附録 B ウェブコンテンツ技術の使用法のアクセシビリティ・サポートを文書化する
ウェブコンテンツ技術の使用法に関するアクセシビリティ・サポートの文書化は、ある特定の環境においてWCAG 2.0の達成基準を満たすことが可能かどうかを判断するために必要な情報を提供する。
ウェブコンテンツ技術の使用法に関するアクセシビリティ・サポートの文書化においては、以下の情報を含める:
ウェブコンテンツ技術のバージョン又は複数のウェブ技術のバージョン。
ウェブコンテンツ技術のこのバージョンをサポートするユーザーエージェント又はプラグインのそれぞれについて:
ユーザーエージェント又はプラグインのバージョン。使用する OS 又はプラットフォームを含む。
ユーザーエージェントがサポートしている技術の使用法; 理想としては、達成基準のすべてを満たす方法があることだが、例外は記されていなければならない。
達成基準を満たすため のウェブ技術の使用法へのユーザーエージェントによるサポートの既知の制限。
ウェブコンテンツ技術をサポートする支援技術のそれぞれについて:
支援技術のバージョン。使用する OS 又はプラットフォームを含む。
支援技術のこのバージョンによりサポートされている、ホストユーザーエージェントのそれぞれについて:
このユーザーエージェントに対する支援技術がサポートしている技術の使用法。
このユーザーエージェントで支援技術を用いることにより達成基準を満たすウェブコンテンツ技術の使用法へのサポートにおける既知の制限。
ターゲットとする環境は、その利用者にとって入手可能なユーザーエージェント及び支援技術によって決まる。アクセシビリティ・サポートの文書化には、達成基準を満たす技術の機能の使用法、そしてユーザーエージェント及び支援技術の機能に関する詳細な理解が必要である。このために、ウェブ技術及びユーザーエージェントの開発者とベンダーには、製品のアクセシビリティ・サポートに関する情報を提供することが望まれる。同様に、支援技術の開発者とベンダーにも、その製品がサポートするウェブコンテンツ技術の使用法に関する情報を提供することが望まれる。コンテンツ制作者は、ある技術の使用法に関してベンダーあるいは検証者のグループから信頼できる文書が提供されていないときのみ、その技術のアクセシビリティ サポーテッドな使用法を文書化する必要がある。
例えば企業の職場などのように、制御された環境においては、利用可能なユーザーエージェント及び支援技術は、特定のプラットフォーム上における特定のバージョンのユーザーエージェントである可能性がある。ウェブコンテンツ技術の使用法が、そのターゲットとなる環境においてアクセシビリティ サポーテッドであるかどうかを判断するためには、コンテンツ制作者は、利用可能なユーザーエージェント及び支援技術が、アクセシビリティ・サポート文書の中で挙げられている、サポートしているユーザーエージェント及び支援技術に該当するかどうかを確認する必要がある。
ターゲットとするのがインターネットのような環境である場合は、コンテンツ制作者は旧バージョンを含むユーザーエージェントと様々なプラットフォーム上でのより多様な組合せを考慮する必要があるかもしれない。
異なる自然言語を用いる環境は、ターゲットとなる環境も異なってくる。例えば、ウェブ技術のアクセシビリティ サポーテッドな使用法は、英語の環境とアラビア言語の環境とでは異なる可能性がある。なぜなら、それぞれの言語をサポートするユーザーエージェント及び支援技術が異なるかもしれないからである。
文書化する際には、すべての支援技術及びすべてのユーザーエージェント、そしてそれぞれが互いに情報のやりとりをする方法に関するバージョン特有の情報を含める。それらのユーザーエージェントにおけるサポートが似通っていれば、コンテンツ制作者が文書化されているウェブコンテンツ技術の使用法がアクセシビリティ サポーテッドかどうかを判断するのは簡単であろう。サポートされている使用法がバージョンによって異なる場合、コンテンツ制作者は、アクセシビリティ・サポートかどうかを判断する際には、利用者が使用可能なバージョンにおいてサポートされている使用法だけに依存することだけができる。
ウェブコンテンツ技術のある使用法が適合する上で依存されていなければ、その使用法がアクセシビリティ・サポートでなかったとしても、ウェブページの適合を妨げることにはならない。サポートされていない使用法がコンテンツで発生しない場合、あるいはそのコンテンツの適合しているバージョンが利用可能である場合、そのウェブページは適合していることになる。例えば、あるウェブコンテンツ技術のインタラクティブなコントロールにアクセシビリティ サポートが欠如していたとしても、アクセシビリティ サポーテッドであるインタラクティブでないコンテンツでそのウェブコンテンツ技術を使用することを禁じるものではない