フォーカス時:
達成基準 3.2.1 を理解する
この達成基準の意図
この達成基準の意図は、利用者がコンテンツ内をナビゲートしている間、コンテンツの機能を予測可能にすることである。フォーカスを受け取ったときにイベントを起動することのできるすべてのコンポーネントは、コンテキストを変化させてはならない。コンポーネントがフォーカスを受け取ったときに起こるコンテキストの変化の例としては、次のようなものが挙げられる:
コンポーネントがフォーカスを受け取ると自動的に送信されてしまうフォーム。
フォーカスを受け取ると新しいウィンドウを開くコンポーネント
フォーカスを受け取ると他のコンポーネントにフォーカスを移動するコンポーネント
フォーカスはキーボード操作(例:コントロールにタブ移動する)もしくはマウス操作(例:テキストフィールドをクリックする)のいずれかによって移動させることができる。スクリプトによって実装しない限り、コントロール上にマウスを移動しても、フォーカスは移動しない。クリックすることによってコンテキストの変化を開始する可能性のある一部のコントロール(例:ボタン)に注意すべきである。
注記: ここでの"コンポーネント"が意味するものは"ユーザインタフェース エレメント"や"ユーザインタフェース コンポーネント'と呼ばれる。
達成基準 3.2.1の具体的なメリット:
この達成基準は、コンテキストの変化が予期せず起こる可能性を少なくすることによって、視覚障害、認知能力の低下、及び運動障害のある利用者に役立つ。
達成基準 3.2.1の事例
事例 1: ドロップダウンメニュー
ページ上にあるドロップダウンメニューによって、利用者がリンク先を選択できるようになっている。利用者がキーボードを使用して下のほうにある項目を選択して(スペースキー又は Enter キーで)実行すると、新しいページへ移動する。しかし、利用者がドロップダウンメニューにある選択肢に移動した後、Escape キー又は Tab キーでそのプルダウンメニューから抜け出た場合には、フォーカスはドロップダウンの外へ移動するので、新しいページには移動しない。
不適合事例: ヘルプのダイアログ
テキストフィールドがフォーカスを受け取ると、そのテキストフィールドについての説明とオプションを提供するヘルプのダイアログウィンドウが開く。キーボードの利用者がウェブページの中を Tab キーで移動していると、利用者がそのテキストフィールドへ Tab キーで移動するたびに、キーボード・フォーカスをコントロールから奪って、ダイアログが開く。
関連リソース
リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。
(今のところ、文書化されていない)
達成基準 3.2.1 の達成方法及び不適合事例 - フォーカス時
この節にある番号付の項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する達成方法、又は複数の達成方法の組合せを表している。しかしながら、必ずしもこれらの達成方法を用いる必要はない。他の達成方法についての情報は、達成基準を満たすための達成方法を理解するの「その他の達成方法」を参照のこと。
十分な達成方法
注記: コンテンツの変化が常にコンテキストの変化であるとは限らない。コンテンツの変化がコンテキストの変化ではない場合、この達成基準は自動的に満たされていることになる。
3.2.1 でさらに対応が望まれる達成方法(参考)
適合するためには必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするためには、次の付加的な達成方法もあわせて検討するとよい。ただし、すべての状況において、すべての達成方法が使用可能、または効果的であるとは限らない。
コンポーネントがフォーカスを受け取ったときに持続的な状態又は値の変更を発生させない、又はあらゆる変更をリセットするための代替手段を提供する(リンク追加予定)
達成基準 3.2.1 のよくある不適合事例
以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準3.2.1に適合していないとみなした、よくある不適合事例である。
重要な用語
- コンテキストの変化 (changes of context)
ウェブページのコンテンツにおける大きな変化で、利用者が気づかないと、ウェブページ全体を一度に見ることのできない利用者を混乱させる恐れのあるもの。
コンテキストの変化には次に挙げるものの変化が含まれる:
注記: コンテンツの変化が、必ずコンテキストの変化になるとはかぎらない。アウトラインの展開、動的なメニュー、又はタブの切替などのコンテンツの変化は、それが上記のいずれか (例: フォーカス) を変更しないかぎり、コンテキストを変化させるとは限らない。
事例: 新しいウィンドウを開くこと、フォーカスを異なるコンポーネントへ移動させること、新しいウェブページへ移動すること (新しいウェブページへ移動したかのように思わせてしまうことも含む)、又はウェブページの内容を大きく再配置することなどは、コンテキストの変化の事例である。