WCAG 2.0 実装方法集

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G56: 発話ではない音が発話の音声コンテンツより少なくとも20デシベル以上低くなるように、音声ファイルを編集する

適用(対象)

全てのウェブコンテンツ技術

これは、次の達成基準に関連する実装方法である:

解説

この実装方法の目的は、聴覚に問題を持つ利用者が主音声を理解しづらくならないように、コンテンツ制作者が音声に背景音を入れられるようにすることである。前景にある主音声を背景音より20デジベル大きくすることで、その主音声は背景音よりも4倍大きいことになる。デシベル(dB)に関する情報は、About Decibels:英語を参照のこと。

事例

事例 1:暴動の様子を伝えるアナウンサー

事例2:ナレーターの音声と背景音楽との十分な音声コントラスト

この事例では、ナレーターの音声と背景音楽があり、主音声は背景音楽よりもちょうど20デシベル大きい。主音声(前景)は-17.52デシベル(二乗平均平方根)、音楽(背景)は-37.52デシベルで録音しているため、前景は背景よりも20デシベル大きいことになる。

音声サンプル

音声サンプル:前景音声が背景音楽よりも20デシベル大きい(mp3形式)

音声サンプル(十分なコントラスト)のトランスクリプト:

"Usually the foreground refers to a voice that is speaking and should be understood. My speaking voice right now is 20 decibels above the background which is the music. This is an example of how it should be done.."【訳注:音声が英語なので、和訳していません。】

音声サンプルを視覚的に示したもの

音声サンプルを、音声エディタ上のファイルのスナップショットという形で、以下に視覚的に示してある。前景音声と背景音楽を含んだセクションは強調表示にしてある。背景音楽のみのセクションに比べて、波形がはるかに大きい。

スクリーンショット:音声エディタを用いて、十分なコントラストのある音声を視覚的に示したもの

不適合事例:ナレーターの音声と背景音楽との不十分な音声コントラスト

不適合となる音声サンプル

この事例では、ナレーターの音声と背景音楽があり、主音声は背景音楽よりも20デシベル以上は大きくない。主音声(前景)は-18デシベル、音楽(背景)は-16デシベルで録音しているため、前景は背景よりも2デシベルしか大きくない。

音声サンプル:前景音声と背景音楽の差が20デシベル未満である(mp3形式)

音声サンプル(不十分なコントラスト)のトランスクリプト:

"This is an example of a voice that is not loud enough against the background. The voice which is the foreground is only about 2 decibels above the background. Therefore is difficult to understand for a person who is hard of hearing. It is hard to discern one word from the next. This is an example of what not to do."【訳注:音声が英語なので、和訳していません。】

不適合の音声サンプルを視覚的に示したもの

強調表示にしたセクションは、前景音声と背景音楽を含んだ部分である。背景音楽しかないセクションと波形がほぼ同じ大きさであり、前景音声に比べて背景音楽が大きすぎるということである。

スクリーンショット:音声エディタを用いて、コントラストが十分ではない音声を視覚的に示したもの

参考リソース

この参考リソースは、あくまでも情報提供のみが目的であり、推薦などを意味するものではない。

検証

チェックポイント

  1. 前景音声が流れている間で、背景音声が大きい部分を特定する。

  2. デシベル(A特性)音圧レベルの値を計測する。

  3. 前景音声のデシベル(A特性)音圧レベルの値を計測する。

  4. 前景音声の値から背景音声の値を引き算する。

  5. 差が20デシベル以上ある。

判定基準

注意: この実装方法が「達成基準を満たすことのできる実装方法」の一つである場合、このチェックポイントや判定基準を満たしていなければ、それはこの実装方法が正しく用いられていないことを意味するが、必ずしも達成基準を満たしていないことにはならない。場合によっては、別の実装方法によってその達成基準が満たされていることもありうる。

日本語訳における注記:

この文書の正式版は、W3Cサイトで公開されている英語の文書であり、この日本語訳には誤訳が含まれていることもありえます。なお、文中にある「日本語訳における注記」は、W3Cの原文にはないものであり、日本語訳監修者が追記したものです。