規格の策定者が解説する JIS X 8341-3:2010 開催報告

2010年9月2日、東京女子大学で「規格の策定者が解説する JIS X 8341-3:2010」セミナーが開催されました。基盤委員会のサイトで開催告知をして三日後には参加申し込みが定員の100名を超える盛況ぶりでしたので、できるだけ多くの方々にご参加いただくために急遽定員を200名に増やしました。参加申し込み締切り後も是非とも参加したいという熱心なお申し込みがありましたが、基盤委員会では今後もこのようなセミナーを開催したいと思っていますし、直近では10月に幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2010でも講演をしますので、そちらにも参加いただければと思います。 会場の様子
会場の様子 セミナーはまず、司会の萩野教授(慶應義塾大学W3C/慶應)から、W3Cにおけるウェブアクセシビリティの活動紹介、日本とWAI(Web Accessibility Initiative)の協力関係などについてお話がありました。次に、総務省情報通信利用促進課の後藤靖博氏から、改正版JISに合わせた「みんなの公共サイト運用モデル」改定が今年度に行われることなどのご挨拶があり、経済産業省情報電子標準化推進室の鈴木俊吾氏からは、改正版JISが公示されたことの報告などのご挨拶がありました。両省庁とも、基盤委員会と協力して、日本のウェブアクセシビリティ向上に力をいれていくというメッセージが伝わってきました。 その後、委員長の渡辺が、「ウェブアクセシビリティ基盤委員会の紹介、JIS X 8341-3:2010 入門」として、以下の講演を行いました。
  1. 改正版JIS策定の背景
  2. JIS改正原案を作成中に気付いた課題と対処
  3. 基盤委員会の立ち上げと概要
  4. 「JIS X 8341-3:2010 解説」から
    • 公開資料の使い方
    • ウェブアクセシビリティ概論
  5. 規格票を見ながら
    • 改正版JISの特徴
    • 主な箇条の説明
渡辺の講演の後、1時間の昼休みでは、学食で昼食を食べる参加者の方や、極暑の中、中庭の木陰で学生気分に戻って昼食を食べる方、売店で東京女子大グッズをあれこれ眺めておられる方など、東京女子大学のキャンパスがいつもと違う賑わいを見せていました。 午後はまず副委員長の植木が、「JIS X 8341-3:2010 の実装方法」として、以下の講演を行いました。
  1. イントロダクション:実装WGについて
  2. 基本的なワークフロー
  3. WAIC  実装ワーキンググループ(WG2)が提供する関連文書群
    • WCAG 2.0 解説書
    • WCAG 2.0 実装方法集
    • アクセシビリティ・サポーテッド(AS)情報
  4. JIS X 8341-3:2010の達成基準
次に副委員長の梅垣が、「JIS X 8341-3:2010 を用いた試験」として、以下の講演を行いました。
  1. 試験の背景と必要性
  2. JIS X8341-3:2010 箇条8「試験方法」及びWAIC 試験実施ガイドラインの詳細
  3. 実装チェックリストの作成方法
  4. WAIC 「ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2010 対応度表記ガイドライン 第1版」の紹介
  5. 国、自治体における今後の展開
最後に、講演者3名が教壇にあがり、1時間という長い時間をかけて会場との質疑応答が行われました。会場からはポイントを突いた質問がいくつもあがり、回答する側はまるで試験を受けているような気持ち(笑)で、規格票を見直しながら質問に答えました。 質疑応答の模様(左から梅垣、渡辺、植木)
質疑応答の模様(左から梅垣、渡辺、植木) 今回のセミナーでは参加者全員にJIS X 8341-3:2010の規格票が配布され(視覚障害の方にはPDF版を配布)、各講演とも規格票を見ながら詳しい解説が行われたので、新しいJISについて細かく理解していただけたのではないかと思っています。 なお今回のセミナーは、基盤委員会とITRC(日本学術振興会産学協力研究委員会・インターネット技術第163委員会)UAI研究会の共催で行われました。UAI研究会の協力なしでは今回のセミナーを開催することは不可能でしたので、改めてUAI研究会とITRCにお礼を申し上げます。
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