WCAG 2.0 実装方法集

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H88: 仕様に準じてHTMLを用いる

適用(対象)

HTML 及び XHTML

これは、次の達成基準に関連する実装方法である:

解説

この実装方法の目的は、HTML及びXHTMLをそれぞれの仕様に準じて用いることである。 技術仕様では、そのウェブコンテンツ技術の意味及び機能の適切な取扱方法を定めている。 仕様に記述されている通りにHTML及びXHTMLの機能を用いることによって、支援技術を含むユーザーエージェントが、 コンテンツ制作者の意図通りで互いに相互運用性のある機能を提示することが可能となる。

この文書を記述した時点では、HTML及びXHTMLの妥当なバージョンは、HTML 4.01 及び XHTML 1.0である。 HTML 4.01は、HTMLの最も成熟したバージョンであり、特定のアクセシビリティ機能を提供し、 ユーザーエージェントによって広くサポートされている。XHTML 1.0は、HTML 4.01と同じ機能を提供しているが、 XML構造を用いており、HTMLの構造よりも厳密な構文となっている。HTML及びXHTMLの最新バージョンは、まだ未成熟であり 、ユーザーエージェントにもまだ広くサポートされていないのが現状である。

HTML及びXHTMLを仕様に準じて用いるにあたり、幾つかの留意すべき点がある。

  1. 仕様で定められている機能だけを用いる:HTMLでは、ウェブページで用いることのできる要素、属性及び属性値の一式を定義している。 それらには固有のセマンティックな意味を持ち、ユーザーエージェントが特定の方法で処理するよう意図されている。 しかし、時には、仕様にはない方法がコンテンツ制作の際に一般的に用いられることがある。 それが一つのユーザーエージェントだけによってサポートされることが、そのきっかけとなることが多い。 仕様にはない方法を用いた場合、多くのユーザーエージェントはそれを当分の間サポートしなかったり、 いつまでもサポートしなかったりする。さらに、標準仕様にない用い方をすると、ユーザーエージェントによってそのサポート方法が異なることもある。 そして、主流のブラウザと比べ少ないリソースで開発されている支援技術は、有用なサポートを追加する場合でも時間を要するため、アクセシビリティに影響を及ぼすことになる。 よって、予期しないアクセシビリティの問題を回避するためにも、コンテンツ制作者はHTML及びXHTMLで定義されていない用法を避けるべきである。

  2. 仕様によって規定されている方法で機能を用いる:HTMLの仕様では、どのように特定の要素、属性及び属性値をセマンティックに処理し解釈すべきかについて、 具体的なガイダンスを提供している。しかし、時には、コンテンツ制作者が仕様ではサポートされていない方法でそれらを用いることがある。 例えば、本来のセマンティックなメッセージが伝わることを意図せずに、セマンティックな要素を用いて視覚的な効果を得ることが挙げられる。 これは、正確なセマンティック情報を用いて首尾一貫したページを描画しているユーザーエージェント及び支援技術に対して混乱を招くことにつながる。 あくまでHTMLの仕様によって規定されている機能として、HTMLの各機能を用いることが重要である。

  3. コンテンツが解析可能であることを確認する:HTML及びXHTMLでは、ユーザーエージェントによって正しく処理されるためには、 コンテンツをどのようにコーディングすべきかも定めている。開始タグ及び終了タグ、属性及び値、要素の入れ子などの構造に関するルールは、 意図された文書の表現となるようにユーザーエージェントがコンテンツを処理できるようにするためにある。HTML及びXHTMLの仕様における構造のルールに従うことが、 仕様に準じてそれらのウェブコンテンツ技術を用いる上で重要なことの一つである。

参考リソース

この参考リソースは、あくまでも情報提供のみが目的であり、推薦などを意味するものではない。

G134: ウェブページをバリデートするの参考リソースを参照のこと。

検証

手続き

HTML又はXHTMLの各ページに対して:

  1. ページが、関連する仕様において定義されている要素、属性及び属性値のみを用いていることを確認する。

  2. 要素、属性及び値が、関連する仕様によって規定されている方法で用いられていることを確認する。

  3. ページが、関連する仕様のルールに従って、正しく解析可能であることを確認する。

注記:上記1.及び3.は、バリデーションツールを用いて容易に確認することができる。上記2.は、通常は人間による判断が求められるが、ヒューリスティックな評価ツールを補助的に用いて確認することが可能である。

判定基準

注意: この実装方法が「達成基準を満たすことのできる実装方法」の一つである場合、このチェックポイントや判定基準を満たしていなければ、それはこの実装方法が正しく用いられていないことを意味するが、必ずしも達成基準を満たしていないことにはならない。場合によっては、別の実装方法によってその達成基準が満たされていることもありうる。

日本語訳における注記:

この文書の正式版は、W3Cサイトで公開されている英語の文書であり、この日本語訳には誤訳が含まれていることもありえます。なお、文中にある「日本語訳における注記」は、W3Cの原文にはないものであり、日本語訳監修者が追記したものです。