WCAG 2.0 実装方法集

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G102: 略語の元の語又は説明を提供する

適用(対象)

テキストを提供する全てのウェブコンテンツ技術

これは、次の達成基準に関連する実装方法である:

解説

この実装方法の目的は、略語を理解するために必要な情報を提供することである。

略語とは、単語、句、又は名前の短縮表記である。ほとんどの略語では、元の単語、句、又は名前を提供すれば十分である。

略語には、外国語に由来した単語又は句を表したものがある。例えば、英語で一般的に使用される略語の多くは、以下の事例一覧表で示すように、ラテン語の語句に由来する。ここでは、元の語は背景情報としてのみ提供する。こういった部類の略語では、語の説明を提供するほうが元の表記より役立つので、元の表記の代わりに略語の説明を提供する。

略語ラテン語の表記語の説明
a.m.ante meridiem正午より前。午前。
p.m.post meridiem正午より後。午後。
e.g.exempli gratia例えば。
cfconfer/conferatur参照。

略語が元の表記を必要としない場合(例えば、当該組織が元の表記を廃止している、又は略語がその言語の一部になっている)、説明を提供する、又は適切なら、説明を必要としない単語として略語を見なす。

事例

事例 1: ADA

略語の中には、複数の意味があり、文脈に依存するものがある。例えば、ADAはある文脈では「American Dental Association」を意味し、別の文脈では「Americans with Disabilities Act」を意味する。文脈に適切な元の語を提供しなければならない。

事例 2: 英語の略語でラテン語由来の句に対するもの

次の文章中において、「e.g.」には「例えば」という説明が提供される: チーム制のスポーツ(e.g. バスケットボール又はフットボール)に参加する学生は、チームの練習時間に彼らのスケジュールを合わせなければならない。

事例 3: ABS

いくつかの言語(英語及びオランダ語を含む)では、頭字語ABS(Antiblockiersystem: アンチロック・ブレーキ)をドイツ語から借用している。元の表記ではなく、語の説明(anti-lock brakes)が提供されている。

事例 4: 元の語のない頭字語

もはや元の語を持たない頭文字語の例

こういった部類の例では、組織がどのようなものか、又は何をするのかについての短い説明で十分である。

事例 5: かつての略語であったが、その言語の一部となった句

「夜に」を意味するオランダの断片「's nachts」は、元々は「des nachts」の略語である。現在のオランダ語では、「des」という単語はもうめったに使用されず、古風であるとされる。元の表記を提供すると混乱する。「's nachts」においては、元の語は提供しない。

「o'clock」という英語の句は、元々は「of the clock」の略語であった。「o'clock」は英語の一部になっており、元の語を提供する必要はない。

参考リソース

この参考リソースは、あくまでも情報提供のみが目的であり、推薦などを意味するものではない。

検証

チェックポイント

コンテンツの略語それぞれについて:

  1. 略語に元の語が無い場合は、説明を提供されている。

  2. 略語の元の語がコンテンツとは異なる言語の場合は、説明が提供されている。

  3. それ以外の場合は、元の語が提供されている。

判定基準

注意: この実装方法が「達成基準を満たすことのできる実装方法」の一つである場合、このチェックポイントや判定基準を満たしていなければ、それはこの実装方法が正しく用いられていないことを意味するが、必ずしも達成基準を満たしていないことにはならない。場合によっては、別の実装方法によってその達成基準が満たされていることもありうる。

日本語訳における注記:

この文書の正式版は、W3Cサイトで公開されている英語の文書であり、この日本語訳には誤訳が含まれていることもありえます。なお、文中にある「日本語訳における注記」は、W3Cの原文にはないものであり、日本語訳監修者が追記したものです。