WCAG 2.0解説書

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セクション見出し:
達成基準 2.4.10 を理解する

2.4.10 セクション見出し: セクションの見出しを用いてコンテンツを体系化している。 (レベルAAA)

注記 1: 見出しはその一般的な意味で用いられており、タイトルや様々なタイプのコンテンツに見出しを付加するその他の手段を含む。

注記 2: この達成基準でいうセクションとは、ユーザインタフェース・コンポーネントについてではなく、文書におけるセクションを意味している。ユーザインタフェース・コンポーネントは、達成基準4.1.2で言及している。

この達成基準の意図 は、ウェブページがセクションで構成されている際には、そのページの各セクションに見出しを提供することである。例えば、長い文章は様々な章に分かれていて、各章にはサブトピックがあり、サブトピックは様々なセクションに分かれていて、セクションには段落があって、という具合にである。そのようなセクションがある際、各セクションにはその内容を紹介する見出しがある必要がある。各セクションの見出しは、コンテンツの構造を示し、コンテンツ内でのナビゲーションを可能にし、そしてコンテンツの理解を助けるメンタルな「取っ掛かり」を提供する。ページのその他の要素(例:横罫線、囲み罫線)が見出しを引き立たせて、見栄えをより良くすることもできるが、視覚的なプレゼンテーションは文章のセクションを特定するには十分ではない。

この達成基準がレベル AAA になっているのは、すべての種類のコンテンツには適用できないのと、見出しを挿入することが常に可能であるとは限らないからである。例えば、既存の文書をウェブで公開する際、その文書の作成者が付けなかった見出しを挿入できないことがあるからである。あるいは、長い手紙には様々なトピックが書かれていることが多いが、手紙に見出しを付けるととてもおかしくなってしまう。しかし、文書を見出しの付いたセクションに分けることができるのであれば、文書は理解しやすく、ナビゲートしやすいものになる。

  • 全盲の利用者が、ウェブページのあるセクションからいつ別のセクションへ移動したのかが分かるようになり、各セクションの目的が分かるようになる。

  • 何らかの学習障害のある利用者が、見出しを使うことによって、ページ全体のコンテンツの構造をより容易に理解できるようになる。

  • キーボードでコンテンツをナビゲートしている利用者が、フォーカスを見出しから見出しへとジャンプできるようになり、関心のあるコンテンツを素早く見つけることができるようになる。

  • 一部のコンテンツを更新したページでは、見出しを使うことによって、更新したコンテンツへ素早く到達できるようになる。

リソースは、情報提供のみを目的としており、推奨を意味するものではない。

この節にある番号付の項目は、WCAG ワーキンググループがこの達成基準を満たすのに十分であると判断する実装方法、又は複数の実装方法の組合せを表している。WCAG 2.0 適合要件のすべてが満たされている場合にのみ、次に挙げる実装方法により、この達成基準を満たすことができる。

  1. G141: 見出しを用いてウェブページを構造化する

適合するためには必須ではないが、コンテンツをよりアクセシブルにするためには、次の付加的な実装方法もあわせて検討するとよい。ただし、すべての状況において、すべての実装方法が使用可能、または効果的であるとは限らない。

  • ライブリージョンを特定するlive属性を使う(リンク追加予定)(ARIA)

  • ウェブページのコンテンツの異なるセクションにナビゲートするメカニズムを提供する(リンク追加予定)

以下に挙げるものは、WCAG ワーキンググループが達成基準 2.4.10 に適合していないとみなした、よくある不適合事例である。

(今のところ、文書化されている不適合事例がない)

重要な用語

セクション

一つ以上の関連するトピック又は考えを扱う自己完結的なコンテンツの一部。

注記: セクションは一つ以上の段落から成り、グラフィック、表、リスト、及びサブセクションを含む。

ユーザインターフェース・コンポーネント

特定の機能を果たすための単一のコントロールとして利用者が知覚する、コンテンツの一部分。

注記 1: 複数のユーザインターフェース・コンポーネントが、単一のプログラムで実装されることがある。ここでいうコンポーネントは、プログラムに関するものではなく、別々のコントロールとして利用者が知覚するものを指す。

注記 2: ユーザインターフェース・コンポーネントには、スクリプトで生成されるコンポーネントやフォーム要素、リンクが含まれる。

事例 : アプレットには、コンテンツ内を行ごと、ウェブページごと、又はランダム・アクセスを行うために用いられる「コントロール」がある。これらには、いずれも識別名を割り当て、個別に設定できるようにする必要があるため、それぞれが「ユーザインターフェース・コンポーネント」となる。