではない情報。

同期したメディア (synchronized media)

情報を提示するために、他のフォーマットと同期した音声もしくは映像、又は時間に依存するインタラクティブな構成要素と同期した音声又は映像。ただし、そのメディアが メディアによるテキストの代替であって、メディアによる代替であることが明確にラベル付けされているものは除く。

拡張音声解説 (extended audio description)

映像を一時停止することで追加の説明を付加するための時間を確保し、視聴覚プレゼンテーションに付加した音声解説。

注記: この達成方法は、追加の音声解説がないと映像の意味が損なわれてしまい、かつ会話やナレーションの合間が短すぎる場合だけに用いられる。

映像 (video)

写真や画像を動かしたり、連続して表示したりする技術。

注記: 映像はアニメーション、実写、もしくはその両方で構成され得る。

音声解説 (audio description)

主音声のトラックだけでは理解できない重要で視覚的な詳細を説明するために、音声トラックに追加されたナレーション。

注記 1: 映像の音声解説は、動作、登場人物、場面の変化、画面上のテキスト、及びその他の視覚的なコンテンツに関する情報を提供する。

注記 2: 標準的な音声解説では、ナレーションが会話の合間に挿入される。 (拡張音声解説も参照。)

注記 3: 映像情報のすべてが既存の音声ですでに提供されている場合、補足の音声解説は不要である。

注記 4: "video description" や "descriptive narration" とも呼ばれる。

訳注: 日本語では「音声ガイド」とも呼ばれる。